風営適正化法(風営法)では、「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため」(風営適正化法〔風営法〕第1条)という目的から、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持及び少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある営業を風俗営業としています。
風俗営業とは、同法第2条第1項各号のいずれかに該当するものをいいますが、そのいずれもが「設備を設けて」当該各号に該当する営業をすることを要件(5号については、「設備を設けて」という文言はないが、「遊技設備…(略)…を備える店舗その他これに類する区画された施設」を要件としていることから、「設備を設けて」と同じ趣旨であると解釈されます。)としていることから、「設備を設けて」する場合に、当該営業が反復性・常態性を具え、風営適正化法の規制を加える必要がある営業としています。ですので、設備を設けないでする風俗営業のようなものまでも規制しようとするものではありません。
同法第2条第1項各号にいう「設備」とは、営業行為を行うに必要とされる一切の物的施設、備品をいい、しかも、営業を営むに必要なものであることから、ある程度の期間にわたり反復継続して使用に耐えることのできる程度のものであることが必要とされると解釈されます。したがって、屋外に一時的に囲いをし、テーブル、椅子等を並べて配置した程度であれば、設備には該当しないと解釈されます。
「設備を設けて」とは、同法第2条第1項各号の営業をするための典型的な施設、備品を必ずしも備えていなければならない訳ではなく、営業施設(営業所)の構造や備品等を全体として見た場合において、同法第2条第1項各号の営業を営むことができると客観的に認められる程度であれば要件を満たすものと解釈されます。
また、同法第4条第2項第1号では、公安委員会は「営業所の構造又は設備…(略)…が風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき」は許可をしてはならないことと定めているが、これは公安委員会が許可をする場合の基準に過ぎず、この許可基準に適合しないから同法第2条第1項各号の営業を営んだことにならない訳ではありません。従って、営業所の構造又は設備が許可基準に適合するか否かを問わず、無許可で同法第2条第1項各号の営業を営んだと認められれば無許可営業罪を構成すると思料します。 |