風俗営業始めま専科!
風俗営業許可申請手続代行センター
愛媛県四国中央市 海事代理士・行政書士  藤 田  晶  事務所
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立ち入る
第36 報告及び立入りについて(法第37条関係)
1 一般的留意事項
 立入り等は調査の手段であり、その実施に当たっては、国民の基本的人権を不当に侵害しないように注意する必要がある。
(1) 立入り等の限界
 立入り等の行使は、法の施行に必要な限度で行い得るものであり、行政上の指導、監督のため必要な場合に、法の目的の範囲内で必要最小限度で行わなければならない。したがって、犯罪捜査の目的他の行政目的のために行うことはできない。例えば、経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない
 また、立入り等の行使に当たっては、いやしくも職権を濫用し、、又は正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない
(2) 報告又は資料の提出の要求と立入りの関係
 立入りは、直接営業所内に入るものであるため、営業者にとって負担が大きいので、報告又は資料の提出で行政目的が十分に達せられるものについては、それで済ませることとし、この場合には立入りは行わない
2 …(略)…
3 立入り
(1) 立入りの対象となる営業所等
 法第37条第2項第1号及び第5号は、「風俗営業の営業所」及び「特定遊興飲食店営業の営業所」に立ち入ることができると規定しており、許可を受けた風俗営業及び特定遊興飲食店営業の営業所に限られていないことから、無許可の風俗営業及び特定遊興飲食店営業の営業所であっても立ち入ることができる。同様に、「店舗型性風俗特殊営業の営業所」(同項第2号)、「第2条第7項第1号の営業の事務所、受付所又は待機所」(法第37条第2項第3号)、「店舗型電話異性紹介営業の営業所(同項第4号)及び「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所」(法第37条第2項第6号)についても、届出書を提出したものに限られていないことから、これらの営業の営業所、事務所、受付所又は待機所であれば、無届のものであっても、立ち入ることができる。
 なお、法第2条第7項第1号の営業については、その事務所の所在地を管轄する公安委員会に届出書を提出すれば、他の都道府県の区域においても当該営業を営むことができるものであるから、当該営業の「事務所、受付所又は待機所」に立ち入ることができる警察職員は、その所在地を管轄する都道府県警察の職員に限られない。
 「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業」(法第37条第2項第6号)とは、午後10時から翌日の午前6時までの時間においても営業している酒類提供飲食店営業であり、警察職員が立ち入る時間も、通常はこの時間となる。
 「第33条第6項に規定する酒類提供飲食店営業」以外の「設備を設けて客に飲食をさせる営業」(法第37条第2項第7号)とは、食品衛生法上の許可を受けた「飲食店営業」(法第2条第13項第4号)に限られていないことから、食品衛生法上の許可の有無にかかわらず、その営業所に立ち入ることができる。ただし、立ち入ることができるのは、「深夜」(午前0時から午前6時までの時間。法第13条第1項)において、かつ、現に「営業している」営業所に限られる。
(2) 立入りの手続及び方法
ア 立入りは、公安委員会の定めるところにより行い、事後において報告書を作成し、これを幹部に報告するとともに、これを保存する必要がある。
イ 個室その他これに類する施設内に立ち入る場合にあっては、事前にノックするなどにより客が在室しないことを確認する必要がある
ウ 調査の必要上質問を行う場合にあっては、原則として、営業者、従業者等営業者側の者に対する質問に限り、客に対する質問は、営業者側への質問で十分に目的を達しない場合に限り行うこととし、通常は行わないようにすることとする。
エ 営業時間中に立入りを行う場合には、できるだけ営業の妨げとならないようにする必要がある
風営適正化法(風営法)等解釈運用基準第36の1及び3
第1 法の目的について(法第1条関係)
1 趣旨
 法第1条は、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止が法の目的であることを明らかにするとともに、風俗営業は業務の適正化を通じてその健全化を図るべき営業であることを明確にし、風俗営業が適正に営まれている場合でも取締りの対象であるかのような誤解を与えることのないようにしたものである。
2 善良の風俗の保持
 「善良の風俗」の「保持」とは、国民の健全な道義観念により人の欲望を基盤とする風俗生活関係を善良の状態に保持することである。
3 清浄な風俗環境の保持
 「清浄な風俗環境」の「保持」とは、様々な風俗生活関係から形成される地域の風俗環境その他社会の風俗環境を清浄な状態に保持することである。
4 少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止
 「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為」の「防止」とは、発展途上にある少年の心身に有害な影響を与え、その健全な成長を阻害する効果をもたらす行為を防止することである。
風営適正化法(風営法)等解釈運用基準第1
 「立入り」とは、一般に、行政機関の職員が、行政法規の執行の確保を目的として、監督を受ける営業所等の営業の現場に、質問、帳簿等の検査等のため入ることをいうと解される。
 風営適正化法(風営法)第37条第2項には、「立入り」に際して、質問、帳簿等の検査等ができることが明記されていないが、「営業所の現場に臨みまして、行政上の目的をもつて、検査視察すること」、「臨検とほとんど変りはない」との国会質疑における政府答弁によると、風営適正化法(風営法)制定当時〔風俗営業取締法〕から「立入り」に際し、質問帳簿等の検査等が許されるものと解釈・運用されている。それは、同法第37条第2項の「立入り」及びこれに伴う質問、帳簿等の検査は、同法の目的を達成するための行政上の手続であって、刑事責任追及を目的とする手続ではなく、又、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものではなく、及び公益上の必要性と合理性を有していること等から、憲法第35条(令状主義)や憲法第38条第1項(不利益供述拒否権)に反しないと解されるからである。※参考判例国会質疑における政府答弁
 なお、物件の検査に際し、破壊して検査することはないが、取り外せるものは取り外して検査することはあり得る
 また、「立入り」の運用については、昭和59年の法改正時に、「職権の濫用や正当に営業している者に無用の負担をかけることのないよう適正に運用すべき」旨が、「風俗営業等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(昭和59年7月5日:衆議院地方行政委員会)及び「風俗営業の規制等の改善対策確立に関する決議」(昭和59年 8月 7日:参議院地方行政委員会)で決議されている。
 「立入り」の風俗営業の営業所とは、同法第37条第2項第1号で単に「風俗営業の営業所」と規定されていることから、客観的に現実に風俗営業の用に供されている営業所をいうと解される。これからすると、都道府県公安委員会の許可を受けて風俗営業を営む風俗営業者の営業所は当然、都道府県公安委員会の許可を受けずに無許可で風俗営業を営む者が客観的かつ現実に風俗営業の用に供している営業所も、同条同項同号の「営業所」であって、「立入り」の対象となり得る。「立入り」の対象は「営業所」であるから、営業を営む者の住居や居室等には及ばないのは、当然である。
 「立入り」は、立入りを受ける者に対し、事前に通告することを要しないとされる。ただ、「立入り」は、行政目的に限られることから、立入りを受ける側の同意が必要であり、また、立入りの忌避等を罰則で担保する間接強制であり、立入りを拒否された場合は、その抵抗を排除してまで立入りを即時強制することはできない
 同法第2項で、「この法律の施行に必要な限度において」、「営業所に立ち入ることができる」と規定され、特に営業時間内と限られていないことから、営業時間外であっても「立ち入る」ことができると解されている。
 同法第2項の規定により適法に行われた「立入り」については、「立入り」を受けた店舗型性風俗特殊営業を営む者は、その「立入り」に起因する損失について補償、いわゆる「損失補償」を受けることはできないと解されている。店舗型性風俗特殊営業を営む者が適法な「立入り」によって受けた損失は、店舗型性風俗特殊営業を営むことが本来好ましくなく、公共の福祉に影響を与えるおそれがあり、従って、多少なりとも、公共の福祉に影響を与えるおそれの原因を自ら与えたもので、当然、受忍されるべきと解されるからである。
 一方、同法第2項の「立入り」を行った警察職員が故意又は過失により、違法に立入りを受けた者に損害を与えたときは、国家賠償の対象となると解される。
「国民の基本的人権を不当に侵害しないように注意する必要」についての国会における質疑

(略)
○宮崎(角)委員
 それでは急いでいきます。
 今度は三十七条の規定でございますが、警察がいつでも風俗営業者等の営業所に立ち入ることができる、そこにあるものすべてを調査をし、関係者には何でも質問することができるといった運用を可能にするようなものでありますが、私はこの三十七条については、憲法三十五条の令状主義あるいは同三十八条の不利益供述強要の禁止に抵触するおそれがあると考えるわけでございます。また営業の自由、プライバシー、私人の権利の侵害のおそれも非常に感じるわけでございますが、厳正の上にも厳正な運用が望まれるものでございますけれども、再度この点について国家公安委員長田川大臣の御見解を述べていただきたいと思うわけでございます。


○田川国務大臣
 立ち入りというものは、風営法の目的を達成するためには必要な権限でございますけれども、他面におきまして、営業者の営業の自由という国民の重要な基本的人権を制限することになりますことは十分認識をしておるわけでございます。従来からも、不当に国民の権利を制約することのないよう、公益上必要最小限度におきまして慎重な運営を行ってきたところでございますが、今回の改正でこの趣旨が法文上明確にされたことにも十分留意して、今後の運営に一層慎重な姿勢でこれに臨んでいきたいと思っております。
憲法第35条第38条営業の自由プライバシー

(略)
質問者の発言
答弁者(国務大臣:国家公安委員会委員長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第21号(昭和59年 7月 3日)より抜粋
「必要な限度」についての国会における質疑

(略)
○原田立君
 三十七条一項に「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において」、こういう表現がありますが、この「必要な限度」とは一体どういうことですか。
 また、「その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」と、こうなっておりますけれども、現行法では、簡単に「立ち入ることができる」と、これだけなんですね。再度御答弁願いたい。


○政府委員(鈴木良一君)
 この法律の「必要な限度において」というのは、あくまでもこの法律の目的以外のことをやってはならないということは当然でございますが、その手段も必要な限度にとどめるべきである、こういう考え方であるわけでございまして、したがいまして、先ほど申しましたように、関係のない経理関係の帳簿であるとかいうようなものを見るとか、あるいは衛生目的で調理場に立ち入るなどということは、この法律の施行に必要な限度を超えておるわけでございまして、そういうことは許されないということが明確になったというふうに考えられるわけでございます。
 さらに、資料の提出、報告の問題につきましては、これは先ほど申しましたように、衆議院で修正をされまして、一項、二項というふうに分けられたわけでございまして、そこで附帯決議もいただいておるわけでございまして、それはやはりできる限り資料の提出、報告というもので賄えるものは賄っていく、そして立ち入りというものを慎重にやると、こういう形で修正をいただいたものと、かように理解をしているものでございます。
衆議院の附帯決議

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第20号(昭和59年 7月26日)より抜粋

(略)
○岡田(正)委員
 …(略)…
 まず、三十七条の一行目に、「この法律の施行に必要な限度において」と書いておりますが、その「必要な限度」というのは一体何でございますか。

○鈴木(良)政府委員
 立ち入りの関係につきまして、若干総括的なことをお話し申し上げてよろしゅうございますか。


○岡田(正)委員
 はい、どうぞ。


○鈴木(良)政府委員
 …(略)…
 そこで、お尋ねの「必要な限度において」ということではございますけれども、従来の法律は「必要があるときは、立ち入ることができる。」こういうことでございます。ですから、現行法はある意味では必ずしも限定をしていないというふうにごらんいただいたたらいいのではないかと思うのでございます。
 といいますのは、「この法律又はこの法律に基く都道府県の条例の実施について必要があるときは」ですから、必要があれば立ち入りができるというふうになっているわけでございますから、必ずしも十分条件を整備したとはむしろ言えないのではないか。そういうことがありまして、むしろ「必要な限度において」、そこで限られるのだ。
 いわば手段方法は、法の目的であります善良の風俗、風俗環境の浄化あるいは少年非行の防止というような問題から、そういう目的のもとにとる手段としても、「必要な限度において」とどめようとする趣旨を明確にするという形で書いたものでございまして、これは従来よりもある意味では条件もずっと明確にした。昔、二十三年当時できましたときは、ある意味では割合にラフに書いていたと思うのでございますけれども、その点をもっとはっきり書いて国民の皆様に疑問のないようにしていこう、こういうふうにしたつもりでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第19号(昭和59年 6月28日)より抜粋
「法の目的」についての国会における質疑

(略)
○鈴木(良)政府委員
 風営法は本来善良の風俗あるいは清浄な風俗環境を守る、あるいは清浄な風俗環境を守る、あるいは青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するという目的でできておるわけでございまして、そういう形でまいりますと、やはりマージャン屋、パチンコ屋、それは非常に健全に行われる場合には大変国民に憩いと娯楽を与えるものでありますけれども、一たびそれが不健全な形になりますと問題があるということで現在規制されておるわけでございまして、現実にも射幸心をそそるおそれがあるという形で、問題も幾つか起きておることもあるわけでございます。そういうことで、やはり必要な規制をして、指導して健全化を図っていくことが必要であろう、こう考えておるわけでございます。
 それから、ほかのいわゆるセックス産業となぜ一緒にしたのかということでございますが、現在の法律も、風俗関連営業という定義こそ置いておりませんけれども、いわゆるトルコぶろ、興行場関係、モーテル関係、これについて規定をしておるわけでございまして、この関係は今度風俗関連営業というふうに定義をして、整理をして規定をしたというだけにすぎないわけでございまして、決して従来の立て方と変えておるものでも何でもないわけでございます。
 ただ、我々の取り組みの姿勢は今度ははっきり変えておるわけでございまして、先ほどのように、マージャン屋、パチンコ屋等の遊技場につきましては、それは健全に行われれば国民に必要な憩いと娯楽を与えるというものでございますから、これはでき得る限り業者の自主規制をもってそれが健全に発展するように指導をしてまいりたい、そういう位置づけをしたい。
 しかし一方、先ほどのような風俗関連営業というのは、健全化だとか育成というものにちょっとなじまない営業でもございますので、やはり必要な規制をして、もしそこに違反があれば厳正に対処するという形で臨んでいきたいということで、法律で書いてあることは現行の法体系と同じでございますけれども、物の考え方はきちっと整理をして書いたということでございます。

(略)
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第17号(昭和59年 6月21日)より抜粋

(略)
○中野明君
 そこで、今回は第一条で目的規定を置くことになったわけなんですが、従来は目的規定というものは明確にございませんでした。
 …(略)… しかしながら、法律の目的がなかったわけではないと私は思いますが、そういう意味で、従来の目的と、今回の新しく一条で目的を明示しておられるんですが、これは何か違いがあるのですか。

○政府委員(鈴木良一君)
 これは全く違いがないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 と申しますのも、先ほどからの経過で御説明しておりますように、昭和23年当時の法律というものはこういうふうな目的規定を置かないでできたものが非常に多いわけでございますが、最近の立法はほとんど目的規定を置いて内容を明らかにしていくものが多いわけでございます。
 そこで、じゃ、どこが目的規定と違うのかということでございますけれども、今回の改正案では、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持するという目的と、それから少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するということと、さらに風俗営業の健全化に資することをその目的としておるわけでございます。そういう意味で、現行法において目的と考えられたものと異なることはないと思います。
 現在の法律でも、例えば現行法の四条の三というのがございますけれども、ここでは年少者に対する禁止行為を定めておるわけでございます。そういうふうな意味で、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止をするということを既にやっております。それからまた、「清浄な風俗環境の保持」というのは、モーテル等で地域規制等が行われるというようなところで既に使われておるということでもございます。
 さらに、現行法の第三条では、当然のことながら都道府県は条例によりまして、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を求めることができるということでございます。そういうことは、既に現行法の中でそれぞれ規定があるという形のものでございます。
 そういうことで、改正案の目的規定は現行法において目的と考えられてきたものを明定したものにすぎないというふうに考えております。ただ、題名で従来「風俗営業等取締法」という「取締」という文言を使っておりましてけれども、今回はその点は外しました。それは、先ほど申しましたように、取り締りだけで臨むべきものでもない、必要なものはやはり健全化を図っていくということが必要であるという思想に基いて直したという点があるところでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第18号(昭和59年 7月19日)より抜粋
「犯罪捜査の目的」でないことについての国会における質疑

(略)
○鈴木(良)政府委員
 私どもが立ち入りをやりますのは、あくまでも行政目的のために行うわけでございまして、犯罪捜査のためにやるものではございません。
 …(略)…

(略)
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第17号(昭和59年 6月21日)より抜粋

(略)
○岡本委員
 …(略)…
 そこで、三十七条の立入検査、現行法では「警察官は」、「風俗営業の営業所に立ち入ることができる。」という規定だが、改正案では立ち入りに加えて、今度は公安委員会に、業務に関する報告、資料の提出を求める権限を認める、または警察職員には、帳簿、書類その他の物件検査と、質問する権限を認めている。違反者には十万円以下の罰金、こうことで現場の警察職員の気ままな判断で運営されるということが非常に大きいのではないかという心配、従来は捜査令状を持って行政調査をした、今度は令状なしに気ままにどんどん入っていけるわけですから、この歯どめというものが私は非常に責任があると思うのです。
 この歯どめをきちっと警察庁当局においてしておかなければ、業界は、あるいはまた入ってこられる方はたまったものじゃない、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。

○鈴木(良)政府委員
 …(略)…
 それから、先ほど先生のお話のような、要するに犯罪捜査のためにこれを利用して証拠集めをするなんということがあってはならないということで、第三項に、「この権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定を入れたものでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第19号(昭和59年 6月28日)より抜粋

(略)
○吉川芳男君
 …(略)…
 それから、最後に、この立入検査というものは「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」、こういうことで、まさにこれは寝た子を起こしているような条文ではないか。犯罪捜査のためでないならば、何のためにそれじゃ立入検査なさって、あれ見せろ、これ見せろというふうなことを言われるのか。そこらはどうもやっぱり業者も心配になる種だと思うんでありまして、ひとつ明確にしてください。


○説明員(古山剛君)
 …(略)…
 それから、現行法にはない「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」という規定が入ったのはなぜか、こういうことでございますけれども、この立ち入りの権限というのは、これはもともと犯罪捜査のために立ち入るというような、そういうものではございませんで、風俗営業等が違法な行為が行われないように、適正に行われるように行政上いろいろ指導し監督する、そのために立ち入り等が行われるべきものでございまして、その辺の趣旨をはっきりした方がいいんではないかということで、今回こういう規定を設けたものでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第17号(昭和59年 7月17日)より抜粋
「他の行政目的」でないこと、「経営状態の把握のために会計帳簿や経理書類等の提出を求めたり、保健衛生上の見地から調理場の検査を行うこと等は、認められない」ことについての国会における質疑

(略)
○原田立君
 負担にならないように運用をしていきたいと、こういうことですが、これはこれでひとつ確認しておきます。
 それから三十七条「立入検査等」の規定について衆議院において修正されたのでありますが、原案と修正案では権限の範囲に違いはあるのかという質問に対して、これは原案と余りそんなに変わりがありませんというふうな答弁があったように聞いておるのです。ところで、私一日委員会を休みましたものですから、そのときの答弁じゃないかと思うのですが、もし権限が同じであるとの答弁であれば修正の意味をなさない、こう思うのです。修正の理由は一定の歯どめを加えることが目的であるのですから、その修正の意思が伝わっていないことになる、そういうおそれがありますが、いかがですか。

○政府委員(鈴木良一君)
 政府原案では、公安委員会は警察職員に風俗営業者等の事務所に立ち入り、帳簿書類等その他の物件を検査させ、または質問させることができるとなっていたわけでございますけれども、このような規定の仕方では現行法の立ち入りに比べてその範囲が拡大するのではないかという疑念が衆議院でございました。
 そこで、そういうふうな疑念を解消する目的で、現行法の立ち入りの規定に即して修正がなされたというものであるということでございます。その結果、いわゆる経理状態の把握の目的からする会計帳簿であるとかあるいは経理帳簿等の検査だとか、あるいは風営以外の例えば保健衛生上の見地からする調理場への検査だとか、そういうものが本法の立ち入りに含まれないということが明確になったというふうに考えておるものでございます。


○原田立君
 三十七条の第一項に「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において」、こういう表現がありますが、この「必要な限度」とは一体どういうことですか。
 また、「その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」と、こうなっておりますけれども、現行法では、簡単に「立ち入ることができる」と、これだけなんですね。再度御答弁願いたい。


○政府委員(鈴木良一君)
 この法律の「必要な限度において」というのは、あくまでもこの法律の目的以外のことをやってはならないということは当然でございますが、その手段も必要な限度にとどめるべきである、こういう考え方であるわけでございまして、したがいまして、先ほど申しましたように、関係のない経理関係の帳簿であるとかいうようなものを見るとか、あるいは衛生目的で調理場に立ち入るなどということは、この法律の施行に必要な限度を超えておるわけでございまして、そういうことは許されないということが明確になったというふうに考えられるわけでございます。
 …(略)…

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第20号(昭和59年 7月26日)より抜粋

(略)
○原田立君
 附帯決議の第十項の1及び3で、報告または資料の提出は必要最小限のものに限定する。また、関係のない経理帳簿等を提出させ又はみることのないようにすることと、こういうことが衆議院の附帯決議で決まってきているわけでありますが、元来三十七条の立入検査の問題でありますけれども、本法案のもとの法、今までの法律第六条は、ただ警察官は「立ち入ることができる。」だけでとどまっている。それが今回出てきたのは、立ち入りはおろか「帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させる」と、これじゃ余り広いじゃないかということで衆議院で修正されてきた。それで今の「報告又は資料の提出」というものだけが残った。そこで、今も申し上げたように必要最小限のものに限定する、あるいは関係のない経理帳簿等を提出させたりまたは見ることのないようにすると、こういうふうに衆議院の附帯決議ではなっているのですけれども、この点はいかがですか。
衆議院の附帯決議
○政府委員(鈴木良一君)
 おっしゃるとおりでございます。あくまでもその報告、資料の提出というものでできる限りカバーしていくということ、それも必要最小限度の形でもって運用していくというふうに考えておるものでございます。


○原田立君
 三十七条の第一項には、「風俗営業者等に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」としておりますが、この報告または資料の提出について、具体的にはどのようなものを対象に考えているのか。もちろん、この法律が成立した場合にこれから各業界と打ち合わせをしてということになるのだろうと思うのですけれども、風俗営業の中にはパチンコ屋さんあるいはマージャン屋さんあるいはいわゆる風俗関連営業者、いろいろたくさんあるわけですけれども、画一的なものにするわけにはいかないと思うのでありますけれども、この「報告又は資料の提出」というものは一体どんなふうなことになるのか。


○政府委員(鈴木良一君)
 報告、資料の提出というのがどういう場合に何を見るのかということでございますけれども、例えば例を挙げますれば、風営法の中にいろいろな遵守事項が定められておりますけれども、そういう遵守事項等の規制が守られているかどうかというような場合、そういうことを見る必要がある場合に報告、資料の提出というものを求めていくということになろうと思います。当然のことながら、その報告、資料の提出で求めるものは本法の規制と関係のあるものでございますし、それから本法の目的を達成するために必要な限度においてやるものでございます。したがいまして、関係のないものを見るというようなことは当然あってはならないわけでございまして、例を挙げますれば、保健衛生上の見地からその提供する飲食物について報告、資料の提出を求めるだとか、あるいは経営状態を把握するために会計帳簿の提出を求めたりというようなことは当然この本法の目的に入っていないわけでございますから、そういうことは一切するものではないということでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第23号(昭和59年 8月 7日)より抜粋

(略)
○高橋(禎)委員
 刑事部長にお伺いしますが、ご存知のように、赤線区域なんかが転廃業によってなくなってくる。そういうことになりますと、一部の人、これは業者でなくして売春婦の人ですが、売春婦の方は、これは正業に従事するような人も出るでしょうけれども、ところが、一部はまたいわゆる街娼になったりなどする危険も相当あると思うのです。何でも最近は相当町にたくさん出ておるというようなうわさも聞きますが、しかし、そういう人たちが結局落ちつくところは多くは旅館というようなところじゃないかと思うのです。そこで、取締り上旅館というものが相当注目されるわけです。これも当然だと思いますが、ちょうど風俗営業取締法の六条によりますと、営業場所に立ち入ることができる、こういう規定があるのでありますが、こういうことをどういうふうに運営していくのか、そこはなかなかむずかしいと思うのです。それで、まず法律についての見解でありますが、風俗営業取締法第六条の「当該官吏又は吏員はこの法律又はこの法律に基く都道府県の条例の実施について必要があるときは、風俗営業の営業所に立ち入ることができる。」、こういうふうになっておるのでありますが、ここでいういわゆる「当該官吏及び吏員」という中に警察官は入るのか入らないのか、入るとすればどういう理由かということと、それから、これは「都道府県の条例の実施について必要があるときは」、こうなっておりますが、売春防止法の実施について必要があるときは一体この立ち入りができるというふうに考えておられるのかどうか、その点をお伺いいたします。

○中川政府委員
 こう御指摘の風俗営業取締法は、新警察といいますか、日本国憲法が施行されたに伴いまして新警察という立場になりまして、それに基いてできました法律でございまして、この法律は、お読みいただくと御理解いただけると思いますが、大体一口に申しますと、売春に陥りやすい事業並びに賭博罪に陥りやすい事業を一行で抑えたわけです。待合、料理店、カフェー、その他客席で客の接待をして客に飲食その他を提供し得るもの、それから、キャバレー、ダンスホールその他客にダンスをさせるもの、それから、マージャン、パチンコというふうな賭博罪に陥りやすい事業、こういうものを風俗営業という概念で抑えまして、風俗営業を営むにつきましては公安委員会の許可がいる、こういうふうに法律の建前を規定したのであります。そうして、風俗営業につきましては、いわゆる順守事項というものがある。順守事項というものは、そういう風俗営業の性質にかんがみまして、ローカル性がある、地方性がある、こういう角度から、順守事項の多くは都道府県の条例で定めておるのでありますが、その条例の内容は各府県若干相違はありますけれども、おおむね時間制限などをやっております。たとえば、ダンスホールは午後十一時まで営業できる、ただし、特にクリスマス・イブのごとく社会通念上おそくまでダンスをするような時期については、それは公安委員会の行政処分で緩和する、こういう規定に相なっているのであります。そこで、こういう順守事項その他を法律できめておきましても、実際は順守して参らぬと、甲のダンスホールは十一時でやめておるけれども、隣の乙のダンスホールは十二時までやっているということになりますと、業界内部におきましても不公平になりますので、その実施を確保する必要がある。確保するために、御指摘の六条の立入権があるのでございます。この立ち入りのところで「当該官吏又は吏員」という言葉を用いておりますのは、国家地方警察と自治体警察となりましたときの条文でございますので、こういう言葉を用いておるのですけれども、警察官を含むものであります。公安委員会の行政処分というものには都道府県公安委員会がある、その実施を確保するのは公安委員会の管理に服する警察官である、こういうふうに解釈しておるのであります。ところが、この法律は、この法律またはこの法律に基く条例でございますので、売春防止法とか刑法とか、そういった他の法律の実施の確保に必要なためには立ち入りはできない、この時間制限とか風俗営業の規制を確保するための必要な立ち入りでございますので、刑法、売春防止法その他の法律の実施の確保のためには入れないのである、こういう解釈を明確に持っているのであります。それで、この風俗営業につきましては、風俗営業が都道府県できめる条例の時間制限に服したり、あるいはこの法律の性格が、そういう売春とか賭博に陥ることを防ぐために条例がいろいろありますので、たとえばそういう客を接待する場所にまくらを置いてはいかぬというようなことを条例で定めておる県もあるのでありますが、そういう点の実施を確保するためにこの立入権は認められておるのでありますが、この立ち入りに当たりましては、この法律またはこの法律に基く条例以外にはみ出てはいけないということを厳重に措置いたしておるものであります。そうして、また、この法律の実施の確保につきましても、立ち入りということも最終的な保障ではあろうと思いますけれども、なるべく業者間の自粛、あるいはその業者間の順法精神というものをまず期待しながら、やたらに立ち入ってやるということのないように、事は十分戒心せしめておりますとともに、立ち入りに際しましても、一般のその辺のお巡りさんが立ち入るということではなしに、それぞれ責任者を指定いたしまして、その立ち入りについてその風俗営業の実施を確保いたしておるのでございます。
 それで、結論的に申しますと、私どもは、売春防止法の犯罪という点につきまして、風俗営業取締法との関連は、そこにもちろん社会事実としてはあろうと思いますけれども、売春防止法の犯罪捜査につきましては、一般の刑事訴訟法の手続によりまして事をやっていく。多くの例は、ある旅館等においてそこで盛んに売春の場所の提供が行われておる、あすこで売春が盛んに行われておるといううわさがまず入ってくるのであります。窃盗罪の聞き込み等と同じようにうわさから入りまして、うわさに基きまして関係者の供述をとる。その関係者の供述等によって、売春防止法違反の疑いに足る資料があって、逃走または証拠隠滅のおそれがあるときは強制捜査をしていく。任意捜査でやっていけるものについては任意捜査でやっていく。そういうふうにやっていって、売春防止法に定める犯罪、風俗営業取締法に定める風俗営業の規制ということの概念をはっきり分けまして、そこに混合を来さないようにいたしまして、それぞれの目的を達成するようにいたしまして、いわゆる乱用ということがないように努力をして参りたいと思っております。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事部長)の発言
第28回国会 衆議院 法務委員会会議録第8号(昭和33年 2月27日)より抜粋
「職権を濫用」についての国会における質疑

(略)
○寺田熊雄君
 …(略)…
 それから、警察官の権限を拡大するというようなことは考えておらぬということであると同時に、午前中にもいろいろ私はお話をしましたが、権限の乱用という点が非常に怖いわけです。殊に風俗営業に関連する警察の権限というのは、さっき部長もおっしゃったように行政目的からする積極的なものだから、警察本来の、犯罪があったとか、まさに行われんとしておるというような本来的な任務でやるんじゃない。いや、これも本来的などと言えばそれまでだが、新たな行政目的の遂行のためですから、どうしてもやはり権限の乱用というようなことがあり得るわけで、これは午前中も具体的な例をあなた方にお話をしましたが、一つ、あなた方がやはり頂門の一針とするに足る判例がありますね。
 これは既にあなた方よく御存じだと思うけれども、大阪高等裁判所、昭和四十六年三月十日、刑事第二部の判決、これを読んでみますと、スタンド形式の飲食店を経営する被告人、これがお客さんと言葉を交わすうちに、お客さんが非行少年を補導した経験談あるいは子供の教育など、まじめなことを話し始めて、経営者にカウンターの方に来て話を聞けというので、これに応じてお客さんの隣のいすに座った。ほかに客もいなかったので、女子従業員も話を聞いたらどうかというふうに勧めて二人で話を聞いた。その間、従業員がお客さんに一回お酌をしたやった。その後に警察官が入ってきて、これは接待ではないか、これは風俗営業等取締法一条二号の接待に当たる、したがって当然許可をとらなければいけないが、許可がないからというので検察庁に送致した。それで、一審は有罪であったが、大阪高等裁判所がこれを破棄して無罪とした、こういう事案ですね。
 今、私が説明したそのままのことが判決にうたわれている。
 本件の場合、客の誘いがあったのを契機に店
 主と従業員とが客席に位置して客を中にはさ
 み、これと話し合うごとき外観を呈していたに
 しても、客である犬飼の語る話題は真しな教育
 の問題に関するものであり、しかも、被告人ら
 は同人の話をそのかたわらで聞き入っていた
 というだけのことであって、特に飲食物の提供
 に関連して同人の意を迎え、積極的にその座の
 空気をひき立てるような言動に出たわけでもな
 いのであるから、その実態は、およそ歓楽的雰
 囲気とは程遠い世間話の場にすぎなかったもの
 とみるべく、したがって、本件被告人らの犬飼
 に対する応待の経過をもって前記法条にいう客
 の接待にあたるものと解することは、上記の考
 察からしても正当な解釈判断ということはでき
 ない。ということで無罪にしている。
 この判例を見ると、その場に入ってきた警察官が、お客さんと営業者と女の子が三人並んでおる、そして一回酌をした、それは接待じゃないのかということで立件したという、そういう案件ですね。恐らくお客も店主も弁明これに努めたに違いないんだけれども、立ち入りをした警察官は頑として聞かない、立件した、そういう事案です。
 この事案でも見るように、やはり今後立ち入った場合、立ち入りした警察官がこういうふうな表面の形だけを見て、これは後で接待の概念にも議論が及ぶと思うけれども、接待であるというようなことで立件するようなことになると、これは大変なことになりますね。これはよほどあなた方が第一線の警察官に対して権限の乱用を戒める手配を講じていただかなきゃ困るわけですが、これはどうだろうか。部長ですか、長官ですか、そのお答えはどちらでも結構だから。

○政府委員(鈴木良一君)
 運用に当たりましては慎重にそういうその場の状況を判断し、また、当然のことながら、一人だけで判断をするというのじゃなくて、幹部の判断もあわせながらやっていかなければならないということは十分自戒していかなければならぬと思います。
 私どもといたしましても、こういうふうないろいろな問題の運用につきましては、例えば接待という概念につきましても、非常に難しい要素がございますので、こういう点はきちっと通達なりあるいは執務資料でもって、こういうものは接待に当たる、こういうものは当たらないということを明確にして、そして第一線をきちっと指導してまいりたい、かように考えております。
 先ほど言いましたように、第一線におきましても、単に一人だけが判断するんじゃなくて、当然幹部と十分その場の状況をよく検討しながら、そういうチェックを受けながら慎重に対処してまいりたい、かように考えます。

(略)
○吉川芳男君
 最後に、それじゃ、これは御答弁を大臣か警察庁長官にお願いしたいんですけれども、今回の改正案は、指示等の行政処分の積極的導入というふうに考えられますし、また、先ほど申し上げましたように、政令や国家公安委員会規則あるいは地方の条例というふうに任されている部分もかなり多くて、一口で言うと、警察の行政権が非常に拡大強化されているというふうに見られるわけでございますが、こういうことに対してどういうふうに考えられているのか、また今後の運用についてどういうような注意事項というか、警察庁は、これはやがて各県あるいは警察職員の果てまで周知徹底させる必要があるわけでございますが、そこらについて心構えといいますか、所見をひとつ承りたいと思うんです。


○政府委員(三井脩君)
 今回のこの改正法案は現行の法律を基礎としておるわけでありまして、警察官の権限という点について申しますと、現行法と基本的には変わりはないということでございますが、風俗関連営業等、適用される対象が量的にふえてまいる、こういうふうなこともありまして警察官が忙しくなるというようなことは確かにあるわけでございます。したがいまして、権限の強化というような誤解を招かないように、持っておる権限を厳正に、これを間違いなく適正に運用するということについては、殊にこの仕事に携わる者は第一線の警察官及び警察職員、こういうことになりますので、この点については十分指導教養を徹底してまいり、間違いなきを期してまいりたいというように考えるわけでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
答弁者(政府委員:警察庁長官)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第17号(昭和59年 7月17日)より抜粋

(略)
吉井委員
 …(略)…
 まず、警察職員の恣意によって立ち入ることができるケースだと判断され、立ち入るおそれはないでしょうか。警察職員の恣意による立ち入りは違法だとしても、事実上そのような行為が行われること自体が問題であって、これを事前に防止する何らかの措置を講ずる必要があるのではないか。このように考えるわけですが、いかがですか。

○鈴木(良)政府委員
 立ち入りは、通常署長などの幹部が指定をいたして行っておるわけでございます。そうしてその立ち入りの方法なり着眼点等もいろいろ示しまして、トラブルも生じないように行っておるわけでございますけれども、今後ともそのような方向でその指導基準明確化というものを徹底してまいりたい、かように考えます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第21号(昭和59年 7月 3日)より抜粋

(略)
○三治重信君
 公安委員長、それから長官、いろいろ具体的なことだから御両者には質問をしなかったけれども、これは最後です。
 具体的な問題を掘り下げていくと業者は非常に心配が絶えない、こういうことなんです。
 それで、今度の改正の主なものは、都道府県の条例でやっていることをできるだけ全国統一的にするために法律にしたのだとという説明があったわけなんですが、そういうことになれば各業界も、風営法で法律になったけれども、それは各都道府県の条例で今までずっと業界の指導、監督をやられておったそれと余り変わらないのだということがこの風営法の改正で言えるかどうか。
 それから、こういう風営法の改正によって、時代の景気の変動によって業界の好不況はあるのだろうけれども、結局風俗営業の方は警察の取り締まりによって生活権の首根っこを握られているのだ、こういう業者の観念が非常に強いわけですね。この風営法の改正によって首根っこの、結局はおまんまが食えぬような、ずっと真綿で首を締めるようなことをされると、不平不満なり何なりを持っていくところがない。持っていけばこれは返り血を浴びることも覚悟してやらんならぬ。こういうことになんで、一つぜひ施行に当たっては各第一線の、こうやっていろいろな法律や規則やなんか新しく変えられるのでしょうけれども、変えられる中で一つ一つこれは激変を避ける、こういうようなことを指導してもらいたいと思うのですが、ひとつその点について御両者の御回答をいただきたいと思います。


○政府委員(三井脩君)
 今回の改正は、現下の情勢にかんがみまして、現行法を整備するというねらいでございまして、現行法の運用の基本を特に変える、こういうものではないわけでございます。現行法の運用にいたしましても、いろいろ御指摘のように、その運用を我々は誤ってはならない。また、法の整備のための改正ということが行われるわけでありますから、その運用についていろいろ御心配をいただくということにつきましては、第一線に十分改正の趣旨を徹底いたしまして、その運用に間違いのないように努力してまいりたいと考えております。


○国務大臣(田川誠一君)
 権限を持っている者は絶えず自粛自戒して、法の運営に当たっていかなければならないと思います。そういう意味で、監督下にある業者に対しては十分慎重に対処するように公安委員会としても警察を指導してまいるつもりでございます。やはり、権限を持っておる立場からしまして、どうしても第一線に徹底ができない面がありますと、そういうことがいろいろ指摘をされるのではないかと思います。そういう意味で、十分徹底できるように、私の方からも慎重に対処できるような指導をしてまいるつもりです。
 

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁長官)の発言
答弁者(国務大臣:国家公安委員会委員長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第20号(昭和59年 7月26日)より抜粋
「正当に営業している者に対して無用な負担をかけるようなことがあってはならない」ことについての国会における質疑

(略)
○古山説明員
 …(略)… しかしながら、立ち入りに当たりまして、その必要性あるいは営業者側の受ける不利益等を考慮いたしまして、いたずらに過度の負担にならないよう柔軟に対処していきたいと考えております。

(略)
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第21号(昭和59年 7月 3日)より抜粋

(略)
○政府委員(鈴木良一君)
 立ち入りの運用に当たりましては、営業者の皆さんになるべく負担が少なくなるということが望ましいわけでございまして、私ども十分に配慮をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。なるべく営業者の皆さんに御負担にならないように運用をしてまいりたいと、かように考えております。

(略)
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第20号(昭和59年 7月26日)より抜粋
「報告又は資料の提出で行政目的が十分に達せられるものについては、それで済ませることとし、この場合には立入りは行わない」ことについての国会における質疑

(略)
○衆議院議員(草野威君)
 今回田先生からお話あったとおりでございますが、この立ち入り権の問題につきましては、昭和23年以来立ち入り権についてどのような議論が行われてきたか、どのような解釈が地方行政委員会で行われてきたか、こういう点につきましても、私どもも若干調べてみました。その限りでは、先ほど警察庁から説明がございましたけれども、立ち入り、検査、質問、これらについて明確にできるという、そういうような答弁はなかったように私は記憶しております。したがって、今回法改正によりましてこれらの点を明文化した警察の意図というのも、やはり、そこら辺のところを心配をされまして、このように明文化をされたんじゃないか、このように我々は判断をいたしました。
 そこで、問題となることは、確かに今までの立ち入り権についてもある程度のことはもちろんこれはできると思いますけれども、ただ職権乱用等によりまして本法に全然関係のない帳簿類まで検査するような、そういうことがあってはならない、そういう意味を含めまして附帯決議の中に盛り込ませていただいた、こういうわけでございます。


○佐藤三吾君
 両先生の説明は、すごく明快にわかるんです。
 警察庁、今の両先生の答弁のように、報告と提出がされれば一切立ち入りしないという前提で修正案ができておると、こういう理解でいいわけですね。

○政府委員(鈴木良一君)
 その前に若干補足をさしていただきたいと思いますけれども、この立ち入りにつきましての議論というのは確かに余り行われておりませんが、この法律ができました二十三年に政府側としては、立ち入りとはどういうものかということをお答えをしているものが一つございます。それは、「立ち入りの意義でありますが、営業所の現場に臨みまして、行政上の目的をもって視察、検査することであります。」という説明を二十三年の六月三日、衆議院治安及び地方制度委員会における間狩説明員、当時は防犯課長でございますが、その説明で申し上げておることが一点ございます。あとは確かに余り立ち入りについての議論は行われておりませんことは間違いございません。一点だけちょっと追加をさしていただきます。
 それから報告、資料の提出の問題ができる限り先行することが望ましいと私どもも考えております。それは、ただ報告、資料の提出が一切先行するということではないと私どもは考えておるわけでございまして、その点はこの附帯決議の十の1にございますように、「報告又は資料の提出によってできる限り済ませるものとするとともに」、ここにこの思想が出ておる、こういうふうに考えておるわけでございます。「報告又は提出書類等については、法の趣旨に照らし必要最小限のものに限定する」ということもつけ加わっております。報告または資料の提出の問題は、ここの十の1にあります解釈で私どもはいくべきである、こういうふうに考えております。
衆議院の附帯決議

(略)
衆議院議員(修正案提出者)の発言
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第18号(昭和59年 7月19日)より抜粋

(略)
○原田立君
 第三十七条の「報告及び立入り」について、一項、二項と、こういうふうに修正案でされたわけでありますけれども、どうですか、三十七条の一項の方の「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者等に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」とありますね。旧法では「風俗営業の営業所に立ち入ることができる。」という言葉しか入っていないのですけれども、前に他の委員の質問で、これは「営業所に立ち入ることができる。」というのは、「その業務に関し報告又は資料の提出を求めること」を含んでいるのだ、だから書いておかないと混乱するから書いたのだというふうな答弁があったと記憶しております。だけど、これは非常に過重な負担をかけるように私は思うのです。第一項は削除したらいかがですか。

○政府委員(鈴木良一君)
 衆議院でこういう形でもって御修正をいただいたわけでございますけれども、これは要するに、こういう調査権を二つに分けまして、一つは報告、資料の徴収というようなもの、一つはこの法律施行の目的のための立ち入りというものが二項に書かれたということでございます。そしてこれは、こういうふうに分けられたことによりまして、法律施行の目的のための行政調査権の行使についてはできる限り報告、資料の徴収によることとして、そして立ち入りによる方法というのは最小限度に限っていくべきだという趣旨が明らかにされたというふうに私ども理解をしておるわけでございます。この考え方はさらに附帯決議におきましてもそういうことが表明されておるわけでございまして、したがいまして私どもは、できる範囲で資料の徴収あるいは報告で済ませるものはそれで済ましていく、それがむしろ業者にとりましても負担を軽減するやり方ではないか、かように考えておるわけでございまして、この点につきましては、やはりこれを落とすということはできないと、かように考えております。
衆議院の附帯決議

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第20号(昭和59年 7月26日)より抜粋
「立入り」の定義についての国会における質疑

(略)
○高橋(禎)委員
 第4条の関係につきましては一応この程度で打切りまして、第6条についてお伺いいたします。第6条の第1項に規定してあります「営業所に立ち入ることができる。」この立ち入りということについての定義をひとつ御説明願いたい。

○間狩説明員
 立ち入りの意義でありますが、営業所の現場に臨みまして、行政上の目的をもつて視察、検査することであります。


○高橋(禎)委員
 いわゆる臨検と同じですか。相違があるのですか。

○間狩説明員
 言葉が変つておりますが、従来の臨検と内容におきましてほとんど変りはないと思います。


(略)
質問者の発言
答弁者(説明員:国家地方警察本部警視)の発言
第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会会議録第34号(昭和23年 6月 3日)より抜粋
「無許可のものであっても、立ち入ることができる」についての国会における質疑〔参考〕

(略)
○政府委員(漆間英治君)
 …(略)…
 それ以外に、先ほど一般的なことで御説明申し上げましたように、業態上許可を取っていないけれども、実態上は風俗営業であるというものにつきましては、風俗営業としての立ち入りを行うことがあります。これは、要するに営業でありますから、何回か反復継続してその種の業態を繰り返すことが必要でございますので、これは専門家が、当然先ほど先生がおっしゃいましたような証票を携帯して訪れてやるというのが通常でございます。
 …(略)…

(略)
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第111回国会 参議院 地方行政委員会風俗営業等に関する小委員会会議録第1号(昭和62年12月10日)より抜粋
検査等が明記されていないが、「立入り」の際し、検査等が許容される解釈についての国会における質疑

(略)
○亀田得治君
 …(略)… これは、「立ち入ることができる」と、こう書いてあるだけで、立ち入ったあとどんなことができるのかということは、何も書いていないのです。先ほど警察の方でも、こういう立法は、もうみんな前例に従ってやっているのでと言いますが、たとえば質屋営業法の二十四条の立ち入りですね。この場合には、「営業時間中において、質屋の営業所及び質物の保管場所に立ち入り、質物及び第十四条の規定による帳簿を検査し、又は関係者に質問することができる。」できる行為というものは、きちっと法律上明確にされている。だから、これなら行動がはっきりするわけですね、入ってきた後の。これはあなた、立ち入ることができるということであって、立ち入ってぽかっと立ているわけじゃない。先ほど聞くと、ちょっと従業員に聞いてみたいということもあるようなお話、だから、そうなると、やはり具体的にこれは書く必要がありますよ、こういうふうに。それからほかの、旅館業法でも、この風俗営業よりはもう少しはっきり書いております。たとえば旅館業法の場合、第七条ですね。これは、「営業の施設に立ち入り、その構造設備若しくはこれに関する書類を検査させることができる。」行動というものは明確にされておるわけです。こっちの方は明確にされておらない。必要性と言うか、その入る権限だけが明確にされている。こんなものは、主観的にどうにでもできる。入った後は野放図ですからね。だから、私は、具体的に一項目、二項目書いてほしいのだが、まあそんなことをするのも少し煩雑過ぎるということであれば、せめて営業の妨害にならないようにすべきであると思う。警職法第六条第3項が規定していると同じようなことぐらいは、これは入れておかなければならない。そんなことはしませんと警察は言うておるなら、せぬのなら、入れておったって、警察の立場で不利なことはない。両方の調和がそこでとれるわけです。全然野放図ですからね、こういうことは非常に危険です。なるほど従来もこういうことでやってきたということかもしらんが、ここがせっかく改正されるというもんだから、注意していろいろ見てみると、ちょっとほかの法律に比較しておかしいという感じを持っているのです。だから、そういう規定を入れること自体は、私は、今から法律でここで新しく御破算にして作るのだというなら、当然もう少ししぼられた概念というものが適当だと思うのですがね。刑事局長そう思いませんか。質屋の場合でも、旅館業の場合でも、入った人のやる行動というものはちゃんと明記されている。これにはないのです。それが、今度は、つまり警職法と同じ人ですからね。そこで、一つの脱法行為みたいなことをされても困るのじゃないか。

○政府委員(竹内壽平君)
 第一の、立ち入ってから後のいかなる行動がとれるかということを、法規の上に明らかにすべきではないかという御議論でございますが、ごもっともな御議論だと存じますけれども、この点は、現行法におきましても、立ち入ることができるということで、それから先のことは書いていないわけでございますが、これは、現行法立案の当時にも、おそらくはそういう問題があったろうと思うのでございますが、これは、条例が若干各都道府県によって内容も違っておると思うのでございます。順守事項も違っておると思いますが、そういうような順守事項を明らかにするところもありましょうし、いろいろありますので、結局は、ただばく然と立ち入るのではなくて、そのような順守事項が守られておるかどうかを調べるためには、職員に質問するであろうことも当然考えられるわけで、おそらくこれは、現行法が実施してから今日になっても、大してここに問題がなくきておると、こういう現状をそのまま今度の改正法におきましても受け継いでおるわけであって、わずかに違っておりますところは、先般の警察法の改正の際当然なすべきであった「当該官吏及び吏員」を、本来の姿である「警察官」と書き改めただけでありまして、それからなお、深夜における場合におきましての規定を加えたというだけで、この部分については、本質的な改正ということはないというふうに私ども実は理解しておった次第です。
 それからまた、先ほどちょっと触れましたが、警職法の六条の三項でございましたか、あのような規定を置くことの可否でございますが、これは警職法の場合と違いまして、監督官庁がその法律の執行を監督するために入るわけでございます。従って、その受忍義務と申しますか、監督を受ける者の立場というものは、警職法の場合とは違うのではないか。警職法の場合でさえそうなっておるのだからという御議論を伺ったわけでございますが、私は、警職法だから、そういう規定を置いて、不測の迷惑をかけないようにすべきだと思いますが、この飲食店営業あるいは風俗営業の場合におきましては、当然監督を受ける建前になっておりますから、その監督をしますために入って来る、これは業者としましてはやむを得ないことなんで、私は、むしろ警職法にはそういう規定を置くべきでありますが、風俗営業の方にはそういう規定をあえて置く必要はないのだと、かように考えております。


○亀田得治君
 これは、警察にちょっと聞きますが、旅館業法の場合は、これはだれが立ち入るのですか。旅館業法七条による立ち入りですね。「当該吏員」となっておりますが、実際上これはどうなっているのですか。

○政府委員(原文兵衛君)
 監督官庁である都道府県知事またはその事務を取り扱うところでありまして、警察ではございません。


○亀田得治君
 だから、そういう点が非常に違うわけですね。旅館ですと、そんなに人がざわざわと集まっているわけでなく、一室ずつに入っているわけですな。従って、そういうところは、実際は、警察が帳簿などを調べに行ったて、大して目に立つわけじゃない。営業妨害といったような観念というのはむしろ出にくい、風俗営業では対象となっているような店に比較すれば。大いに行ってくれというのじゃないのだが、これに比較すればね。そういうところでは、今お聞きすると、結局普通の吏員、こういう人が行くのですからね。そういう人が行って、法律で明示された行為、第七条では、ちゃんと調べる項目というものを明示しておりますね。こういうところでは、行き過ぎというか、そんなことは起きてくるおそれはない。今度の場合は、結局は警職法と同じ、警察官が行って、しかも、たくさんの人が集まっているところだから、その行動の基準というものを明確にすべきではないか。して悪いことはない。私は、するのが理想だと思うのです。ただ、それを書こうとすると、なかなかむずかしいということだけであって、書き方がね。しかし、それは、行動の基準を明確にしておくのはあたりまえです。皆さんの方は、おそらく目的がちゃんとはっきりしているのだから、目的のための行動なんだから、そこにちゃんと行動の基準があるのだと、こういうことだと思いますが、そうすれば、質屋の場合だって、旅館業法の場合だって、そんな具体的な行動まで書く必要はないわけです、目的がはっきりしているのだから。だから、一方には書いてあるのに、質屋とか旅館よりもなお一そう営業妨害のおそれのあるこういうものについて、行動の基準を具体的に書かないのはつり合いがとれない。書ければ一番いいことでしょう。書く書かぬは別として、理論としては、書けば一番いいと思いますが、その点はどうですか。現行法にとらわれないで考えて、刑事局長の御意見を聞きたい。

○政府委員(竹内壽平君)
 書ければ書いた方がいいという御議論でございますが、それは書ければ書く方がいいという御議論も成り立つと思いますけれども、もともと風俗営業は許可営業になるわけなんで、その許可を受けている営業というものは、許可条件というものはわかっているわけで、従って、立ち入りました場合に、何が立ち入りの目的になるのかということは、おのずからわかってくるわけなんで、書かなくてもわかるのじゃないかというふうに私は思うのでございますが、簡明に条文として表わし得るような表現があって、そういうことを書いた方がなお明確になるということでありますならば、しいて私も反対するものでもございませんが、なお、改正法といいますよりも、立ち入りについては、現行法でございますが、現行法の運用に徴しまして、いささかも支障がないということならば、何もしいて書かなくてもよくはないかというのが私の意見でございます。

○亀田得治君
 まあ大体現行法があるから、それから警察の立場も若干考慮されての答弁のようですが、理論的には、やはり書けるものなら、書いた方がいいというふうな意味も、今の答弁に含まれておると思う。これは私は、当然そうあるべきだと思います。まあそういう点で、刑事局長は当事者ではないから、多少客観的にお答え願っておることは非常に敬服しますが、これは、ほかの法律と比較したって、当然そうすべきです。書き方が問題なんです。だから、私もわかるのですが、たとえば、営業妨害にならぬようにというようなことを書くと、そこでトラブルが起きやせぬか、お前そういう調べ方をするのは営業妨害だと、向うから言われやせぬかといったようなことも、警察としては懸念されるのだと思います。しかし、私は、そんなことを言う者はあまりおらぬと思うのですよ。大体立場が違うのだから、向うが弱いものだから、そんなことを言う場合には、それは、よほど行き過ぎがある場合ですよ。おそらくは。今まで差しつかえないと言うけれども、それは、弱者だから声をあげてこないのです。そういう点もありますしね。だから、今の局長の答弁からしまして、できるものなら、これは、何かほかの質屋なり旅館業法とのつり合いのとれる程度に、警察官の行動の基準というものは、やっぱりもう少し具体的に明確にしてもらいたいと思います。そうしておけば、まあ警職法で飛び込んで、間違ったと言うて、いや、これは営業法で来たんだとか、そんなことも言えぬ。ちょうど警職法が問題がなっているときですから、なおさらこれは一つ厳重にやってほしい。いいでしょう、警察の方、営業を妨害するつもりはないというところから。

○政府委員(原文兵衛君)
 私も、先ほどの説明で、あるいは表現が足りなかった点があろうかと思いますので、若干付け加えさせていただきます。現行法、改正法ともに、「立ち入ることができる」というだけにしてありまして、立ち入って帳簿を検査することができるとか何とか書いてございませんのは、これは、風俗営業の順守事項等につきましては、立ち入ることによって当然若干質問をするというようなことは含まれるかと思いまするけれども、営業の内容等を許可しているのではありませんで、風俗営業という観点から許可でありますので、帳簿等を提示させる必要はございません。大体まあ立ち入って、あるいは若干質問することもあるかもしれない。それによって、明るさを暗くしているのではないか、あるいは少年等をそこにたくさん入れているのではないか、あるいは卑猥な行為をさせているのではないかということは、それによってわかるわけでありまして、むしろ逆に、質屋営業法あるいはまた旅館業法等の、立ち入って帳簿の検査をすることができるという、そこまで至らない立ち入り、もっと手前のところでよろしい、こういう意味合いでそれを規定していないのでございまして、なお、風俗営業で許可を受けておりまする料理店あるいはまたカフェー等におきましても、当然飲食店営業としての許可は受けておるものでございますので、そういう方面の監督官庁として、衛生設備その他のこまかいところを見なくちゃならぬものは、これはまた、そちらの当該官吏がそちらの法律によって見る、こういうことになっておるのでございまして、御説明の足りなかった点があろうかと思って、付け加えさせていただきます。

○亀田得治君
 これは、文字通りに解釈すれば、「立ち入ることができる」と、まあ入ってくるだけだ、あとそんな答える必要はない、うろうろあまり歩かぬでおいてくれと、逆に出られる場合があり得ますよ。それは、立ち入れば質問するのは当然だと、こうおっしゃるけれども、私はまあ多少好意的にそれは解釈しておるから、立ち入ってただ黙っているわけじゃないだろうと言うのですが、つむじ曲りの人がいて、君は立ち入ることができるったって、ほかのことは一体何ができるか、はっきりせぬじゃないか、警察官も困るのですよ。そんなばく然としたことじゃ。だから、現に質屋営業の方では、「又は関係者に質問することができる」と書いてあるじゃないですか。質問みたいなのは当然だということなら、そんなこと書く必要はない、これは、そうじゃない。できることは書いて置いてやった方が両方ともはっきりする。営業者にしても、入る人にしたってね、これは間違いないですよ。それは議論にならないで来たのだからということだけで、質屋営業法と旅館業法と風俗営業法と一緒に立法したら、具体的に書かれているはずです。今からでもおそくないですよ。何とかそれを直してほしいと思いますね。積極的に反対する理由はないはずです。

○政府委員(竹内壽平君)
 御議論ごもっともでございますが、この六条を見ますと、「条例の実施について必要があるときは」と、こうありまして、立ち入ることができる前提となりますのは、条例の実施について必要がある、この条例の実施ということなんで、その立ち入る目的が条例の実施ということにあることは、この法文上も明らかであります。おそらくは、現行法が制定されますときにも、この条例の実施ということで国会の審議も通ったのじゃないかというふうに私は思うのですが、おのずからそれで行動範囲というものもわかってくるのじゃないかというふうに思うのでございまして、ただ単に、風俗営業の営業所に立ち入ることができるというだけじゃなくて、都道府県の条例の実施状況を見るために必要がある場合に入るということで、入る目的は割合明確になっているのじゃないか。のみならず、先ほども説明ありましたように、帳簿を調べたり何かするよりも、ただ入ってじろじろ見て来るだけで目的を果す場合が多いのじゃないかということを考えると、特にこれをここに書く必要もないのじゃないかというふうに思うのであります。


○亀田得治君
 いや、それはやはり書いた方がはっきりする、何と言ったって。それは、目的は目的であって、それは入るまでの理由です。入ったあとの行動は全然別です。目的に包含されたものが全部行動になって現れている場合もあるし、そうでない場合もある。だからこれは、できたら明確にしておいていただきたい。どうも、店に入って中を見回すだけとか、それから、営業主並びに店員に質問できるとか、できるならできると書いたらいいし、限界がはっきりしない。入って、そこにじっとしばらくお客さんの出入りを見ておるとか、いろんなことが、限界がはっきりしませんよ。いつまでもそんなところにすわっていてもらっちゃ困るでしょう。だから、そう一々言えぬのなら、営業の妨害にならぬように注意せえというような、抽象的な規定でも置くとか、それは、今までずっとわれわれもこれは気が付かないでやってきたんだが、注意してみれば、ほかの法律はみな具体的なんだし、これだけ、全く立ち入ったあとの行動が何も規制されていないというのはおかしい。規制の仕方が難しければ、営業妨害にならぬよう注意せえ、こういう訓示的な規定でもただし書として入れてもらいたい。入れたっていいでしょう。同意してください。積極的な反対の理由はどうも聞かれぬものだからね。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局長)の発言
答弁者(政府委員:警察庁保安局長)の発言
第31回国会 参議院 地方行政委員会会議録第6号(昭和33年10月21日)より抜粋

(略)
○鈴木(良)政府委員
 その前提として一言お話しを申し上げなければいかぬと思いますのは、実は、今度の立ち入りの規制は、十分必要なところを配慮しながら改正をしているつもりでございまして、現行法より決して厳しくしているわけでも何でもございません。その点だけはまず御理解を賜りたい、こう思うわけです。
 今、お話しの、例えば「帳簿、書類その他の物件」というものがございますけれども、こういうものを検査できるというのは、今までの法律解釈でも、現行法でもできるという解釈が通説でございまして、現実にもそういうふうに考えております。この書き方は近時の立法例に倣って書いているだけのことでございまして、実は現行法を確認的に書いたにすぎないものでございます。そういうことで、一つ何も厳しくしたわけでも何でもないということをまず御理解賜りたいと思います。

○山下(八)委員
 今の御答弁を聞いていますと、旧法で十分間に合うと思うわけですね。特に現行の風俗営業等取締法では、「警察官は、風俗営業の営業所に立ち入ることができる。」にすぎないわけなんですね。業者が立ち入りを拒んだりしたときは五千円以下の罰金に処せられるわけです。改正法では、公安委員会は、風俗営業者に対し、報告もしくは資料の提出を求め、警察官は、立ち入りだけでなく、帳簿、書類その他の物件を検査させ、もしくは関係者に質問させることができるわけですね。これは許否できないわけなんですね。もう一度その辺を教えてください。

○鈴木(良)政府委員
 繰り返すようになりますけれども、先ほど先生がお話しのように、現行法は、立ち入りをすることができるというふうにもちろん書いてあるわけでございます。現行法では、立ち入りをした場合には、当然立ち入りの目的があるわけでございますから、必要なことはできるという解釈が当然であるというふうに考えておるわけでございまして、立ち入りして後は質問も検査も何もできないということになりますと、立ち入りした意味は何にもなくなっちゃうということになるわけでございまして、現行法でも、今申しましたように、立ち入りをして必要なことはできるという解釈が定着しておるわけでございます。…(略)…

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第19号(昭和59年 6月28日)より抜粋

(略)
○佐藤三吾君
 どうもありがとうございました。
 そこで、警察庁にお伺いいたしますが、今の修正案の内容の中で、十七日の答弁だったと思いますが、鈴木さんの答弁だったと思うんですが、この削除によってどういう影響が出るのか、こういう問題の質問だったと思うんですけれども、あなたの答弁の中では、現行法の中でも当然立入検査もできるんだと、こういうような答弁じゃなかったかと思うんですが、本法並びに本法の施行条例の実施のため必要な限度で検査をし、または関係者に質問することができるものと解される、立ち入った後に犯罪事実を認知した場合は刑事手続をとることは差し支えないと解されるというようなことが趣旨だったと思うんです。それから見ると、この本文が現行法に戻ったということは、戻ったことによって資料提出ができなくなったり、それから検査ができなくなったりすることではない、そういう意味ではこの問題についてはそう変らないんだと、こういう説明じゃなかったかと思うんですが、いかがですか。


○政府委員(鈴木良一君)
 立入検査はあくまでも行政目的のためにするわけでございまして、この法の施行に必要な限度で行うわけでございまして、現行法におきましても、この行政目的を達成するために必要な限度で立ち入りが可能であり、また、その立ち入りが何ができるかということにつきましては、必要な限度で帳簿、書類その他の物件を検査あるいは関係者に質問することは可能であるという解釈でやってきたわけでございます。
 …(略)…

○佐藤三吾君
 そうすれば、原案の事項、これは行政目的じゃなかったんですか。

○政府委員(鈴木良一君)
 これは行政目的でございまして、変わるものではございません。その点を明確に改正法案では書いたということでございまして、その点の解釈は変えておりません。


○佐藤三吾君
 だから、あなたの答弁を聞きますと、立ち入りして行政目的でやる検査もしくは質問、これは原案は明文で書いたと、したがって、明文を取ったからといって何ら実際行為は変わらない、こういう御理解であるというように思うんですが、そうですか。


○政府委員(鈴木良一君)
 おっしゃるとおりでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第18号(昭和59年 7月19日)より抜粋
「営業時間中に立入り」についての国会における質疑

(略)
○政府委員(原文兵衛君)
 …(略)…
 たとえば、あるAというカフェーで、いつもカーテンの装置を客室の中に設けて、いろいろとおかしなことをしているというような評判が立つ。そうしますと、警察としても、それをほうっておけませんので、そこに行って、そういうようなカーテンの遮蔽装置をしているかどうかということを見るという必要を生ずるのでございます。なお、応急設備等については、営業時間外に見ればいいじゃないかというお話がございましたが、もちろん、営業時間外に立ち入って見ることによって目的を達する場合もございますが、やはり業者におきましては、営業時間外はそういうような装置がないようにしておって、営業が始まりますと、さっと取りつけてやるというふうにやっているようなものももちろんございまして、乱用は戒めながら、しかし、やはりこの立ち入りは必要でございまして、これがなければ、やはり順守事項なり制限というものは確保されないというふうに考えるのでございます。

○亀田得治君
 …(略)…
 それから、先ほども言うたように、終業時間が守られているかどうかということは、就業時間にぐろっと外を回れば、大体見当がつきます。そうすれば、そのあくる日、大体迷惑にならぬように、事情を聞いてみるとか、そういうことが必要なんです。私は、何回も言うように、この営業はもっと規制していいのです。第一、許可がルーズ過ぎますよ。あんなにたくさんどうして要るんですか。あまりたくさんあるもんだから、われわれの方だって、ちょっと入りたくなる。だから、こんなものをもっと厳重にやってもよろしい。しかし、許したものについては、警察官というものは犯罪の関係を受け持っているのだから、そういう妙な感じを与えることはよくない。調べ方が難しいのは、これは、元来警察権力の発動というものはむずかしいものだと思うのです。そこをもう少し明確にしてほしいと思うのです。

○政府委員(原文兵衛君)
 …(略)…
 なお、営業時間外でも目的は達せられるのではないかというお話でございますが、確かに十一時の終業時間であるのに、十二時、一時にやっていれば、これは外から見てもわかるのでございますが、この条例の順守事項にはいろいろございまして、たとえば十八歳未満の者、少年は客として入れることはできないという規定もあるのでございますが、これなども、やはり営業時間中に入ってみなければ、その順守事項を守っていないということ見つけることもできないのでございます。…(略)…

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁保安局長)の発言
第30回国会 参議院 地方行政委員会会議録第6号(昭和33年10月21日)より抜粋
「営業時間外の立入り」についての国会における質疑

(略)
○佐藤(通)委員
 …(略)…
 それから第六条の後段でありまするが、風俗営業の場合、営業所に立入ることができるとありますが、これは時間的な制限があるという問題です。真夜中でもはいることができるということになると、営業者は非常に迷惑するのではないかと思いますが、以上の点について御答弁を願いたいと思います。

○武藤説明員
 …(略)… 第三番目の立入りの制限でありますが、御説の通り真夜中に立入りをすることは、非常に営業者にとって迷惑なのではないかという点でございます。この点は法を執行いたす者としては十分に慎重でなければならない点でございますが、ただこの種の風俗営業の性質上、むしろ公開時間を過ぎてからあとにいろいろここで取締らなければならないような懸念の起る場合も考えられます。そういった場合は公開時間以後において立入りをする必要が起り得るのではないか、そういう点を考慮しております。けれどもそれかといって、こともないのにいたずらに立ち入るということは、絶対に避けなければならないと思います。

(略)
○佐藤(通)委員
 第六条の営業の場所立ち入るというこの条文でありますが、今御答弁によりますると、営業時間外でもやはり立ち入るような場合があるかも知れないとうことを予想した意味において、この条文をおつくりになったように私は想像するのでありますが、従来この警察官の営業場所に立ち入るということは、単に取締りということを目的にいたしまするのみならず、無意味に立ち入るような弊害が非常に多いのであります。そこでこういうような条文を置きますると、今おっしゃったように、営業時間外に必要の起った場合にははいるというのではなく、無意味に何かありやしないかというような想像、憶測、そういう主観的な考えから臨検その他の方法ではいるようなおそれがこの条文によってあるのではないかと思う。従って条文においてそういうことができないように改正する必要があるのではないかと私は思いますが、もう一遍この点について伺っておきたい。

○武藤説明員
 御心配の点でありますが、当該官吏及び吏員がこの職務を執行するにあたっては、あくまでも職務執行の必要上に止めることは原則だと思うのであります。いたずらにこの条文に名を借りて、臨検の制度を濫用するといったことがあれば、これは職権の濫用、住居侵入といった刑法の規定に問われる筋のものであります。それによって当該官吏の職権については十分制限を付するものと存じます。


○佐藤(通)委員
 ただいまの御答弁によってよくわかりますが、そういうようなことであるとするならば、はっきり条文の中に営業時間内というような言葉を入れたらどうかと思うのでありますが、この点についてはどうです。


○武藤説明員
 先ほど申し上げましたように、営業時間を過ぎてからむしろこの法律で最も恐れる事態が起るということが考えられますので、そういった事態を考慮しておりますので、ここで営業時間内と制限してしまうことは、この法律の所期の目的を議する上において狭きに失するのではないかと考えます。

(略)
質問者の発言
答弁者(国家地方警察本部警視)の発言
第2回国会 衆議院 治安及び地方制度委員会会議録第33号(昭和23年 6月 2日)より抜粋

(略)
○説明員(石瀬博君)
 非常に細かいお話をするのも恐縮なんでございますけれども、風営適正化法三十七条の二項に、「警察職員は、この法律の施行に必要な限度において」風俗営業等の営業所に「立ち入ることができる。」、これは時間を限っていないわけでございます。 …(略)…

(略)
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第102回国会 参議院 地方行政委員会風俗営業等に関する小委員会会議録第3号(昭和60年 6月18日)より抜粋
「立入りは、公安委員会の定めるところにより行い、事後において報告書を作成し、これを幹部に報告する」ことについての国会における質疑

(略)
○神谷信之助君
 その次、立ち入りの問題二十二ページですか、この3の「立入りの手続及び方法」の問題ですが、「立入りを行う警察職員は、別紙の立入証を携帯し、関係者に提示するものとすること。」と。イで「立入りは、公安委員会の定めるところにより行い、事後において報告書を」つくりと、こうなりますね。
 参議院の決議では、公安委員会の判断により立ち入りを行うというようにせいというように、たしか十項の第二号ですか、「立入りは、都道府県公安委員会の判断により行い、」、そしてその結果は報告をしというようにしています。だから、公安委員会の定めるところにより行うというのは、そういう公安委員会の判断を下す手続なんかを含めて規定をされるというように解していいのですか。

○説明員(古山剛君)
 公安委員会が個々の警察官の行為についてまで、これは立ち入るべきであるとか、立ち入るべきでないとか、そういうような指揮は、警察法の建前上これはできません。ただ、公安委員会の御意思が反映するように、そういうような公安委員会の定めるところによって立ち入りをするというような形で決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。


○神谷信之助君
 これは衆議院で修正をされた問題ですね。それから、参議院でも十項のところで、立ち入りについて留意事項を明記したわけです。だから、立ち入りの行使はできるだけ避けることとし、なるべく報告、資料の提出でやりなさいよ、どうしても立ち入りをせんならぬ場合には都道府県公安委員会の判断により行い、そしてそれは必ず公安委員会に対して報告をしなさいよ、これはここでは上司に報告をしてそして特別の証明書を提示しなさいよというように立入権の乱用を戒め、そして営業権に対する介入といいますか、それにならないことを期待してこういう決議ができているのですね。
 だから、一般的に立入証を渡して、それを持っている者は一般的にやれますよという一般的な委任といいますか、そういうことになると、ちょっとこれは決議の趣旨から外れてくる。この辺のところをどう考えておるのかということです。


○説明員(古山剛君)
 私どもといたしましては、衆議院、参議院両院の決議の趣旨を踏まえてやってまいらなければならないというふうに思うわけでございまして、警察手帳でなくて、別の立ち入りの証明書というようなことでやるというふうにもちろん限るわけでございますけれども、たとえ立入証を持っているからといって、みだりに立ち入るというようなことのないように公安委員会の方で基準を定めるというようなことにいたしたいというふうに思います。
 身分証明書につきましては、警察官全般に渡すというふうなことはいたしませんで、特定の専門の係というような者だけにいたしたいと思いますし、それから個々の警察官がみだりに立ち入ることのないよう準則を定めるとか、そういうふうなことで、そういう業者の方の負担とかにならないようにきちっとやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
衆議院の附帯決議
参議院の決議

(略)
質問者の発言
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第102回国会 参議院 地方行政委員会風俗営業等に関する小委員会会議録第2号(昭和60年 1月31日)より抜粋
「客が在室しないことを確認する必要がある」ことについての国会における質疑

(略)
○岡本委員
 …(略)…
 この歯止めをきちっと警察庁当局においてしておかなければ、業界は、あるいはまた入ってこられる方はたまったものじゃない、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。


○鈴木(良)政府委員
 …(略)…
 それから、立ち入る場所につきましては、従来格別の規定はないわけでございますけれども、今度は「個室その他これに類する施設を設ける営業所にあっては、客が在室する個室を除く。」ということで、むしろそういうところには立ち入りませんよということをみずから律したということでございまして、 …(略)…

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第19号(昭和59年 6月28日)より抜粋

(略)
○政府委員(鈴木良一君)
 この立法をしました、政府原案をつくりましたときの趣旨でございますけれども、何せ二十三年に現行法の「立入」という規定ができたわけでございます。必ずしも当時の関係で十分整理ができておるものではない。その後いろいろ立法的な技術も進んでまいりまして、そうして必要なものは明確にしていくことが望ましいのではないかというようなこともございまして、それで、できる限り法文上も必要なことを明らかにしていくことが国民の権利保護に一層資するであろうと、こういうふうに考えて整理したものでございます。
 …(略)…
 それから「営業所に立ち入ることができる。」ということでございますけれども、今度の改正では特にモーテル、ラブホテル等の規制の規定も整備するというというふうな事情もございまして、やはり国民のプライバシーの保護をより明らかにしていくということが望ましいと、こう考えまして、単に立ち入りすることができるというのじゃなくて、客が在室する個室を除くという趣旨を明らかにしてまいろう、それが一層国民のプライバシーの保護に資するものであると、かように考えた点がございます。
 …(略)…

(略)
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第23号(昭和59年 8月 7日)より抜粋
「原則として、営業者、従業者等営業者側の者に対する質問に限り、客に対する質問は、営業者側への質問で十分に目的を達しない場合に限り行うこととし、通常は行わないようにすること」についての国会における質疑

(略)
○岡田(正)委員
 …(略)… これは公安職員の方が関係者に質問するわけでありますが、この関係者というのは、その店の経営者、管理者、従業員だけでございますか、それともお客さんを含む関係者でございますか。

○鈴木(良)政府委員
 今お話しのような営業者、管理者その他の従業者で、健全な営業が行われているかどうかということを確認したり営業の実態を把握するために事情を聞く必要がある者を言うわけでございまして、通常、客を含むものではないというふうに理解しております。


○岡田(正)委員
 そこの通常というのが、これまた日本語がよくわからぬのですが、通常でない場合があるわけですね。通常でない場合は、お客さんにも直接公安職員が質問権を発揮して質問しますよということがあり得るわけですね。


○鈴木(良)政府委員
 実は、いろいろな営業形態の中でやや脱法的なやり方をされる場合があるわけなんです。例えばある意味で、従業者ということじゃなくて客を装うような形でやるということも実はないではない、実際の例があるわけでございます。そういうような格別の場合は別でございますけれども、そうでなければ客は通常含まない、こういうことでございます。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第19号(昭和59年 6月28日)より抜粋

(略)
○神谷信之助君
 …(略)… 警察官が立ち入りをして客にみだりに質問をするということ、これはできるだけみだりにいたしませんということになると思うのだけれども、 …(略)…

○政府委員(鈴木良一君)
 …(略)… これは私どもが立ち入りで行いますのは、やはり営業者なり従業員という者に対してのいろいろな質疑等でございまして、そこに立ち入っている客に対しましては、私どもはこの立ち入りの運用としてはやるべきではないというふうに考えております。 …(略)…

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第23号(昭和59年 8月 7日)より抜粋
「できるだけ営業の妨げとならないようにする必要がある」についての国会における質疑

(略)
○亀田得治君
 営業妨害にならない方法でということを一項入れておくべきじゃないですかね。

○政府委員(原文兵衛君)
 必要以上に営業妨害にならないようにというようなことは当然のことでございまして、これは、警察があらゆる仕事をする場合におきまして、必要以上の迷惑をかけないように、あるいはまた、妨害にならないようにということは教養もいたしますし、内部通牒等でも絶えず繰り返していることでございます。ただ、もし規定に書きますということになりますと、一体それでは、たとえば二ルクス以下でやっているとかいうような場合あるいはまた、どうも子供らしいのをたくさん入れて、いつも少年を入れているというような場合に、やはり立ち入って、この明るさは三ルクス以下じゃないのかというようなことを営業主あるいはまた従業員に聞かなければならないわけでありまして、それは、きくという限りにおいて、その間若干のあれはとられるでしょうし、ある意味では、これは営業妨害だと言えば言えるかもしれません。やはり比例の原則としての必要最小限度の警察官としてやらなければならないことをやるのは、当然のことであろうかと思います。また、必要以上に妨害をするということは戒めなければならないことで、つねづね教養もし、あるいはまた、いろいろと通牒でも出しているということで、それによって適正な取締りができてやっていくというので、私は、妥当ではなかろうか、適当ではないかというふうに考えておる次第であります。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁保安局長)の発言
第30回国会 参議院 地方行政委員会会議録第6号(昭和33年10月21日)より抜粋
「質問」についての国会における質疑

(略)
○神谷信之助君
 …(略)… そういうことと同時に今度は、警察官が立ち入りをして客にみだりに質問をするということ、これはできるだけみだりにはいたしませんということになると思うのだけれども、その場合、未成年者の客であるかどうかということを警察官が確認をするというようなことを立ち入りの際に行うのかどうか。この辺はどういうふうになりますか。

○政府委員(鈴木良一君)
 …(略)…
 それから、年齢確認の問題と立ち入りのお話が出ましたが、これは私どもが立ち入りで行いますのは、やはり営業者なり従業員というものに対してのいろいろな質疑等でございまして、そこに立ち入っている客に対しましては、私どもはこの立ち入りの運用としてはやるべきではないというふうに考えております。例えば非常に明らかに未成年者だとわかっておるということがありますれば、営業者なり従業員に対して、どういうふうに確認しているのか、一度お客さんに聞いてみなさいというような形で運用していくのが望ましいのではないか。かように考えております。。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第23号(昭和59年 8月 7日)より抜粋
「帳簿の検査」についての国会における質疑

(略)
○宮崎(角)委員
 直接関係のない帳簿は一切この法律の対象としないという文言を明確にすべきではないかと思うわけでありますが、この点についてはどうですか。

○鈴木(良)政府委員
 今課長から申しましたように、帳簿を見る必要というのはあるわけでございまして、もちろん、それは私どもが風営の関係の行政目的のために達する限度内でございますけれども、そういう範囲内では見る必要があるわけでございます。帳簿一切を見ないということは妥当ではない、かように考えております。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第21号(昭和59年 7月 3日)より抜粋

(略)
○高杉廸忠君
 …(略)… 対象となる帳簿と対象外の帳簿というものを具体的に説明していただきたいと思うのですが、どうでしょう。

○説明員(古山剛君)
 …(略)… 特にどのような帳簿を作成すべきかということを法定しておりませんので、帳簿の種類は営業所によっていろいろまちまちでございます。具体的にどの帳簿が検査の対象となるかどうかということを申し上げるのはちょっと難しいと思うわけでございます。
 したがいまして、一般論として申し上げるほかはないわけですが、年少者の従業の状況を見るために従業状況を記載した帳簿を見たり、あるいは管理者の指導の状況を見るために、それに関連する事項を記載した帳簿を検査する場合などがございます。
 逆に、本法の運用に関係のない経理帳簿は見るようなことはございません。

(略)
質問者の発言
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第20号(昭和59年 7月26日)より抜粋
「立入り及びこれに伴う質問、帳簿等の検査が憲法第35条(令状主義)や憲法第38条(不利益供述拒否権)に反しない」ことについての国会における質疑

(略)
○志苫裕君
 修正者の御意思は、先ほど言われましたように、片や憲法三十五条もにらみながら、それと今さまざまな警察権限の拡大などということにも懸念をしながら政府が出したものを実は直したのだということを明確にしておるわけです。それは、当然のことながら現行法にも若干あいまいなところがあるので、そのことも当然触れておるわけです。
 だから、現行法に関する解釈が及んでおるとすれば憲法三十五条もにらめということをちゃんと言っておるわけですから、当然のことながら、「警察官」が「警察職員」になったり、「必要な限度において」という文字が入ったり、幾らか変わりましたね。文言は変わっていますが、三十七条を改めて読むときもやっぱり現行法と言っても、これは新しい条文なんだ。政府の改正案に対して新しい条文を衆議院でおつくりになったその立法意図はこれだということを明確になさったわけですから、それを有権解釈としてしなければだめですよ。その点どうです。


○政府委員(鈴木良一君)
 憲法三十五条のお話が出ましたけれども、私どもは現行法も改正法案も憲法三十五条の趣旨には反しないというふうにたびたび衆議院でもお答えを申し上げてきておるわけでございます。
 この規定は原則として刑事手続について適用されますけれども、最高裁の判例によりまして、刑事手続に類似いたします行政手続にも適用され得るということは私どもも承知をいたしております。
 最高裁の基準によりますれば、次の条件を備える手続には適用されないということが明確になっております。それは、刑事責任追及の目的の手続でないこと、刑事責任追及のための資料収集に直接結びつく作用としての性質を一般的に有するものでないこと、それから強制の態様が間接強制であること、その四に、その行政目的達成の手段として不合理と言えないこと、こういうふうなことには適用されないという解釈が確立しておるわけでございます。
 そういう形で私どもは改正案もお出しし、御検討もいただいておる。その過程におきましては、特に帳簿等の関係におきまして、関係のない帳簿等について御懸念があるというようなことが出てまいりました。それでは私どもの方は現行法の解釈としてやれる形に戻していただきますということで、現行法の形に戻したわけでございます。
 もちろん、現行法の形に戻りますと何も帳簿等の検査が自由にやれるとか、大手を振ってやれるとか、そんなことを申し上げておるわけでは当然ないわけでございまして、この法律の施行に必要な限度において運用ができるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。もちろんその運用には慎重にやっていかなければならぬわけでございますが、附帯決議等の御意見も踏まえまして、慎重に適正に運用してまいりたい、かように考えております。
憲法第35条

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁保安局長)の発言
第101回国会 参議院 地方行政委員会会議録第18号(昭和59年 7月19日)より抜粋

(略)
小川(省)委員
 …(略)…
 それから、質問に対して自己に不利益な事項の供述を強要されないということが憲法第三十八条にありますが、不利益なことについて答えないということは当然許されると解してよろしいわけですか。
憲法第38条
○鈴木(良)政府委員
 …(略)…
 それから、自己に不利益なことを供述しないという問題でございますけれども、これも一応犯罪の問題に関してそういう判例があることを承知をしておりますけれども、立ち入りという行政の目的を達するためには、それは本来は認められないものだというふうに考えておるところでございます。


○小川(省)委員
 質問に対して拒否することは、自己に不利益なことも認められないわけですか。


○鈴木(良)政府委員
 その不利益な供述が自白になるような場合には認められるというふうに思いますけれども、そうでない場合には、その拒否するあれはないというふうに考えております。


○小川(省)委員
 憲法に違反しないようにやっていただきたいと思います。

(略)
○小川(省)委員
 ちょっと先ほどの答弁でひっかかったのですが、憲法三十八条に「自己に不利益な供述を強要されない。」ということがあるわけでありますが、これについて、私は不利益なことについてはお答えできませんというふうな答弁があっても、さらに令状なしで警察官が犯罪に関係なくどんどん質問できるということになりますと、これは憲法違反として問題になる事項でありますが、もう一回保安部長の確固たる答弁をお願いしたいと思います。


○鈴木(良)政府委員
 私どもが立ち入りをやりますのは、あくまでも行政目的のために行うわけでございまして、犯罪捜査のためにやるものではございません。
 そういうことで、行政目的のために質問をするということは許されるものというふうに考えておるわけでございまして、先ほど申しましたように、それが犯罪に結びつくような、自白につながるような問題があるとすれば、それは拒否するということが可能でございますが、行政目的という形で聞いておるものにつきましては、これは拒否をするということはできないというふうに考えておるところでございます。


○小川(省)委員
 だから、その辺のところに行政警察がますます強化をされる危険性を感ずるわけです。そういう意味で、行政警察だから何を聞いてもいい、何をやってもいいことになりますとこれは大問題でございます。
 そういう意味で、私はこの点もう一回三井長官からはっきりした答弁をお聞きしたいと思います。


三井政府委員
 明文で犯罪捜査のためのものでないことを念のために規定しておりますが、あの規定がなくても、質問は行政目的に限られるわけでございます。
 したがって、その行政目的について質問をするわけでありますから、それが不利であったから犯罪になるわけではありませんので、質問の方を行政目的に絞れば、犯罪捜査の目的で質問するのではないということでございますので、行政目的の質問には不利である云々という問題は出てこないというように考えます。
 別の観点から不利ということあると思いますけれども、犯罪になる、ならない、不利かどうかというのは、自己負罪というように、そういうことに答えなければ犯罪になるおそれがあるということでありまして、犯罪になる、ならないと関係のないことを聞くわけですから、例えば税金の目的で、それをしゃべったら税金を取られるということは犯罪とは関係ありませんから、それはもう答えないというわけにいかないというような例がございますけれども、この場合適切かどうかは別として、犯罪捜査でない質問、それに限定されますし、またそれについては正しく答えていただきたいということでございます。

(略)
○安田委員
 それは罰則がかかる。
 そこで、先ほどは従前と変わらぬと言う。私は従前と変わると思うのです。ただ、立ち入り権という問題については、それは法解釈上、立ち入った場合に質問あるいは帳簿の検査というものは伴う、こう言われております。そういう点では、従来はただ立ち入り権だけが明記されておったが、今度はそれに帳簿の検査、質問、こういう点等も加わってきたわけですね。
 そこで先ほどはうちの小川委員から、質問を拒んだらどうなるか、憲法の違反にならぬだろうか、こういう質問に対して、そうじゃない、こういう話があったわけですが、そこのところを私はもう一遍お聞きするのです。
 今度は新たに立ち入りに、質問、帳簿の検査、前段には公安委員会への報告とか、そういうのがいろいろ出ておりますけれども、新たに具体的になってきた。そこで、質問をした場合に拒んだらどうなるか。それは憲法違反でない、こう答弁があったのですが、そこの辺、もう一遍答弁いただきたいと思います。
小川委員から
○鈴木(良)政府委員
 先ほどのお話は、供述拒否権というお話が出ましたので、これは刑事上の問題でございましょう、こういうふうにお答え申し上げたわけでございますけれども、やはりこの趣旨は行政法関係におきましても十分尊重しなければならないものというふうに私どもも考えております。したがいまして、立ち入りの規定におきましても、この質問におきましても、自己の犯罪を申告せよなどということが強要されることがあってはなりませんし、我々も行政目的であるということを明確にして、決して捜査のために行うべきものではないということを明示していくということになろうというふうに考えております。
 なお、質問に答えなかった場合はどうなるのかということでございますけれども、それはすぐに罰則が適用されるものではございません。単にしゃべらない程度のものは、罰則が適用になるというものではないということをちょっとつけ加えておきます。
供述拒否権
○安田委員
 そうしますと、先ほどの小川委員に対する答弁は変わるわけですね、今おっしゃったことは。先ほどは、質問に対して答えなかったらというと、皆さんの方ではそういうわけにいかない、こうおっしゃったんだが、変わるわけですね。


○鈴木(良)政府委員
 答弁の内容は変わりません。先ほど申しましたように、供述拒否権、自己に不利益な供述を強要されないという憲法上の問題がこの立ち入りの問題にあるか、こういうお尋ねでございましたので、その問題は刑事手続上の問題でございますということで、立ち入り権の問題はこれは行政上の問題でございますので、行政目的でやります行政上の問題につきましては直ちに適用になるものではないというふうに考えております。これは現実に幾つかの判例があるところでございます。それは私どもは、あくまでも立ち入りは行政目的のために行うということに限定してやっていくつもりでございます。
 先ほど、質問に答えてもらうというのは、私は立ち入り権の中身としてあるというふうに思いますけれども、答えなかった場合にはすぐに罰則がかかるものでないということを申し上げたわけでございまして、先ほど小川先生にお答えしたのと内容が変わるものではないというふうに考えております。


○安田委員
 いいですよ。これは時間がなくなったので、続きをまた後の人にやってもらいます。
 要するに、部長さんは先ほどは、私は聞き違えたのではないと思いますけれども、答えなければならぬ、ここで議論になったのですが、今の場合はそれは行政目的に入るのだから質問に答えない場合はそれでいい、直ちに罰則があるわけではない、こういうことですね。


三井政府委員
 自己負罪というのは刑事上のことですから、今問題は行政上のことですから、全然関係がありません、この問題はかかってきませんということを言っているわけです。したがって、自己の不利なことでも、聞かれたら答えなければいかぬ、質問しているのですから答えるべきだ、そういう立場にあるということを言ったのです。
 では、実際に答えなかったら、どうなるのか。ところが、この罰則は、答えなかった者を罰するとは書いてないのです。答えなかった者を罰するという罰則はここにないわけです。どんな罰則があるのかというと、「立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者」、そうすると疑問は、答えなかったら立入検査を拒んだことになるのではないかという御疑問だと思います。それには当たりません。
 つまり、さっき言いましたように、刑罰法令というのは厳密に解釈しなければいかぬわけですから、立入検査を拒むということは、もっと積極的に拒むことを言うのであって、質問に答えなかったというようなことぐらいでは拒んだということにはなりません。ちゃんと答えてもらいたいのだけれども、答えなかったからといって罰則はありませんということを言ったので、行政上のことと刑事上のことは別です、こういう意味でございます。
供述拒否権

(略)
質問者の発言
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
答弁者(政府委員:警察庁長官)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第17号(昭和59年 6月21日)より抜粋
「破壊して検査することはないが、取り外せるものは取り外して検査する」ことについての国会における質疑

(略)
○岡田(正)委員
 …(略)… この検査というのは破壊検査を含むのでありますか。

○鈴木(良)政府委員
 含みません。


○岡田(正)委員
 そうしますと、念のためにお尋ねを予定外ですがしておきますが、例えばテレビゲーム機で、これは賭博には使えないはずだったんだが、これを賭博に使っているという密告があった。そこで立入検査に来た。調べようとしたときには、そのゲーム機をばらしてICを確かめなければ確かめることができませんね。それをせずにして枠の外から、ガラスの外からああ結構だねと言ったんでは検査にならぬでしょう。だから、破壊というのはがちゃがちゃと壊すと受け取られたかもしれませんが、そういう意味ではなくて、私の言葉がちょっと舌足らずでございましたが、中身を取り出して見る、いわゆるばらばらにして見るというような検査があるんでしょうかというのです。例えば、ICの有無をチャックするとか…。


○鈴木(良)政府委員
 壊して見るということをすることはないと思いますけれども、取り外せるものを外して見るということはあると思います。

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁刑事局保安部長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第19号(昭和59年 6月28日)より抜粋
「営業を営む者の住居や個室等には及ばない」ことについての国会における質疑

(略)
○政府委員(原文兵衛君)
 先ほども申し上げましたように、この法律によりまする立ち入りは、行政目的のための立ち入りでございまして、しかも、この第六条にもございますような風俗営業の営業所に立ち入るということで、もちろん営業者の住居その他に、居室とかいう所に立ち入ることを考えていないことは当然であります。 …(略)…

(略)
質問者の発言
答弁者(政府委員:警察庁保安局長)の発言
第31回国会 参議院 地方行政委員会会議録第6号(昭和33年10月21日)より抜粋
「立入りを受ける者に対し、事前に通告することを要しない」ことについての国会における質疑

(略)
○吉井委員
 では、立入検査につきましてはあらかじめこれを事前に通知し、また調査事由を開示する必要があるのではないか、このように思うわけですが、いかがでしょう。

○古山説明員
 この立ち入りといいますのは、風営法の施行全般について見るものでございまして、特に調査事由を限定して行うことはなかなか難しかろうと思うわけでございます。したがいまして、事前に調査事由を示してやるということは原則としてできないのではないかというふうに思います。しかしながら、立ち入りに当たりまして、その必要性あるいは営業者側の受ける不利益等を考慮いたしまして、いたずらに過度の負担にならないように柔軟に対処していきたいと考えております。

(略)
質問者の発言
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第21号(昭和59年 7月 3日)より抜粋
「立入りを受ける側の同意が必要」、「立入りの忌避等を罰則で担保する間接強制であり、立入りを拒否された場合は、その抵抗を排除してまで立入りを即時強制することはできない」についての国会における質疑

(略)
○吉井委員
 三十七条の第一項の立ち入り、これは行政上の必要によるものですね。したがって、相手方の承諾がないとできないものと理解してよろしいですか。

○古山説明員
 警察職員が立ち入ります際に相手方がそれを拒んだ場合、その拒否というものを実力で排除しようというものではありません。立ち入りを拒んだことに対する罰則によりましてその実効性を担保しておるものでございますので、個々の立ち入りは明示であると黙示であるとを問わず、相手方の同意を前提としているものというふうに考えております。

(略)
質問者の発言
答弁者(説明員:警察庁刑事局保安部防犯課長)の発言
第101回国会 衆議院 地方行政委員会会議録第21号(昭和59年 7月 3日)より抜粋
 行政上の「即時強制」とは、目前の差し迫った事態を解決するために、相手方に義務を課する時間的余裕がない場合に、直接相手方の身体又は財産に実力を加えて行政目的を達成することをいうが、風営適正化法(風営法)第37条第2項に規定する「立入り」は、目前の差し迫った事態を解決しなければならないという緊急性がなく、店舗型性風俗特殊営業を営む者に「立入り」という受忍義務を課すことにより行政目的を達成することができ、また、罰則により「立入り」の実効性を担保していることから、行政上の「間接強制」である。
損失補償
 「損失補償」とは、適法な公権力の行使によって加えられた損失に対し、公平負担の見地に基き、これを調整するためになされる財産的補償をいう。
 「損失補償」は、適法な公権力の行使によって被った財産上の損失に対する補償であり、違法な公権力の行使によって被った損害の賠償である「国家賠償」とは性質を異にする。
 「損失補償」については、一般法がなく、個々の法律の中で損失補償をなすべきことが定められる。個々の法律の中に損失補償をなすべきことが定められていない場合であっても、憲法第29条第3項に基き、損失補償の請求をなし得るとされている。
 「損失補償」においては、適法な公権力の行使によって加えられた損失のすべてが補償されるわけではなく、「特別の犠牲」が加えられた損失に限り、補償される。そこで、どのような場合が「特別の犠牲」となるかが問題となるが、憲法第29条第2項では、財産権を、公共の福祉に適合する限り、法律によって制限することを認めている。したがって、公共の福祉の見地からなされる法律上の制限は、損失を受ける者が当然受忍すべきもので、「特別の犠牲」に当たらず、補償を要しないといえる。
国家賠償
 「国家賠償」とは、国又は公共団体が行政上の違法な公権力によって被害者が被った損害を賠償することをいう。
 「国家賠償」は、違法な公権力のの行使によって被った損害の賠償であり、適法な公権力の行使によって被った財産上の損失に対する補償である「損失補償」とは性質を異にする。
 「国家賠償」における賠償責任の要件は、
1 公権力の行使に当たる公務員の行為であること。
2 職務を行うに当たり、損害を与えたこと。
3 公務員に、故意又は過失があること。
4 違法な加害行為が存在すること。
5 加害行為により損害が発生したこと。
であり、これらが満たされると、国又は公共団体は、その不法行為によって発生した損害を金銭で被害者に賠償する責任を負うことになる。
 なお、国家賠償では被害者は直接の不法行為者である公務員に請求するのではなく、その公務員が所属する国又は公共団体に請求することになる。
 また、直接の不法行為者である公務員個人は、被害者に対して責任を負うことはないとされるが、国又は公共団体が被害者に損害を賠償した場合、その公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は求償権を行使することができるとされている。
俗営業等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
(昭和59年 7月 5日:衆議院地方行政委員会)
風俗営業等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について善処すべきである。
一 現下の世相にかんがみ、少年の健全な保護育成及び善良の風俗の保持等を図るため、総合的、科学的調査の上少年非行の防止、性病の予防及び売春の防止等を更に徹底する総合的な施策を速やかに講ずるべきであること。
二 本法の運用に当たっては、表現の自由営業の自由等憲法で保障されている基本的人権を侵害することのないよう慎重に配慮すること。
三 風俗営業者への指導に当たっては、営業の自由を最大限尊重するとともに、管理者制度が営業の自主性を損うことのないよう特に慎重に運用すること。
四 「接待」の意義については、風俗営業の重要な要件に当たるので、その具体的な内容について明確な基準を定め、都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること。
五 ゲーム機の規制の在り方について引き続き検討すること。
六 遊技機の技術革新が著しい現状にかんがみ、技術上の規格の検討に際しては、学識経験者及び業界代表等第三者の意見を聴取して尊重し、機械の画一化を招いたり、時代のニーズにマッチした技術開発を遅滞させることのないよう運用に特段の配慮をすること。
七 広告及び宣伝の規制に当たっては、適正かつ効果的に行われるようその基準の明確化を図り、都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること。
八 風俗関連営業については、今後とも有効適切な取締りに努めることはもちろん、法の網を逃れる脱法的な形態でこれらの営業が営まれることのないよう人的欠格事由、構造設備規制等本法による規制の対象、規制の内容についても、逐次強化を図っていくべきであること。
九 本法に基づく政令等の制定及び本法の運用に当たっては、研究会等を設置し、地方公共団体の関係者を含め各界の意見を聞くこと等により、法の運用に誤りなきを期すること。
 警察職員の立入りに当たっては、次の点に留意して、いやしくも職権の乱用や正当に営業している者に無用の負担をかけることのないよう適正に運用すべきであり、その旨都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること。
1 報告又は資料の提出によってできる限り済ませるものとするとともに、報告又は提出書類等については、法の趣旨に照らし必要最小限のものに限定すること。
2 本法の指導に当たる旨を明示する特別の証明書を提示するものであること。
3 本法の運用に関係のない経理帳簿等を提出させ又はみることのないようにすること。
4 立入りの行使は個人の恣意的判断によることがあってはならず、その結果は必ず上司に報告してその判断を仰ぐものであること。
十一 少年指導委員の活動はあくまで任意の活動に限られるものであり、その内容も少年の犯罪を摘発するのではなく、有害環境から少年を守り、その健全育成を図るものであることを周知徹底すること。
十二 風俗環境浄化協会は、民間における環境浄化の機運を一層盛り上げるためにあくまで啓発活動等任意的な活動を行うものであり、その運営に当たっては、業界との協力を促進しその自主性を最大限尊重するとともに、寄附の強制は行わないこと。また、行政書士等の権限を侵すことのないよう配慮すべきであり、更に、行政改革の趣旨に反することのないようその指定に当たっては、既存の防犯協会連合会等を活用すること。
 右決議する。
俗営業の規制等の改善対策確立に関する決議
(昭和59年 8月 7日:参議院地方行政委員会)
風俗営業の規制等の改善対策確立に関する決議
 風俗営業等取締法の一部を改正する法律(以下、本法)は、最近における少年非行の増大と風俗環境の変化という実情にかんがみ、あからさまに性を売りものにした産業等の規制をはじめ規定の整備を行おうとするものであるが、本委員会としては、審議の経過にかんがみ国民の基本的人権と警察責務との関係及び法形式等について継続的に調査、検討を行うものとする。
 政府においても法の運用に当たって慎重を期するとともに、所要の再検討を加えるべきである。
 なお、本法の施行に当たっては、政府は、次の諸点について善処すべきである。
一 少年の健全な保護育成は、家庭、学校、社会教育の充実を基本施策とし、当面する少年非行の防止に当たっては、関係機関の協力を緊密にし、総合的科学的調査の上有効な対策を確立するとともに、現下の世相にかんがみ、性病の予防及び売春の防止についても更に徹底を期すること。
二 本法の運用に当たっては、職権の濫用をいましめるとともに、表現の自由営業の自由等憲法で保障されている基本的人権を侵害することのないよう慎重に配慮すること。
三 風俗営業者への指導に当たっては、営業の自由を最大限尊重するとともに、管理者制度については、営業の自主性を損うことのないように、また、営業者の立場を尊重し特に慎重を期すること。
四 「接待」の意義については、社会通念上風俗営業と認められるものについて、具体的に明確な基準を定め、恣意的な業態変更とならないよう都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること。
五 ぱちんこ屋など七号営業に係る許可の更新期間については、他の営業との整合を図るよう速やかに措置するとともに、ゲーム機規制の在り方について引き続き検討すること。
六 遊技機の技術革新が著しい現状にかんがみ、技術上の規格の検討に際しては、学識経験者及び業界代表等第三者の意見を聴取して尊重し、機械の画一化を招いたり、時代のニーズにマッチした技術開発を遅滞させることのないよう運用に特段の配慮をすること。
七 広告及び宣伝の規制に当たっては、公正かつ効果的に行われるようその基準の明確化を図り、都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること。
八 風俗関連営業については、売春防止法等に基づき今後とも有効適切な取締りに努めるとともに、これらの法の網を逃れる脱法的な形態の営業についても違反の取締りを強化すること。なお、あからさまに性を売りものにし、人間の尊厳を傷つける営業及び行為については公共の立場からこれを厳しく規制し、現に届け出して営む風俗関連営業についてもその実効を確保すること。
九 本法に基づく政令等の制定及び本法の運用に当たっては、風俗環境の改善等に関する事項が、本来地方公共団体の基本的事務であることにも配意し、また、研究会等を設置して、広く各界の意見を聞くこと等により、法の運用に誤りなきをを期すこと。
 警察職員の立入りに当たっては、次の点に留意して、いやしくも職権の濫用や正当に営業している者に無用の負担をかけることのないよう適正に運用すべきであり、その旨都道府県警察の第一線に至るまで周知徹底すること。
1 立入りの行使はできるかぎり避けることとし、なるべく公安委員会が求める報告又は資料の提出によって済ませるものとする。また、当該報告又は資料の要求に当たっては、今回の法改正の趣旨にかんがみ、風俗関連営業の規制の目的に重点を置いて行うべきものであり、特に風俗営業については、その内容、種類及び回数について基準をを明らかにし、行政上の指導、監督、助長のため必要最小限度のものに限定すべきであって、犯罪捜査の目的や他の行政目的のためにこの規定を用いてはならないものとする。従って、正当に得営業している者に無用の負担をかけることのないように適正に運用すべきであるとともに、本法の運用に関係のない経理帳簿等を提出させることのないようにすべきである。
2 立入りは、都道府県公安委員会の判断により行い、その結果は必ず上司に報告することとし、立入りの行使に際しては、本法の指導に当たる旨を明示する特別の証明書を提示すること。
十一 少年指導委員は、現在地方公共団体に置かれている少年補導委員等と同様、その活動は何ら強制力を伴わず、また少年の犯罪を摘発するものではなく、あくまでも任意に風俗営業等に係る有害環境から少年を守るもので、少年の人権を尊重しその健全育成に寄与するものであることを周知徹底すること。
十二 風俗環境浄化協会は、営業に関与するものではなく、民間における環境浄化の機運を一層盛り上げるためにあくまで啓発活動等任意的な活動を行う趣旨のものであるので、指定に当たっては、この趣旨に沿い基準を明確にし、また、その運営については、警察の関与を避け、業界の協力は自主的なものとし、関係業界からの寄附は求めないこと。また、行政書士等の権限を一切侵すことのないよう配慮すること。
 右決議する。
憲法〔抄〕
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第17条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
A 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第22条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
A …(略)…

第29条 財産権は、これを侵してはならない。
A 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
B 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

第33条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

第35条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索をする場所及び押収をする物を明示する令状がなければ侵されない。
A 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

第38条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
A〜B …(略)…
国家賠償法〔抄〕
(昭和22年10月27日法律第125号)
(公務員の不法行為と賠償責任、求償権)
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
A 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
参考判例
判示事項 1 刑事責任の追求を目的としない手続における強制と憲法三五条一項
2 所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六三条、七〇条一〇号に規定する収税官吏の検査は憲法三五条一項に違反するか
3 刑事手続以外の手続と憲法三八条一項
4 所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六三条、七〇条一〇号、一二号に規定する収税官吏の質問、検査は憲法三八条一項に違反するか
裁判要旨 1 当該手続が刑事責任追及を目的とするものでないとの理由のみで、その手続における一切の強制が、憲法三五条一項による保障の枠外にあることにはならない。
2 所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六三条、七〇条一〇号に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、憲法三五条の法意に反するものではない。
3 憲法三八条一項による保障は、純然たる刑事手続以外においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続にはひとしく及ぶものである。
4 所得税法(昭和四〇年法律第三三号による改正前のもの)六三条、七〇条一〇号、一二号に規定する収税官吏の質問、検査は憲法三八条一項にいう「自己に不利益な供述」の「強要」にあたらない。
主   文
 本件上告を棄却する。
理   由
 …(略)…
 同第二点について。
 所論のうち、憲法三五条違反という点は、旧所得税法七〇条一〇号、六三条の規定が裁判所の令状なくして強制的に検査することを認めているのは違憲である旨の主張である。たしかに、旧所得税法七〇条一〇号の規定する検査拒否に対する罰則は、同法六三条所定の収税官吏による当該帳簿等の検査の受忍をその相手方に強制する作用を伴なうものであるが、同法六三条所定の収税官吏の検査は、もっぱら、所得税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であって、その性質上、刑事責任の追求を目的とする手続ではない。
 また、右検査の結果過少申告の事実が明らかとなり、ひいて所得税逋脱の事実の発覚にもつながるという可能性が考えられないわけではないが、そうであるからといって、右検査が、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものと認めるべきことにはならない。けだし、この場合の検査の範囲は、前記の目的のため必要な所得税に関する事項に限られており、また、その検査は、同条各号に列挙されているように、所得税の賦課徴収手続上一定の関係にある者につき、その者の事業に関する帳簿その他の物件のみを対象としているのであって、所得税の逋脱その他の刑事責任の嫌疑を基準に右の範囲が定められているのではないからである。
 さらに、この場合の強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、同法七〇条所定の刑罰を加えることによって、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであり、かつ、右の刑罰が行政上の義務違反に対する制裁として必ずしも軽微なものといえないにしても、その作用する強制の度合いは、それが検査の相手方の自由な意思をいちじるしく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは、いまだ認めがたいところである。国家財政の基本となる徴税権の適正な運用を確保し、所得税の公平確実な賦課徴収を図るという公益上の目的を実現するために収税官吏による実効性のある検査制度が欠くべからざるものであることは、何人も否定しがたいものであるところ、その目的、必要性にかんがみれば、右の程度の強制は、実効性確保の手段として、あながち不均衡、不合理なものとはいえないのである。
 憲法三五条一項の規定は、本来、主として刑事責任追及の手続における強制について、それが司法権による事前の抑制の下におかれるべきことを保障した趣旨であるが、当該手続が刑事責任追及を目的とするものではないとの理由のみで、その手続における一切の強制が当然に右規定による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。しかしながら、前に述べた諸点を総合して判断すれば、旧所得税法七〇条一〇号、六三条に規定する検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといって、これを憲法三五条の法意に反するものとすることはできず、前記規定を違憲であるとする所論は、理由がない。
 所論のうち、憲法三八条違反をいう点は、旧所得税法七〇条一〇号、一二号、六三条の規定に基づく検査、質問の結果、所得税逋脱(旧所得税法六九条)の事実が明らかになれば、税務職員は右の事実を告発できるのであり、右検査、質問は、刑事訴追をうけるおそれのある事項につき供述を強要するもので違憲である旨の主張である。
 しかし、同法七〇条一〇号、六三条に規定する検査が、もっぱら所得税の公平確実な賦課徴収を目的とする手続であって、刑事責任の追及を目的とする手続ではなく、また、そのための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと、および、このような検査制度に公益上の必要性と合理性の存することは、前示のとおりであり、これらの点については、同法七〇条一二号、六三条に規定する質問も同様であると解すべきである。そして、憲法三八条一項の法意が、何人も自己の刑事上の責任を問われるおそれのある事項について供述を強要されないことを保障したものであると解すべきことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二七年(あ)第八三八号同三二年二月二〇日判決・刑集一一巻二号八〇二頁)とするところであるが、右規定による保障は、純然たる刑事手続においてばかりでなく、それ以外の手続においても、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有する手続には、ひとしく及ぶものと解するのを相当する。しかし、旧所得税法七〇条一〇号、一二号、六三条の検査、質問の性質が上述のようなものである以上、右規定そのものが憲法三八条一項にいう「自己に不利益な供述」を強要するものとすることはできず、この点の所論も理由がない。
 なお、憲法三五条三八条一項に関して右に判示したところによってみれば、右各条項が刑事手続に関する規定であって直ちに行政手続に適用されるものではない旨の原判断は、右各条項についての解釈を誤ったものというほかはないのであるが、旧所得税法七〇条一〇号、六三条の規定が、憲法三五条、三八条一項との関係において違憲とはいえないとする原判決の結論自体は正当であるから、この点の憲法解釈の誤りが判決に影響を及ぼさないことは、明らかである。
 …(略)…
昭和四七年一一月二二日
 最高裁判所大法廷
    裁判長裁判官 石 田 和 外
    裁判官      田 中 二 郎
    裁判官      岩 田 誠
    裁判官      下 村 三 郎
    裁判官      色 川 幸 太 郎
    裁判官      大 隈 健 一 郎
    裁判官      村 上 朝 一
    裁判官      関 根 小 郷
    裁判官      藤 林 益 三
    裁判官      岡 原 昌 男
    裁判官      小 川 信 雄
    裁判官      下 田 武 三
    裁判官       岸   盛一
    裁判官      天 野 武 一
    裁判官      坂 本 吉 勝   
最高裁判所ホームページ 判例検索システムより引用
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