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| 早めにしたい相続対策 |
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| C自宅などの評価額80%減…「小規模宅地等の特例」 |
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2011年(平成23年)に相続税の申告をした人の相続財産のうち、土地が約50%を占めています。このことからも、土地は、誰にでも関係する可能性がある相続財産ということができます。実際、「相続したのは、預貯金と自宅」というケースが多いです。日本人の財産の70%が土地であり、その大半が自宅や自分が経営する会社の社屋等の敷地というデータもあります。
このような身近な土地の相続で重要なのは、「小規模宅地等の相続税の課税価額特例制度」です。これは、相続財産に居住用の宅地や事業用の土地がある場合、相続税の評価額の計算において一定割合で減額されるというものです。
特例を受けられる宅地(土地)は4つで、これらの評価額の減額割合は次のようになっています。
@特定居住用宅地
故人(被相続人)が住むために使用していた宅地などで適用条件を満たす場合は、評価額を80%減額。適用面積は、2014年(平成26年)12月31日まで:240平方メートルまで。2015年(平成27年)1月1日から:330平方メートルまで。
A特定事業用宅地
故人(被相続人)が事業のために利用していた宅地や、故人(被相続人)と生計を一にしていた親族の事業のために利用していた宅地など。適用条件を満たす場合は、評価額を80%減額。適用面積は、400平方メートルまで。
B特定同族会社事業用宅地
故人(被相続人)が役員となっていた同族会社のために提供されていた宅地など。評価額を80%減額。適用面積は、400平方メートルまで。
C貸付事業用宅地
故人(被相続人)が貸し付けていた貸家や駐車場の宅地・土地など。評価額は50%減額。適用面積は200平方メートルまで。
なお、2014年(平成26年)以降、玄関が1階と2階で別にあり、内階段もない、いわゆる「独立型二世帯住宅」にも条件を満たせば、小規模宅地等の特例が適用されることになっています。
特定居住用宅地
これらの特例のうち、最も身近な「特定居住用宅地」(=自宅)について見ていきます。
例えば、330平方メートルの面積がある評価額1億円の土地を相続した場合、2014年(平成26年)12月31日までは240平方メートルの部分だけが80%の評価減の特例を受け、残りの部分は評価減なしで適用されます。これが2015年(平成27年)1月1日以降になると、330平方メートルの全てが80%の評価減の対象になります。 図解
しかし、この適用を受けるには、3つの条件のいずれかをクリアしなければなりません。
@故人(被相続人)の配偶者が相続する
A故人(被相続人)と同居していた親族が相続、申告期限まで引き続き所有し居住用として使う
B故人(被相続人)に同居親族がいない場合、別居かつ持ち家を持っていない、いわゆる「家なき子」が相続する
という3つの条件のいずれかをクリアしなければなりません。
このうち、Bの条件は少々厄介なものとなります。例えば、「故郷を離れて東京で就職し、東京で家を建て妻子と共に暮らしている子が、既に父が亡くなり母の名義になっている土地をその母も亡くなって子が相続する」というような現在では珍しくないケースでは特例の対象にはならないことになります。
特定事業用宅地と特定同族会社事業用宅地は、故人(被相続人)の自宅宅地のほか、事業のための店舗や工場などの宅地も評価額を減額するというものです。2015年(平成27年)1月1日以降は合計:730平方メートルまで特例の対象面積と認められることになります。これは、中小企業の経営者を対象として、子への事業継承のハードルを少しでも低くしようとする目的があります。
また、2014年(平成26年)以降は、介護が必要なため故人(被相続人)が終身利用権付き老人ホームなどに入居し、自宅には誰も住んでいなかった場合においても、一定の条件を満たせば、特例を受けられるようになっています。
小規模宅地の特例の組み合わせ
小規模宅地の特例は、制度自体としては土地の評価額の減額という極めて単純なものですが、特例の内容を組み合わせることにより、いわゆる「土地持ち」の人たちには、様々相続対策につなげることもできます。
2015年(平成27年)1月1日以降、自宅用宅地と特定事業用宅地を持っている場合、自宅用は330平方メートル、事業用は400平方メートルまで無条件で相続税の評価額を減額できるのも、その1つです。
例えば、730平方メートルの土地を持っていた故人(被相続人)が、そのうち400平方メートルを長男と共に経営するパン屋(事業用地)に使い、300平方メートルを自宅として使用していたとする。この場合、共に経営していた長男か一定の親族がパン屋を引き継ぎ、申告期限まで引き続き事業用地を所有し、かつ、パン屋を営んでいれば、特定事業宅地として80%減額となります。自宅用の宅地も、配偶者や一定の親族がそれを引き継げば特定居住用宅地として80%減額になります。
アパート、駐車場のために所有している貸付事業用地では、「調整計算」という特別な按分方法を用いて、負担する相続税を減らす手もあります。特例では、「200平方メートルまで評価額を50%減額」となっていますが、貸付事業用地に限り、自宅用などの他の土地をあわせて特例適用を受けようとすると、「調整計算」という按分計算で適用面積が決められることになっています。単純かつ無条件で「200平方メートルまで」ではないのです。2015年(平成27年)以降においては、例えば、165平方メートルの自宅用宅地と200平方メートルの貸付事業用地を所有している場合、先に特定居住用宅地で特例をうけたとすると、調整計算により貸付事業用地の特例適用の面積は100平方メートルになってしまいます。
ですが、「自宅用宅地は165平方メートルしかないが、現金は割とある」というケースでは、100平方メートルの土地を購入して駐車場を始め、特例面積を活用することも可能です。ただし、駐車場を始める場合、砂利を敷かず、アスファルトで舗装もしていない、いわゆる「青空駐車場」の場合、事業として体裁を整えていないとみなされ、特例を受けられない場合があるので、注意が必要です。 図解
大都市の近郊や地方で広大な土地を所有している資産家の人は、特例の適用条件が「価額でなく面積」であることに注目した対策も考えられます。
評価額が同じ1億円の土地を所有している場合、地価が安価な地方では特例条件である面積が必然的に小さくなります。つまりは、相続税の計算において特例部分が小さく、その分、相続税の評価額が大きくなります。一方、地価が高価な大都市の近郊の土地では、特例条件である面積が必然的に大きくなります。相続税の計算において特例部分が大きく、その分、相続税の評価額が小さくなります。 図解 |
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| 小規模宅地等の特例 |
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| 小規模宅地等の特例の概要 |
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| 相続する土地 |
相続する人 |
土地の相続税評価 |
上限面積 |
自宅の土地
(特定居住用宅地) |
●配偶者
●同居、又は生計を一にしている親族
ただし、申告期限まで所有、居住
●「持ち家」なしの別居親族
ただし、上記の人がいない場合。申告期限まで所有 |
80%減 |
240平方メートル
※2014年(平成26年)12月31日まで

330平方メートル
※2015年(平成27年)1月1日から
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店舗・会社・工場の土地
(特定事業用宅地・特定同族会社事業用宅地) |
●親族
ただし、申告期限まで所有、事業を引き継ぎ |
80%減 |
400平方メートル |
アパート・駐車場の土地
(貸付事業用宅地) |
●親族
ただし、申告期限まで所有、事業を引き継ぎ |
50%減 |
200平方メートル |
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| 小規模宅地等の特例の改正 |
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| 駐車場購入で評価減 |
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| 地価の高い土地への住み替え |
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| ※自宅買替に伴い発生する費用は考慮しない場合 |
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