風俗営業始めま専科!
風俗営業許可申請手続代行センター
愛媛県四国中央市 海事代理士・行政書士  藤 田  晶  事務所
海事代理士・行政書士   藤 田   晶  事務所 社団法人 日本海事代理士会 正会員
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無許可クラブ営業に対する無罪判決〔控訴審〕
※平成27年1月21日に無罪判決、大阪高等検察庁は、「判決は、今後の法令の解釈・運用に重大な影響を及ぼすため最高裁の判断を求める」として、平成27年2月4日に上告
平成27年1月21日宣告
平成26年(う)第705号
 判     決
 ○○○○
 上記の者に対する風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反被告事件について、平成26年4月25日大阪地方裁判所が言い渡した判決に対し、検察官から控訴の申立てがあったので、当裁判所は、検察官□□□□出席の上審理し、次のとおり判決する。
 主     文
 
 本件控訴を棄却する。
 
 理     由
 本件控訴の趣意は検察官△△△△△作成の控訴趣意書に、これに対する答弁は、主任弁護人◇◇◇◇作成の答弁書及び同補充書に、それぞれ記載のとおりであるから、これらを引用する。論旨は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)2条1項3号の定めるナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業」(以下「3号営業」という。)の意義について、形式的にその文言に該当するだけでなく、「その具体的な営業態様から、歓楽的、享楽的な雰囲気を過度に醸成し、わいせつな行為の発生を招くなどの性的風俗秩序の乱れにつながるおそれが、単に抽象的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められる営業を指す」と限定的な解釈を行った上、被告人の本件営業はこれに該当しないとして、無罪の言渡しをした原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
 そこで、記録を調査し、当審における事実取調べの結果を併せて検討すると、3号営業の解釈適用に関する原判決の判断に誤りがあるというべきであるが、その誤りは判決に影響を及ぼすものとはいえない。以下、理由を説明する(風営法、同法施行規則、同施行令の条文については、風営法の記載を省略する。)。

 3号営業に対する規制の目的について

(1) 原判決は、風営法が3号営業を風俗営業の一つと定めて規制の対象とし、無許可営業を処罰する趣旨は、3号営業が、その具体的な営業態様によっては、わいせつな行為の発生を招くなど、性風俗秩序の乱れにつながるおそれがあるからであり、その規制の目的は、善良な性風俗秩序を維持するとともに、少年の健全な育成に影響を及ぼす行為を防止することにあるとする。他方で、規制薬物の蔓延や粗暴事案の発生の防止、騒音又は振動による周辺環境の悪化の防止などは、風営法による3号営業に対する規制を積極的に根拠付けるものとはいえないとする。
 これに対し、所論は、原判決について、風営法の許可制度の内容を正当に理解していない上、同法の制定目的を不当に縮小解釈しており、3号営業が風俗営業として規制の対象とされている趣旨・目的を、性風俗秩序の乱れにつながるおそれに限定して解釈する理由はないと主張する。

(2) そこで、風営法の定める3号営業に対する許可制度と規制内容を概観した上で、その規制目的を検討する。
ア 許可制の概要
 風営法は、3号営業を風俗営業として定め、これを営む者に対する欠格事由(4条1項)、営業所の構造及び設備に関する技術上の基準(同条2項1号)、良好な風俗環境を保全するため風俗営業を制限する地域(同条2項2号)を定めている。
 人的欠格事由は、不適格な者による3号営業を防止するという観点から定められ、売春防止法等の犯罪により処罰を受けて5年を経過しない者(4条1項2号)、集団的、常習的に暴力的不良行為、売春の周旋、覚せい剤の使用等を行うおそれがある者(同項3号)、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者(同項4号)などによる3号営業を許さないとしている。営業所の構造及び設備の技術上の基準としては、客室に基準値以上の床面積を確保することを求め、客室内部に見通しを妨げる設備を設けないこと、営業所内の照度を一定に保ち、騒音又は振動が基準値に満たないよう維持するために必要な構造又は設備を有することなどが必要とされている(施行規則8条)。営業制限地域としては、住宅地や、学校などの良好な風俗環境を保全する必要がある施設の周辺地域を、都道府県の条例により指定することとされている(施行令6条)。
 3号営業の許可を申請する際は、営業所の照明及び音響設備の種類、仕様、数及び設置位置等と、防音設備の種類及び使用等を記載した許可申請書を提出する(5条1項施行規則10条1項)。許可申請書とともに提出する営業の方法を記載した書類(5条1項)には、客にさせる遊興の内容として、遊興の種類(ダンス、ショウ、生演奏、ゲーム等)、これを行う方法(不特定多数の者に見せる、聞かせる等)を記載し(施行規則10条2項)、営業所の平面図及び周囲の略図を添付する(5条1項)。
 公安委員会は、上記の申請に基づき、欠格事由の有無や技術上の基準への適合性、営業制限地域内か否かを審査し、基準を満たした申請について、3号営業を許可する。この際、必要な条件を付すことができる(3条2項)。
イ 営業に対する規制の概要
 風俗営業である3号営業は、原則として午前0時から日の出までは営業ができず(13条)、営業所内の照度を基準値以下として営業することが禁止されている(14条)。また、営業所の周辺において、基準値以上の騒音又は振動が生じないように営業することが義務付けられている(15条)。さらに、18歳未満の者を客として立ち入らせることも禁止される(22条5号)。
 以上のとおり、風営法は、3号営業について、営業所内の構造や営業時間、青少年の立入りに関する規制のほかに、営業者につき幅広い欠格事由を定め、地域の実情に応じた立地に関する規制を予定するとともに、照度の確保や騒音振動を規制するための構造や設備の基準を設けている。このような3号営業に対する規制内容からすると、風営法は、性風俗秩序の維持と少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止に止まらず、3号営業が善良な風俗や周囲の風俗環境に与える悪影響を広く防止するために種々の規制を設けているということができる。

(3) ところで、風営法が規制対象とする風俗営業とは、実質的に見て、売春や性的非行、賭博等の射幸心をそそる行為、飲酒等の人の本能に起因する歓楽性等が過度にわたる営業を指すと解されているところ、3号営業が射幸とは関係がないことは明らかであるし、また、客に飲食をさせる営業であるが飲酒を要件としていない。
 さらに、風営法による3号営業の規制目的の解釈に当たっては、風営法が、3号営業を含む接待飲食等営業(2条4項)について売春を防止するための規制(18条の2)を設けていることや、風営法の前身となる風俗営業取締法の立法経緯を併せて検討する必要がある。すまわち、風俗営業取締法が立法された昭和23年頃は、女性従業員がダンスの相手をするダンスホール営業に伴う売春が多発しており、客にダンスをさせる営業が売春と結び付きやすい営業類型であったため、売春等の風俗犯罪を未然に防止することを主たる目的として、風俗営業取締法により、客にダンスをさせる営業が風俗営業として規制されることとなったものである(原審弁1、2、23、25、54、原審証人●●●●〔(以下「●●」という。〕8頁)。昭和34年の改正において、当時の営業実態に合わせて客にダンスをさせる営業を3つの類型に分類した上で、いずれも風俗営業としての規制を継続することとし(原審弁25、72)、昭和59年の改正後も、上記の分類による風俗営業の規制を維持して、今日に至っている。
以上のような風俗営業の概念、3号営業に関する風営法の許可制度及び規制内容と立法経緯を踏まえて検討すると、3号営業は、客として訪れた不特定の男女がダンスをし、飲食を共にすることで親密な関係になり、男女間の歓楽的、享楽的雰囲気が醸成されることに着目した営業類型であり、営業態様によっては、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたるおそれがあることから、種々の規制が設けられたということができる(原審甲57、59)。そうすると、3号営業に対する規制の主な目的は、男女間の享楽的雰囲気が過度に醸成されることを防止することにより、健全な性風俗秩序を維持し、併せて、成長途上にある少年の立入りを規制することで、その健全な成長に悪影響を及ぼす事態を防止することにあると解するのが相当である。
したがって、原判決が、3号営業を含む接待飲食等営業に対する規制について、性に関わる部分に重きを置いて規定されたと見るのが合理的であり、3号営業に対する規制の目的について、性風俗秩序を維持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止することにあるとする.について、その判断自体に誤りがあるとはいえない。
 ただし、男女間のダンスと飲食により享楽的雰囲気が過度に醸成されることで刺激される人の欲求は、性的なものに限られるとはいえず、これによって生ずる逸脱行為も、わいせつな行為や売買春などの性的なものに限られるわけではない。これに関して、原判決は、規制薬物の蔓延や粗暴事案の発生の防止、騒音又は振動による周辺環境の悪化の防止などについて、3号営業の内容と一般的な関連性がない、積極的に基礎付けるものではないなどとした上で、3号営業の規制の目的について、性風俗秩序の維持及び少年の健全育成に限られるような説示をし、他の規制目的を実際上考慮していない点は、上記(2)のような風営法の定める規制の在り方に照らしても、相当とはいえない。
 そこで、性風俗秩序の維持及び少年の健全育成以外の規制目的について、検討しておく。所論は、風営法の目的は、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持や少年の健全育成にあり(1条)、3号営業派、各種の犯罪や問題を誘発しやすい類型の営業であって、性犯罪以外にも薬物犯罪などが多く発生し、また、騒音・振動による周辺環境も悪化するから、これらの防止も3号営業の規制の理由と解すべきであると主張する。3号営業又はその周辺において規制薬物の使用や譲渡が行われていることは文献等によって指摘されているし、また、粗暴事案が発生していることも認められる(原審証人■■■■)。しかしながら、実際のクラブ等の摘発事案で規制薬物の所持等が確認できているわけではないことは、原審における各警察官の証言によってうかがわれる。3号営業の周辺において規制薬物の使用等や粗暴事案が発生する理由としては、夜間、営業所に多数の客が集まることや、営業所内が薄暗く、周囲の目が届きにくいといった事情も挙げられるのであり、客にダンスと飲食をさせる3号営業の営業形態それ自体に起因して規制薬物が蔓延し粗暴事案が発生しているとまではいうことはできない。風営法も、規制薬物の中毒者や犯罪傾向を持つ者を営業者の欠格事由として定めているが、営業者が関知し得ない薬物使用や粗暴事案の防止についてまで3号営業の許可制による規制の効果があるとも考えにくく、また、規制薬物の使用等粗暴事案はいずれも刑罰法規による取締りの対象とされていることも考慮する必要がある。次にダンスをさせる営業によって、ダンスの振動、大音量の音楽による騒音などが生じるところ、風営法は、音響設備や防音構造などについて規制しており、これを3号営業の規制目的と理解することはできるが、騒音等の防止自体は、ライブハウスなど風俗営業に指定されていない営業についても同様に要請され、条例等による取締りの対象とされるものであり、3号営業の規制目的として重視することはできない。したがって、規制薬物の蔓延や粗暴事犯の発生の防止、騒音や振動による周辺環境の悪化の防止は、いずれも風俗環境の保持の一要素として副次的に考慮されるにとどまるというべきである。
 なお、所論は、風営法の許可制によって、不適格者の排除などの事前審査のほか、許可を受けた営業所に対する立入り調査の実施も可能になることを指摘する。立入り調査等を通じた営業者への指導による各種弊害の防止が期待できることは所論のとおりであるとしても、営業に対する規制措置は、各営業類型に対する規制目的に即して、許可制による規制の必要性が認められる合理的範囲で確保されるべきであり、その範囲を超えた一律の規制が肯定されることにはならない。他方、弁護人は、風営法の立法過程等からして3号営業の規制目的が売春防止にあったことは明らかであり、規制の必要性から新たな規制目的を追加することは過度の法創造になって許されないと主張する。しかし、3号営業に対する規制の主要な目的が性風俗秩序の維持にあったことは上記のとおりであるが、営業実態及びそれを取り巻く社会環境の変化に応じて、他の規制目的も考慮し得ることは立法が予定するところというべきである。
 以上の検討結果を要約すると、3号営業の規制目的について、原判決が、性風俗秩序の維持及び少年の健全育成に限定し、又は他の規制目的をほとんど考慮しなかった点については、風営法の解釈として相当ではない。しかし、風俗営業の規制目的は、具体的な立法理由に基づき営業類型毎に判断すべきであるから、原判決が、3号営業の類型に即した規制目的を抽出し、性風俗秩序の維持を重視したことは相当である。他方、所論も、3号営業に対する規制の主たる目的が、性風俗秩序の維持と少年の健全育成にあり、これに比べると他の規制の目的は付随的であることを認めない趣旨であれば、営業の類型に即した立法理由を軽視することになり、相当ではない。

 3号営業の規制対象の解釈について

(1) 原判決は、3号営業に対する風営法の規制が、憲法22条1項により保障される職業の自由を制約するものであり、場合によっては憲法21条1項により保障される表現の自由への制約ともなり得ることから、これら憲法上の権利を不当に制約することのないよう、規制対象となる営業について、規制目的との関係で必要かつ合理的な範囲に限定すべきであるとする。そして、判決は、このような観点を踏まえ、で見た3号営業に対する規制の目的のほか、3号営業の解釈が刑罰法規の構成要件の解釈であることに鑑み、許可の対象とされる3号営業とは、形式的に風営法2条1項3号の文言に該当するもののうち、「その具体的な営業態様から、歓楽的、享楽的な雰囲気を過度に醸成し、わいせつな行為の発生を招くなどの性風俗秩序の乱れにつながるおそれが、単に抽象的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められる営業を指すものと解するのが相当である」とする。そして、「このようなおそれが実質的に認められるかどうかは、客が行っているダンスの態様、演出の内容、客の密集度、照明の暗さ、音量を含む音楽等から生じる雰囲気などの営業所内の様子、ダンスをさせる場所の広さなどの営業所内の構造設備の状況、酒類提供の有無、その他性風俗秩序の乱れにつながるような状況の有無等の諸般の事情を総合して判断すのが相当である」と説示する。
 これに対し、所論は、原判決の上記のような解釈について、風営法の文言から乖離するだけでなく、3号営業に当たるか否かの判断をも困難にする解釈であり、事前審査を本質的要素とする許可制における許可基準の運用を困難とし、ひいては、許可制を機能しないものとするから、不当であると主張する。
 そこで検討すると、営業の許可制は職業の自由に対する強力な制限であり、営業の内容及び態様に対する規制によっては弊害防止の規制目的が達成されない場合に必要性と合理性が認められるというべきである。また、営業の許可制によって営業者及び客の表現行為自体が規制されるわけではないが、営業の中に限られるとはいえダンス表現の自由が制約されることも否定できない。このような3号営業の許可制による規制の性質を考慮すると、3号営業として規制される営業の範囲については、その規制目的を達成するのに必要な限度で認めるのが相当であり、原判決の前記説示のうち、これと同旨といえる前段部分の判断は正当である。
 しかし、許可制による営業の規制は、一定の類型に該当する営業につき、営業開始前の許可申請を求め、審査するものである。そうすると、営業開始後の実態をも含む諸般の事情を考慮して規制の対象となる営業に当たるか否かを判断すべきとする原判決の3号営業に関する前記解釈は、判断の基準時という観点からして、事前許可制と矛盾するものといわざるを得ない。事前規制としての3号営業の許可制を運用するためには、営業開始前である申請時及び審査時において、当該営業が3号営業に該当するか否かを判断できる基準でなければならないが、客の密集度など、実際に営業を開始した後でなければ明らかになり得ない事情、さらに、演出や照明、音量などの営業内容によって容易にかつ様々に変化し得る事情を考慮要素に含めて、諸般の事情を総合して決するという原判決の挙げる判断基準は、実際に行われた営業に対する事後の総合判断には適合するとしても、営業開始前の時点における該当性審査になじまないことが明らかであり、事前規制である許可制の運用を著しく困難にするものである。なお、営業開始前である許可制の運用場面では3号営業の範囲をその文言通り形式的に画する一方、実際に営まれた営業が3号営業に当たるか否かという無許可営業罪の成否を事後に判断する際には3号営業の範囲をより実質的に限定するという解釈方法もあり得ないではないが、許可を得るべき風俗営業の無許可営業を処罰することで、許可制の実効性を担保するという無許可営業罪(49条1号)の趣旨からすると、3号営業について、許可を要する営業の範囲と無許可営業として処罰される営業の範囲は同一と理解すべきであり、これが異なるような二重の基準を採る解釈は、混乱を生じさせるものであって、採ることができない。
 また、原判決の示す、性風俗秩序の乱れにつながるおそれが抽象的なものにとどまらず現実的に起こり得るものとして実質的に認められる営業という基準も、実際に行われた営業に対する事後の判断ではなく、営業開始前における判断の基準としては、その内容が明確とはいい難いのであり、諸般の事情を総合して判断するという原判決の示した判断手法をも考慮すると、このような基準による判断は、許可申請の要否を決めなければならない一般人にとって困難であることが明らかである。法律が憲法に適合するように裁判所が限定解釈をなし得るのは、その解釈による規制対象とそれ以外のものを明確に区別して示すことができ、かつ、当該規程の解釈としても合理的なものである場合に限られるところ、原判決の示す3号営業の解釈では、一般人はもとより規制当局においても3号営業に当たるか否かを許可の申請時及びその審査時に判断することが困難となり、許可制の対象となる営業と対象とならない営業を区別して示すことができず、かえって恣意的な運用を許す危険がある。原判決は、関税定率法及び広島市暴走族追放条例をいずれも限定解釈した判例(最高裁昭和59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁最高裁平成19年9月18日第三小法廷判決・刑集61巻601号頁)の趣旨に照らし、原判決のような限定解釈は許されると説示するが、それらの判例は、関税定率法にいう「風俗を害すべき書籍、図画」及び広島市暴走族追放条例にいう「集会」」のいずれについても、既に発生した具体的事実に対する事後の規制を定めた法規を解釈適用した事案であり、営業に対する事前の許可の要否に係る3号営業の解釈に妥当するかは疑問がある。また、弁護人は、原判決の採用した上記解釈の基準及び手法は、最高裁平成24年12月7日第二小法廷判決・刑集66巻12号1337頁及び刑集同号1722頁の判断枠組み及び手法を事実上援用したものであり、合憲性審査における合理的な限定解釈として評価すべきであると主張する。しかし同判例は、規範的ないし評価的な構成用件については、条文の文言、趣旨、目的等を考慮した解釈に基づき、行為者の地位、権限及び行為態様等の具体的要素を挙げて、該当するかどうかの当てはめの判断をしたものであるが、本件では構成要件が具体的に規定されている上、許可の要否に係る事前判断が求められる点で、事案が異なっており、しかも、原判決は、総合判断に当たって個々の考慮要素を列挙するにとどまっているのであって、事後的にも、無許可営業として処罰される場合かどうかの類型的判断が行われているとはいい難い。原判決の用いた判断基準及び判断方法は、上記判例に照らしても相当とはいえない。
 なお、これに関連して、弁護人は、風営法2条1項1号及び2号の各営業の要素である接待が裁判例によって実質的に解釈されていることからも明らかなとおり、事前規制であることと、その対象となる営業の要件を実質的に解釈することは矛盾しないと主張する。しかし、3号所定の要件に文言上該当することを前提に、性風俗秩序の乱れにつながるおそれが抽象的にではなく現実的に起こり得るかという明確とはいい難い価値判断を含む評価によって3号営業の範囲を限定する原判決のの解釈は、営業従事者が実際に行った行為が接待という要件に包摂されるかという事実の当てはめ解釈とは局面が異なっている。
 以上に検討したとおり、原判決の示す3号営業の解釈は、事前の許可制による規制を実質的に困難にするものであり、3号営業に対する許可制を定める風営法の解釈としては採ることができない。この点に関する所論は、これと同旨の主張をする限りで理由があるといってよい。

(2) しかしながら、、原判決の示す3号営業の解釈が事前許可制の対象を決する基準として採り得ないからといって、所論の主張するように、客にダンスをさせ、飲食をさせる営業が全て3号営業に該当し、風営法より規制対象となると解するのが相当ということにはならない。
 まず、3号営業に対する規制の目的が、男女間の享楽的雰囲気が過度に醸成されることを防止することを通じて性的逸脱行為の発生を防ぎ健全な性風俗秩序を維持することにあることは、で検討したとおりである。
 また、3号営業を含む接待飲食等営業に対する立法の経緯についても、立法当時は、女性従業員とダンスの相手客との売春が多発しており、ダンスホール営業が売春の温床となりやすいという実情があり、主として売春防止を目的として、客にダンスをさせる営業を風俗営業として規制する風俗営業取締法が昭和23年に制定され、この点もで触れたが、その後昭和31年には売春防止法が制定されて翌年施行され、買春の周旋や勧誘等は同法で処罰されることになった。
 さらに、ダンスホールないしクラブなどの営業所で流行したダンスの態様を見ると、風俗営業取締法の立法当時は、男女が組になり、互いに手を取り合うなど身体を接触させて踊るダンスが一般的であったが、昭和30年代には男女が組になっても接触が少ないマンボダンスが流行し、その後もツイスト、モンキーダンス、ゴーゴーダンスなど、男女が組まずに踊るダンスが広まり、ジャズダンス、ディスコダンスやヒップホップダンスなど、個人が音楽に合わせて自由に踊るものが多くなるなど、ダンスの様式も多様化している(原審弁25、54、●●10頁)。このようなダンスの多様化を受けて、男女が男女が組になって踊るダンスホールの営業自体が次第に低調となり、客にダンスをさせる営業の内容が大きく変化してきた結果、ダンスホールやクラブの営業と売春との結び付きも希薄化してきたことが認められる(原審弁25、54、●●11、15頁)。さらに、ダンスが健全な娯楽として認知されるようになったことから、昭和59年の改正時には、客にダンスをさせる営業(2条1項4号)に当たるダンススクールへの18歳未満の者の立入禁止の規制が緩和され(原審甲55、弁14、34)、平成10年の改正時には、ダンスの技能及び知識を教授するダンススクール営業は、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれが」ないとして、一定の基準を満たすものが風俗営業から除外されている(原審弁25)。
 このような立法経緯並びにダンスの多様化及びダンスをさせる営業の実態の変化を併せて検討すると、風俗営業取締法の立法当時には、ダンスホール営業と売春が結びついていたことや、男女が組になり、身体を接触させて踊るというダンスの様式から、客にダンスをさせることが直ちに男女間の享楽的雰囲気を醸成する状況にあったといえる。しかし、その後のダンスホール営業の変化に加え、男女が組にならず、身体も接触させずに個別に踊るダンスの流行など、ダンスの様式も変化した結果として、客にダンスをさせることで男女間の享楽的雰囲気が醸成される可能性は低下している。このため、現在では、客にダンスと飲食をさせる営業であっても、ダンスの種類や様式によっては男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれのない営業であるということができる。したがって、客にダンスと飲食をさせるという指標により、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれのある営業類型とみなすことは、実態に即さず、困難になったというべきである。
 以上のとおり立法事実が変遷していることを踏まえると、設備を設けて客にダンスと飲食をさせる営業であれば、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれがあるか否かを問わず一律に3号営業として規制の対象とすることは、で検討した3号営業に対する規制目的から照らして必要のない範囲にまで規制を広げることになり、妥当ではない。上記のとおりのダンスをさせる営業に関する風営法の改正状況に加え、平成10年の改正時には、競技ダンスなど男女が組んで踊るダンスについても、これをさせる営業(2条1項4号)を風俗営業として規制することに対し強い違和感が示されていたこと、男女間の享楽的雰囲気が過度にわたるおそれがないダンスに係る営業まで風営法が規制するものでないこと自体はは広く承認されていることからすると(原審弁25、29から40、●●16頁)、ダンス及びダンスをさせる営業の多様化により、遅くとも本件当時には、全ての種類、様式のダンスが3号営業の要件となるダンスに当たるとする解釈の合理性が失われていたというべきである。

(3) そうすると、3号営業の要件となるダンスの種類、様式は、前記のとおりの3号営業に対する規制目的から見て規制が必要なものに限られるべきであり、このような観点から、規制の対象とすることが含まれていることが合理的な営業の態様を検討する。
まず、立法当時から想定されていた、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスをさせる営業派、それ自体の社交性の強さからして、飲食をすることと相まって、具体的な営業の態様次第では、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれのある営業類型であるといえる。性風俗秩序の維持と少年の健全育成という3号営業に対する主たる規制目的を達成するためには、このようなダンスをさせる営業を引き続き規制する必要があると認められる。
これと異なり、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊ることを通常の形態とするダンス以外のダンスについては、これを客にさせる営業によって男女間の享楽的に雰囲気を過度に醸成し、売春等の風俗犯罪を始めとした性的な逸脱行為を誘発するなど、性風俗秩序を害するおそれがある類型とはいえないのであり、3号営業の主観的な規制目的かに照らして規制が必要な営業と考えることができない。また、このようなダンスを客にさせる営業所に少年が立ち入ることで直ちにその健全な育成を障害するおそれがあるともいえない。
 なお、3号営業の付随的な規制目的について付言すると、騒音や振動を発生させるおそれについては、このような酒類のダンスをさせる営業についても同様であるが、周辺の生活環境や健康の保全を目的とする他の法令による規制によっても抑制することが可能であり、規制薬物の蔓延や粗暴事案も刑罰法規による取締りで対処することが可能である。このような付随的規制目的を達成する観点から、性風俗秩序の維持のためには規制の必要性が認めがたい形態のものまで含めて一律にダンスをさせる営業全体を規制の対象とすることは、過度に広汎な規制を行うことになり、合理性が認められない。
 このような解釈に対しては、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンス以外のダンスをさせる営業についても、飲食をさせるkとを伴うことで男女間の享楽的雰囲気が過度にわたるおそれがあり、実際にも粗暴事案や酔客による迷惑行為を招き、善良の風俗等を害しているとする見解がある(原審弁69)。しかし、これは、4号所定の営業に対する規制との区別を説明するものではあるが、客に飲食をさせるだけの営業であれば風俗営業として規制されないこと、そして、飲酒が要件となっているわけではないことに照らしても、飲食をさせることを伴うことによって直ちに男女間の享楽的雰囲気が過度に醸成されるおそれが高まるとはいえない。また、実際に生じているという粗暴事案や酔客による迷惑行為も、多数の客が集まり遊興する施設であることや、営業時間が夜間であることなどによるものであるといってよく、ダンスをさせるという営業形態と結びつく弊害とまではいえないことは、1(3)で検討したとおりであって、ダンスをさせることを指標として一律に規制する必要性を説明するには足りない上、同規制によって弊害を防止する効果が得られるかどうかも疑問である。夜間に飲食を提供し遊興等をさせる営業に対しては、その実態に即した別の指標ないし基準に基づく規制によることが考えられるところであり、粗暴事案や酔客による迷惑行為は別個の刑罰法規等によって取り締まるべきものである。

(4) 以上の検討によれば、風営法2条1項3号にいう「ダンス」とは、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスを指し、風営法が3号営業として規制する営業は、設備を設け、」このようなダンスを客にさせ、かつ、客に飲食をさせる営業であると解するのが相当である。
 なお、この解釈の許容性及び相当性に関して、付言する。
@ この解釈は、3号営業における「ダンス」の要件を実質的観点から限定するものであるが、風営法は、規制目的を達成するために必要な限度で3号営業に対する規制を定めたものであるから、規制対象である3号営業の範囲も、規制の趣旨、目的に沿って実質的に解釈されるべきである。そして、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスに当たるか否かという基準は、比較的明確であり、判断も容易であるといえるから、解釈として許容される。
A 前記1(2)のような許可制の運用実態を踏まえても、許可申請書類(施行規則10条2項)に記載する遊興の種類として、客にさせるダンスの態様を明記させることで、その営業開始前であっても、ダンスの種類による3号営業の該当性が判断できるのであるから、事前許可制との整合も確保される。なお、所論は、客が行っているダンスの態様を原判決が判断基準に挙げていることについて、実際に客が踊るダンスの内容を営業者の側で必ずしも指定できないことを理由に挙げ、不当であると批判する。しかし、営業者は、営業所内の構造や配置、照明及び音響による演出といった間接的な方法や、客への告知及び注意ないしは制止という直接的な方法により、身体の接触の有無という点で客にさせるダンスの種類を指定することが可能であるから、客にさせるダンスの上記のような種類を考慮して3号営業に該当するか否かを判断することも不合理とはいえない。したがって、3号営業の意義は上記のとおり解するのが相当である。

3 3号営業の該当性について

 以上の解釈を前提に、本件公訴事実記載の店舗(以下「本件店舗」という。)における被告人の営業が、3号営業に該当するか検討する。
 被告人が本件店舗において、ステージ、フロア、DJブースなど、客にダンスをさせるための設備を設け、客に飲食をさせる営業を行っていたことは明らかである。
 しかし、平成24年4月4日午後9時43分頃、警察官が本件店舗での営業を確認曾板際には、男女合計約20人の客が音楽に合わせて踊っていたが、客同士で身体を接触して踊る様子は見られず、平成23年3月26日及び平成24年3月30日に警察官が本件店舗の営業を確認した際にも、そのようなダンスが行われている様子は見られなかったのであり(原審証人××××、同▼▼▼▼、同▲▲▲▲▲)、その他の機会においても、同様であったと認めてよい(原審被告人38頁)。そうすると、本件の証拠関係からは、被告人が本件店舗において、女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスを客にさせる営業を行っていた事実を認定することはできない。
 風営法の規制する3号営業の意義と対象の解釈については、で示したとおりであり、本件では、そのような3号営業を被告人が行った事実を認めるに足りる証拠はなく、本件公訴事実記載の犯罪は証明されていないことになる。

4 結論

 以上の検討によれば、原判決は、3号営業に対する規制目的を性風俗秩序の維持と少年の健全育成に限定し、他の規制目的を考慮していないと解される点で、相当ではなく、また、3号営業の解釈自体においても、3号営業に対する事前許可制と両立しがたい不適当な基準を求めた点で、法令の解釈適用を誤ったものではあるが、ダンスをさせる営業をその態様を問わず一律に規制対象とすることは合理性を欠くと解釈したことは相当であり、本件公訴事実について3号営業を営んだことに当たらないため犯罪の証明がないとして被告人に無罪を言い渡した原判決の結論は正当であるから、上記法令適用の誤りは判決に影響を及ぼすものではない。
 よって、本件控訴は理由がないから、刑訴法396条により棄却することとし、主文のとおり判決する。
 
     大阪高等裁判所第4刑事部       
         裁判長裁判官 米 山 正 明
         裁判官 中 川 綾 子
         裁判官 佐 藤  健
最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照〔抄〕

(略)
一 憲法二二条一項の職業選択の自由と許可制
(一) 憲法二二条一項は、何人も、公共の福祉に反しないかぎり、職業選択の自由を有すると規定している。職業は、人が自己の生計を維持するためにする継続的活動であるとともに、分業社会においては、これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するものである。右規定が職業選択の自由を基本的人権の一つとして保障したゆえんも、現代社会におけるよく行のもつ右のような性格と意義にあるということができる。そして、このような職業の性格と意義に照らすときは、職業は、ひとりその選択、すなわち職業の開始、継続、廃止において自由であるばかりでなく、選択した職業の遂行自体、すなわちその職業活動の内容、態様においても、原則として自由であることが要請されるのであり、したがって、右規定は、狭義における職業選択の自由のみならず、職業活動の自由の保障をも包含しているものと解すべきである。
(二) もっとも、職業は、前述のように、本質的に社会的な、しかも、主として経済的な活動であって、その性質上、社会的相互関連性が大きいものであるから、職業の自由は、それ以外の憲法の保障する自由、殊にいわゆる精神的自由に比較して、公権力よる規制の要請がつよく、憲法二二条一項が「公共の福祉に反しない限り」という留保のもとに職業選択の自由を認めたのも、特にこの点を強調する趣旨に出たものと考えられる。このように職業は、それ自身のうちになんらかの制約の必要性が内在する社会的活動であるが、その種類、性質、内容、社会的意義及び影響がきわめて多種多様であるため、その規制を要求する社会的理由ないし目的も、国民経済の円満な発展や社会公共の便宜の促進、経済的弱者の保護等の社会政策及び経済政策上の積極的なものから、社会生活における安全の保障や秩序の維持等の消極的なものに至るまで千差万別で、その重要性も区々にわたるものである。そしてこれに対応して、現実に職業の自由に対して加えられる制限も、あるいは特定の職業につき私人による遂行を一切禁止してこれを国家又は公共団体の専業とし、あるいは一定の条件をみたした者にのみこれを認め、更に、場合によっては、進んでそれらの者に職業の継続、遂行の義務を課し、あるいは職業の開始、継続、廃止の自由を認めながらその遂行の方法又は態様について規制する等、それぞれの事情に応じて各種各様の形をとることとなるのである。それ故、これらの規制措置が憲法二二条一項にいう公共の福祉のために要求されるものと是認されるかどうかは、これを一律に論ずることができず、具体的な規制措置について、規制の目的、必要性、内容、これによって制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量したうえで慎重に決定されなければならない。この場合、右のような検討と考量をするのは、第一次的には立法府の権限と責務であり、裁判所としては、規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる以上、そのための規制措置の具体的内容及びその必要性については、立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り、立法政策上の問題としてその判断を尊重すべきものである。しかし、右の合理的裁量の範囲については、事の性質上おのずから広狭がありうるのであって、裁判所は、具体的な規制の目的、対象、方法等の性質と内容に照らして、これを決すべきものといわなければならない。
(三) 職業の許可制は、法定の条件をみたし、許可を与えられた者のみにその職業の遂行を許し、それ以外の者に対してはこれを禁止するものであって、右に述べたように職業の自由に対する公権力による制限の一態様である。このような許可制が設けられる理由は多種多様で、それが憲法上是認されるかどうかも一律の基準をもって論じがたいことはさきに述べたとおりであるが、一般に許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し、また、それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によっては右目的を十分に達成することができないと認められることを要するもの、というべきである。そして、この要件は、許可制の採用自体が是認される場合であっても、個々の許可条件については、更に個別的に右の要件に照らしてその適否を判断しなければならないのである。

(略)
: 
 最高裁判所ホームページ 判例検索システムより引用
 
最高裁昭和57年(行ツ)第156号同59年12月12日大法廷判決・民集38巻12号1308頁 〔抄〕

(略)
 思うに、表現の自由は、憲法が保障する基本的人権の中でも特に重要視されるべきものであるが、さりとて絶対無制限なものでなく、公共の福祉による制限の下にあることはいうまでもない。…(略)…
 (三) 表現の自由は、前述のとおり、憲法の保障する基本的人権の中でも特に重要視されるべきものであって、法律をもって表現の自由を規制するについては、基準の広汎、不明確の故に当該規制が本来憲法上許容されるべき表現にまで及ぼされて表現の自由が不当に制限されるという結果を招くことがないように配慮する必要があり、事前規制的なものについては特に然りというべきものである。法律の解釈、特にその規定の文言を限定して解釈する場合においても、その要請は異なることがない。したがって、表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区分され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければならず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない。(最高裁昭和48年(あ)第910号同50年9月10日大法廷判決・刑集29巻8号489頁参照)。けだし、かかる制約を付さないとすれば、規制の基準が不明確であるかあるいは広汎に失するため、表現の自由が不当に制限されることとなるばかりでなく、国民がその規定の適用を恐れて本来自由に行い得る表現行為までも差し控えるという効果を生むことになるからである。

(略)
: 
最高裁判所ホームページ 判例検索システムより引用
 
最高裁平成17年(あ)第1819号同19年9月18日第三小法廷判決・刑集61巻6号601頁〔抄〕

(略)
 なるほど、本条例は、暴走族の定義において社会通念上の暴走族以外の集団が含まれる文言になっていること、禁止行為の対象及び市長の中止・退去命令の対象も社会通念上の暴走族以外の者の行為にも及ぶ文言となっていることなど、規定の仕方が適切ではなく、本条例がその文言どおりに適用されることになると、規制の対象が広範囲に及び、憲法21条1項及び31条との関係で問題があることは所論のとおりである。しかし、本条例19条が処罰の対象としているのは、同17条の市長の中止・退去命令に違反する行為に限られる。そして、本条例の目的規定である1条は、「暴走行為、い集、集会及び祭礼等における示威行為が、市民生活や少年の健全育成に多大な影響を及ぼしているのみならず、国際平和文化都市の印象を著しく傷つけている」存在としての「暴走族」を本条例が規定する諸対策の対象として想定するものと解され、本条例5条、6条も、少年が加入する対象としての「暴走族」を想定しているほか、本条例には、暴走行為自体の抑止を眼目としている規定も数多く含まれている。また、本条例の委任規則である本条例施行規則3条は、「暴走、騒音、暴走族名等暴走族であることを強調するような文言を刺しゅう、印刷等をされた服装等」の着用者の存在(1号)、「暴走族であることを強調するような文言を刺しゅう、印刷等をされた旗等」の存在(4号)、「暴走族であることを強調するような大声の掛合い等」(5号)を本条例17条の中止命令等を発する際の判断基準として挙げている。このような本条例の全体から読み取ることができる趣旨、さらには本条例施行規則の規定等を総合すれば、本条例が規制の対象としている「暴走族」は、本条例2条7号の定義にもかかわらず、暴走行為を目的として結成された集団である本来的な意味における暴走族の外には、服装、旗、言動などにおいてこのような暴走族に類似し社会通念上これと同視することができる集団に限られるものと解され、したがって、市長において本条例による中止・退去命令を発し得る対象も、被告人に適用されている「集会」との関係では、本来的な意味における暴走族及び上記のようなその類似集団による集会が、本条例16条1項1号、17条所定の場所及び態様で行われている場合に限定されると解される。
 そして、このように限定的に解釈すれば、本条例16条1項1号、17条、19条の規定による規制は、広島市内の公共の場所における暴走族による集会等が公衆の平穏を害してきたこと、規制に係る集会であっても、これを行うことを直ちに犯罪として処罰するのではなく、市長による中止命令等の対象にするにとどめ、この命令に違反した場合に初めて処罰すべきものとするという事後的かつ段階的規制によっていること等にかんがみると、その弊害を防止しようとする規制目的の正当性、弊害防止手段としての合理性、この規制により得られる利益と失われる利益との均衡の観点に照らし、いまだ憲法21条、31条にに違反するとまではいえないことは、最高裁昭和44年(あ)第1501号同49年11月6日大法廷判決・刑集28巻9号393頁、最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁の趣旨に徴して明らかである。

(略)
: 
 
 最高裁判所ホームページ 判例検索システムより引用
 
日本国憲法〔抄〕
第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
A …(略)…

第22条
 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
A …(略)…

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律〔抄〕
(昭和23年 7月10日 法律第122号)
(目的)
第1条 この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に支障を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

(用語の意義)
第2条 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1 キャバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食させる営業
2 待合、料理店、カフェーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
 ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(第1号に該当する営業を除く。)
 ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(第1号若しくは前号に該当する営業又は客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者(政令で定めるダンスの教授に関する講習を受けその課程を修了した者その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として政令で定める者に限る。)が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く。)
5 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた客席における照度を10ルクス以下として営むもの(第1号から第3号までに掲げる営業として営むものを除く。)
6 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)
A この法律において「風俗営業者」とは、次条第1項の許可又は第7条第1項、第7条の2第1項若しくは第7条の3第1項の承認を受けて風俗営業を営む者をいう。
B この法律において「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。
C この法律において「接待飲食等営業」とは、第1項第1号から第6号までのいずれかに該当する営業をいう。
D この法律において「性風俗関連特殊営業」とは、店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業及び無店舗型電話異性紹介営業をいう。
E この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
 浴場業(公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第1条第1項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人に姿態を見せる興行その他善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に規定するものをいう。)として政令で定めるものを経営する営業
 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業
 店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
6 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの
F この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
 電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第5号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの
G この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。
H この法律において「店舗型電話異性紹介営業」とは、店舗を設けて、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際(会話を含む。次項において同じ。)を希望する者に対し、会話(伝言のやり取りを含むものとし、音声によるものに限る。以下同じ。)の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて当該店舗内に立ち入らせた他の一方の者に取り次ぐことによつて営むもの(その一方の者が当該営業に従事する者である場合におけるものを含む。)をいう。
I この法律において「無店舗型電話異性紹介営業」とは、専ら、面識のない異性との一時の性的好奇心を満たすための交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、その一方の者からの電話による会話の申込みを電気通信設備を用いて他の一方の者に取り次ぐことによつて営むもの(その一方の者が当該営業に従事する者である場合におけるものを含むものとし、前項に該当するものを除く。)をいう。
J この法律において「接客業務受託営業」とは、専ら、次に掲げる営業を営む者から委託を受けて当該営業の営業所において客に接する業務の一部を行うこと(当該業務の一部に従事する者が委託を受けた者及び当該営業を営む者の指揮命令を受ける場合を含む。)を内容とする営業をいう。
1 接待飲食等営業
2 店舗型性風俗特殊営業
3 飲食店営業(設備を設けて客に飲食をさせる営業で食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条第1項の許可を受けて営むものをいい、接待飲食等営業又は店舗型性風俗特殊営業に該当するものを除く。以下同じ。)のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業(営業の常態として、通常主食として認められる食事を提供して営むものを除く。以下「酒類提供飲食店営業」という。)で日出時から午後10時までの時間においてのみ営むもの以外のもの

(営業の許可)
第3条 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第1項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
A 公安委員会は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があると認めるときは、その必要の限度において、前項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができる。

(許可の基準)
第4条 公安委員会は、前条第1項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。
1 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は次に掲げる罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しない者
イ 第49条又は第50条第1項の罪
ロ 刑法(明治40年法律第45号)第174条、第175条、第182条、第185条、第186条、第224条、第225条(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第226条、第226条の2(第3項については、営利又はわいせつの目的の部分に限る。以下この号において同じ。)、第226条の3、第227条第1項(同法第224条、第225条、第226条、第226条の2又は第226条の3の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)若しくは第3項(営利又はわいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)又は第228条(同法第224条、第225条、第226条、第226条の2、第226条の3又は第227条第1項若しくは第3項に係る部分に限る。)の罪
ハ 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成11年法律第136号)第3条第1項(第5号又は第6号に係る部分に限る。)又は第6条(第1項第2号に係る部分に限る。)の罪
ニ 売春防止法(昭和31年法律第118号)第2章の罪
ホ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第4条から第8条までの罪
ヘ 労働基準法(昭和22年法律第49号)第117条、第118条第1項(同法第6条又は第56条に係る部分に限る。)又は第119条第1号(同法第61条又は第62条に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法(昭和23年法律第130号)又は労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)の規定により適用する場合を含む。)の罪
ト 船員法(昭和22年法律第100号)第129条(同法第85条第1項又は第2項に係る部分に限る。)又は第130条(同法第86条第1項に係る部分に限る。)(これらの規定を船員職業安定法の規定により適用する場合を含む。)の罪
チ 職業安定法(昭和22年法律第141号)第63条の罪
リ 児童福祉法(昭和22年法律第164号)第60条第1項又は第2項(同法第34条第1項第4号の3、第5号、第7号又は第9号に係る部分に限る。)の罪
ヌ 船員職業安定法第111条の罪
ル 出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)第73条の2第1項の罪
ヲ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第58条の罪
3 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
4 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
5 第26条第1項の規定により風俗営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この項において同じ。)であつた者で当該取消しの日から5年を経過しないものを含む。)
6 第26条第1項の規定による風俗営業の許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に第10条第1項第1号の規定による許可証の返納をした者(風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で当該返納の日から5年を経過しないもの
7 前号に規定する期間内に合併により消滅した法人又は第10条第1項第1号の規定により許可証の返納をした法人(合併又は風俗営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)の前号の公示の日前60日以内に役員であつた者で当該消滅又は返納の日から起算して5年を経過しないもの
7の2 第6号に規定する期間内に分割により同号の聴聞に係る風俗営業を承継させ、若しくは分割により当該風俗営業以外の風俗営業を承継した法人(分割について相当な理由がある者を除く。)又はこれらの法人の同号の公示の日前60日以内に役員であつた者で当該分割の日から起算して5年を経過しないもの
8 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が風俗営業者の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び次号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
9 法人でその役員のうちに第1号から第7号の2までのいずれかに該当する者があるもの
A 公安委員会は、前条第1項の許可の申請に係る営業所につき次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならない。
 営業所の構造又は設備(第4項に規定する遊技機を除く。第9条、第10条の2第2項第3号、第12条及び第39条第2項第7号において同じ。)が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき。
 営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき。
3 営業所に第24条第1項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき。
B 公安委員会は、前条第1項の許可又は第7条第1項、第7条の2第1項若しくは第7条の3第1項の承認を受けて営んでいた風俗営業の営業所が火災、震災その他その者の責めに帰することができない事由で政令で定めるものにより滅失したために当該風俗営業を廃止した者が、当該廃止した風俗営業と同一の風俗営業の種別の風俗営業で営業所が前項第2号の地域内にあるものにつき、前条第1項の許可を受けようとする場合において、当該許可の申請が次の各号のいずれにも該当するときは、前項第2号の規定にかかわらず、許可をすることができる。
1 当該風俗営業を廃止した日から起算して5年以内にされたものであること。
 次のいずれかに該当すること。
イ 当該滅失した営業所の所在地が、当該滅失前から前項第2号の地域に含まれていたこと。
ロ 当該滅失した営業所の所在地が、当該滅失以降に前項第2号に含まれることとなつたこと。
3 当該滅失した営業所とおおむね同一の場所にある営業所につきされたものであること。
4 当該滅失した営業所とおおむね等しい面積の営業所につきされたものであること。
C 第2条第1項第7号の営業(ぱちんこ屋その他政令で定めるものに限る。)については、公安委員会は、当該営業に係る営業所に設置される遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準に該当するものであるときは、当該営業を許可しないことができる。

(許可の手続及び許可証)
第5条 第3条第1項の許可を受けようとする者は、公安委員会に、次の事項を記載した申請書を提出しなければならない。この場合において、当該許可申請書には、営業の方法を記載した書類その他内閣府令で定める書類を添付しなければならない。
1 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 営業所の名称及び所在地
3 風俗営業の種別
4 営業所の構造及び設備の概要
5 第24条第1項の管理者の氏名及び住所
6 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
A 公安委員会は、第3条第1項の許可をしたときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、許可証を交付しなければならない。
B 公安委員会は、第3条第1項の許可をしないときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、申請者にその旨を通知しなければならない。
C 許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、速やかにその旨を公安委員会に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない。

(営業時間の制限)
第13条 風俗営業者は、午前零時(都道府県が習俗的行事その他の特別な事情がある日として条例で定める日にあつては当該事情のある地域として当該条例で定める地域内は午前零時以後において当該条例で定める時、当該条例で定める日以外の日にあつては午前1時まで風俗営業を営むことが許容される特別な事情のある地域として政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内に限り午前1時)から日出時までの時間においては、その営業を営んではならない。
A 都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要があるときは、前項の規定によるほか、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を定めて、風俗営業の営業時間を制限することができる。

(照度の規制)
第14条 風俗営業者は、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を、風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める数値以下としてその営業を営んではならない。

(騒音及び振動の規制)
第15条 風俗営業者は、営業所周辺において、政令で定めるところにより、都道府県の条例で定める数値以上の騒音又は振動(人声その他その営業活動に伴う騒音又は振動に限る。)が生じないように、その営業を営まなければならない。

(接客従業者に対する拘束的行為の規制)
第18条の2 接待飲食等営業を営む風俗営業者は、その営業に関し、次に掲げる行為をしてはならない。
1 営業所で客に接する業務に従事する者(以下「接客従業者」という。)に対し、接客従業者でなくなつた場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務(利息制限法(昭和29年法律第100号)その他の法令の規定によりその全部又は一部が無効とされるものを含む。以下同じ。)を負担させること。
2 その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させた接客従業者の旅券等(出入国管理及び難民認定法第2条第5号の旅券、道路交通法(昭和35年法律第105号)第92条第1項の運転免許証その他求人者が求職者の本人確認のため通常提示を求める書類として政令で定めるものをいう。以下同じ。)を保管し、又は第三者に保管させること。
A 接待飲食等営業を営む風俗営業者は、接客業務受託営業を営む者が当該接客業務受託営業に関し第35条の3の規定に違反する行為又は売春防止法第9条、第10条若しくは第12条の罪に当たる違法な行為をしている疑いがあると認められるときは、当該接客業務受託営業を営む者の使用人その他の従業者で当該違反行為の相手方となつているものが営業所で客に接する業務に従事することを防止するため必要な措置をとらなければならない。

(禁止行為)
第22条 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
 当該営業に関し客引きをすること。
 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
 営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせ、又は客の相手となつてダンスをさせること。
 営業所で午後10時から翌日の日出時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務に従事させること。
 18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第2条第1項第8号の営業に係る営業所にあつては、午後10時(同号の営業に係る営業所に関し、都道府県の条例で、18歳以下の条例で定める年齢で満たない者につき、午後10時前の時を定めたときは、その者についてはその時)から翌日の日出時までの時間において客として立ち入らせること。)。
6 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。

第49条 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1 第3条第1項の規定に違反して同項の許可を受けないで風俗営業を営んだ者
2 偽りその他不正の手段により第3条第1項の許可又は第7条第1項、第7条の2第1項若しくは第7条の3第1項の承認を受けた者
3 第11条の規定に違反した者
4 第26条、第30条、第31条の5第1項若しくは第2項、第31条の6第2項第2号若しくは第3号、第31条の15、第31条の20、第31条の21第2項第2号、第34条第2項、第35条、第35条の2又は第35条の4第2項若しくは第4項第2号の公安委員会の処分に違反した者
 第28条第1項(第31条の3第2項の規定により適用する場合及び第31条の13第1項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
6 第28条第2項(第31条の3第2項の規定により適用する場合及び第31条13第1項において準用する場合を含む。)の規定に基づく都道府県の条例の規定に違反した者
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令〔抄〕
(昭和59年11月 7日政令第319号)
(風俗営業の許可に係る営業制限地域の指定に関する条例の基準)
第6条 法第4条第2項第2号の政令で定める基準は、次のとおりとする。
1 風俗営業の営業所の設置を制限する地域(以下「制限地域」という。)の指定は、次に掲げる地域内の地域について行うこと。
イ 住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域(以下「住居集合地域」という。)
ロ その他の地域のうち、学校その他の施設で学生等のその利用者の構成その他の特性にかんがみ特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県条例で定めるものの周辺の地域
2 前号ロに掲げる地域内の地域につき制限地域の指定を行う場合には、当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこと。
3 前2号の規定による制限地域の指定は、風俗営業の種類及び営業の態様、地域の特性、第1号ロに規定する施設の特性、既設の風俗営業の営業所の数その他の事情に応じて、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであること。
 
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則〔抄〕
(昭和60年 1月11日 国家公安委員会規則第1号)
(構造及び設備の技術上の基準)
第8条 法第4条第2項第1号の国家公安委員会規則で定める技術上の基準は次の表の上欄〔左欄〕に掲げる風俗営業の種別の区分に応じ、それぞれ同表の下〔右欄〕に定めるとおりとする。

風俗営業の種別 構造及び設備の技術上の基準
法第2条第1項第1号又は第3号に掲げる営業 1 客室の床面積は、一室の床面積を66平方メートル以上とし、ダンスをさせるための客室の部分の床面積をおおむねその5分の1以上とすること。
2 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
3 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
4 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
5 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
6 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
7 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
法第2条第1項第2号に掲げる営業 1 客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては一室の床面積を9.5平方メートル以上とし、その他のものにあつては一室の床面積を16.5平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りではない。
2 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
3 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
4 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
5 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
6 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
7 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
8 ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。
法第2条第1項第4号に掲げる営業 1 ダンスをさせるための営業所の部分(以下この項において「客室」という。)の床面積は、一室の床面積を66平方メートル以上とすること。
2 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
3 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
4 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
5 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
6 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
7 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
法第2条第1項第5号に掲げる営業 1 客室の床面積は、一室の床面積を5平方メートル以上とすること。
2 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
3 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
4 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
5 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
6 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が5ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
7 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
8 ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。
法第2条第1項第6号に掲げる営業 1 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
2 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
3 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
4 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
5 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
6 ダンスの用に供するための構造又は設備を有しないこと。
7 令第3条第3項第1号ハに規定する設備を設けないこと。
法第2条第1項第7号に掲げる営業 1 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
2 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
3 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
4 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
5 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
6 ぱちんこ屋及び令第7条に規定する営業にあつては、当該営業の用に供する遊技機以外の遊技設備を設けないこと。
7 ぱちんこ屋及び令第11条に規定する営業にあつては、営業所内の客の見やすい場所に賞品を提供する設備を設けること。
法第2条第1項第8号に掲げる営業 1 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
2 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
3 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に通ずる客室の出入口については、この限りではない。
4 第29条に定めるところにより計つた営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるための必要な構造又は設備を設けること。
5 第31条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第15条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備を有すること。
6 遊技料金として紙幣を挿入することができる装置を有する遊技設備又は客に現金若しくは有価証券を提供するための装置を有する遊技設備を設けないこと。

(許可申請の手続)
第10条 法第5条第1項に規定する許可申請書の様式は、別記様式第2号のとおりとする。
A 法第5条第1項に規定する営業の方法を記載した書類の様式は、別記様式第3号のとおりとする。
受付時間 9:00〜17:00 (日曜・祝日を除く。)
日曜日・祝日でも上記時間内であれば可能な限りご対応いたします。お気軽にお問合せください。また、他のお客様と面談中等で、お電話がつながりにくいことがあります。時間をおいてお掛け直しいただければ幸甚です。
藤田 海事・行政 事務所
海事代理士・行政書士  藤 田  晶
 
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