風俗営業始めま専科!
風俗営業許可申請手続代行センター
愛媛県四国中央市 海事代理士・行政書士  藤 田  晶  事務所
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「これらの用に供するものと決定した土地」の意義
 「これら〔保全対象施設(保護対象施設)〕の用に供することが単に予定されている」だけでは、「これらの用に供するものと決定した土地」には当たらないとする裁判例があるが、「これら〔保全対象施設(保護対象施設)〕の種類、規模及び特性、これら〔保全対象施設(保護対象施設)〕の開設のために必要とされる法令上及び事実上の手続、これら〔保全対象施設(保護対象施設)〕の開設に要する費用等から見て、その土地に、これら〔保全対象施設(保護対象施設)〕が設置されることが社会通念に照らして確実となっていると合理的に判断され得るとき」は、「これらの用に供するものと決定した土地」といえるとされる。〔裁判例〕「社会通念に照らして確実になっている」とは、この裁判例によれば、「関係法律に基づく許認可等を勘案して、これら〔保全対象施設(保護対象施設)〕の設置が外部的客観的に確実であるとき」をいうと考えられ、また、確実性については、実地調査やこれら〔保全対象施設(保護対象施設)〕を所管する行政機関等への照会等を通じて判断されると考えられる。
裁判例の要旨
事件番号:平成17(行ウ)107
事件名:風俗営業不許可処分取消等請求控訴事件
裁判年月日:平成18年 8月23日
裁判所名:大阪地方裁判所
判示事項 1 別法人がぱちんこ屋営業を営んでいた土地建物を、ぱちんこ屋営業を営む目的で譲り受けた法人がした風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律5条1項に基づくぱちんこ屋営業の許可申請に対し、府公安委員会がした不許可処分の取消しを求める訴えが、訴えの利益を欠くとして却下された事例
2 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律5条1項に基づくぱちんこ屋営業の許可申請に係る営業所に同法4条2項2号に該当する事由があるとして府公安委員会がした前記許可申請の不許可処分が違法であるとしてされた府に対する国家賠償請求が、棄却された事例
裁判要旨 1 別法人がぱちんこ屋営業を営んでいた土地建物を、ぱちんこ屋営業を営む目的で譲り受けた法人がした風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律5条1項に基づくぱちんこ屋営業の許可申請に対し、府公安委員会がした不許可処分の取消しを求める訴えにつき、前記不許可処分がされた後、前記法人及び前記別法人が会社分割を行い、前記法人が、吸収分割の登記をし、府公安委員会が、同会社分割について承認をしたことにより、前記法人が、前記別法人から同社のぱちんこ店におけるぱちんこ屋営業を承継するとともに、同法7条の3第1項に基づき、同営業についての風俗営業者の地位を承継し、前記吸収分割の登記がされた日以降、同ぱちんこ店において適法に風俗営業であるぱちんこ屋営業を営むことができる法的地位を有したことからすると、前記不許可処分の取消しを求める訴えは、その利益を欠くに至ったとして、前記訴えを却下した事例
2 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律5条1項に基づくぱちんこ屋営業の許可申請に係る営業所に同法4条2項2号に該当する事由があるとして府公安委員会がした前記許可申請の不許可処分が違法であるとしてされた府に対する国家賠償請求につき、学校法人が、その設備及び規模からして巨額の資金を要するものと推認される学校教育法1条に規定する大学の新設工事のために必要な行政手続を履践した上、宅地造成工事及び建物(校舎)建築工事に着手するとともに、文部科学省の関係各課と複数回にわたって事前の相談を行い、同大学設置認可の要件を満たすために必要な準備を調えた上で、文部科学大臣に対し同認可申請に及んだことなどを考えると、前記不許可処分当時、文部科学大臣による大学設置認可前であったものの、同大学設置計画場所に同大学が設置されることは社会通念に照らして確実になっているといえ、同大学設置場所は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令6条2号及び大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和34年大阪府条例第6号)2条1項2号にいう「これらの用に供するものとして決定した土地」に該当するといえるから、前記不許可処分に違法はないとして、前記請求を棄却した事例
主   文
1 本件訴えのうち、大阪府公安委員会が原告に対して平成17年5月12日付けでしたぱちんこ屋営業の不許可処分の取消請求に係る部分を却下する。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求

1 大阪府公安委員会が原告に対して平成17年5月12日付けでしたぱちんこ屋営業の不許可処分を取り消す。
2 被告は、原告に対し、1705万円及びこれに対する平成17年6月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 本件は、A株式会社が従前ぱちんこ屋営業を営んでいた紙目録記載1の土地及び同記載2の建物(前者を以下「本件土地」、後者を以下「本件建物」といい、両者を併せて以下「本件各不動産」という。)を同社から譲り受けた原告が、同所においてぱちんこ屋営業を営もうとして、俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営法」という。)5条1項に基づき、阪府公安委員会に、ぱちんこ屋営業の許可申請(以下「本件申請」という。)をしたのに対し、委員会が不許可処分(以下「本件不許可処分」という。)をしたところ、原告が、本件不許可処分は違法であるとして、その取消しを求めるとともに、本件不許可処分によってぱちんこ屋営業を営むことができず損害を被ったとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づいて、逸失利益1705万円及びこれに対する本件不許可処分の日の後である平成17年6月28日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

1 法令の定め

(1)
 風営法2条1項柱書は、同法において「風俗営業」とは、同項各号のいずれかに該当する営業をいうと規定し、同項7号は、まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業を掲げる。同法3条1項は、風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(同法2条1項各号に規定する風俗営業の種別をいう。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(この項(第2の1)において、以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならないと規定し、同法4条2項柱書は、公安委員会は、同法3条1項の許可の申請に係る営業所につき同法4条2項各号のいずれかに該当する事由があるときは、許可をしてはならないとし、同項2号は、営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるときと規定している。
 俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令(以下「施行令」という。)6条1号は、風営法4条2項2号の政令で定める基準として、俗営業の営業所の設置を制限する地域(以下「制限地域」という。)の指定は、住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域(施行令6条1号イ)及びその他の地域のうち、学校その他の施設で学生等のその利用者の構成その他のその特性にかんがみ特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県の条例で定めるものの周辺の地域(同号ロ)について行うこととし、施行令6条2号は、同条1号ロに掲げる地域内の地域につき制限地域の指定を行う場合には、当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこととし、同条3号は、同条1号又は2号の規定による制限地域の指定は、風俗営業の種類及び営業の態様、地域の特性、同条1号ロに規定する施設の特性、既設の風俗営業の営業所の数その他の事情に応じて、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであることと規定している。
 大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(昭和34年大阪府条例第6号。以下「施行条例」という。)2条1項2号は、風営法4条2項2号の条例で定める地域を、学校教育法1条に規定する学校若しくは同法83条1項に規定する各種学校のうち主として外国人の幼児、児童、生徒等に対して教育を行うもの及び児童福祉法7条に規定する保育所又は医療法1条の5第1項に規定する病院若しくは同条2項に規定する診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。)の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね100メートル(当該施設の敷地が都市計画法8条1項1号に規定する商業地域にある場合にあっては、当該施設の敷地の周囲おおむね50メートル)の区域(公安委員会規則で定める区域を除く。)とする旨規定している。
イ 風営法7条の3第1項は、俗営業者(同法3条1項の許可又は7条1項、7条の2第1項若しくは7条の3第1項の許可を受けて風俗営業を営む者をいう(同法2条2項)。以下同じ。)たる法人が分割により風俗営業者を承継させる場合において、あらかじめ当該分割について国家公安委員会規則で定めるところにより公安委員会の承認を受けたときは、分割により当該風俗営業を承継した法人は、当該風俗営業についての風俗営業者の地位を承継する旨規定する。
(2) 学校教育法1条は、同法で、学校とは、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園とする旨規定し、同法4条柱書は、国立学校、同法によって設置義務を負う者の設置する学校及び都道府県の設置する学校(大学及び高等専門学校を除く。)のほか、学校(高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)の通常の課程、夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程及び通信による教育を行う課程、大学の学部、大学院及び大学院の研究科並びに同法69条の2第2項の大学の学科についても同様とする。)の設置廃止、設置者の変更その他政令で定める事項は、同法4条各号に掲げる学校の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者の認可を受けなければならないとし、同条1号は、公立又は私立の大学又は高等専門学校について、文部科学大臣の認可を受けなければならない旨規定している。

2 争いのない事実及び証拠により容易に認定することのできる事実等

(1)当事者等
 大阪府公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、風営法3条1項に基づく風俗営業の許可権限を有している。
 原告は、遊技場の経営等を目的とする有限会社である。
 Aは、パチンコホール等の遊技場の経営等を目的とする株式会社である。
 学校法人B(以下「B」という。)は、教育基本法及び学校教育法に従い、専修学校教育を行うことなどを目的とする学校法人である。

(2) 本件不許可処分に至る経緯
 Aは、平成7年4月17日、本件土地においてぱちんこ屋等の営業を営むことの許可を受け、平成17年6月27日まで、本件建物「C」という名称の営業所(以下「本件ぱちんこ店」という。)として、ぱちんこ屋営業を営んできた(甲3、弁論の全趣旨)。
 原告は、平成17年1月28日、本件各不動産においてぱちんこ屋営業を営む目的で、Aから本件各不動産を買い受け(甲1、2)、平成17年2月18日、公安委員会に対し、風営法5条1項に基づき、本件申請をした(甲4)。
 公安委員会は、本件申請について、平成17年4月6日、同月27日及び同年5月11日の各定例会議において審議を行った上、原告に対し、平成17年5月12日付けで本件不許可処分をした(甲5、6、7)。その通知書において、不許可処分の理由は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第4条第2項第2号にいう大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例第2条第1項第2号に定める大学の用に供するものと決定した土地に、「大阪府貝塚市αXXX−1他に所在する仮称D大学の設置計画場所」が該当し、営業所がその周辺おおむね100メートルの区域に所在するため。」と記載されていた(甲5)。

(3) Bによる大学設置計画
 Bは、阪府貝塚市αXXX−2ほか18筆の土地(同XXX番1を含む。以下「本件大学用地」という。)に、校教育法1条の大学として、「(仮称)D大学」(以下「本件大学」という。)を設立することを計画した。Bは、平成15年11月ころ、「大学準備室」を設けて本件大学設立に向けた準備を開始し、平成16年7月ころ、B理事会において、本件大学を開設する旨の意思決定をした。
 本件大学用地は、都市計画法上の準興行地域(同法8条1項1号)及び宅地造成規制法上の宅地造成工事規制区域(同法3条1項)に指定されている。本件ぱちんこ店は、本件大学用地の端から100メートル以内に位置している。
 Bは、本件大学を建設するに当たり、開発行為の許可申請(都市計画法29条2項参照)及び宅地造成に関する工事の許可申請(宅地造成等規制法8条1項参照)をし、大阪府知事は、各申請に対し平成17年1月25日付けでそれぞれ許可した。なお、上記開発行為に係る開発区域の面積及び上記宅地造成に関する工事に係る宅地面積は、いずれも7272.33平方メートルとされていた。同月26日、本件大学用地の造成工事が開始され、同月29日、本件大学用地内の道路に面した場所に「(仮称)D大学建設工事」等と記載された看板並びに上記開発行為及び宅地造成に関する工事の許可標識等が設置された。
 同年2月28日、本件大学の用に供する建物につき建築確認済証が交付され、同年3月3日、同建物の建築工事が開始された。
 同年1月上旬に発行された「毎日進学ガイド(2005)西日本版」172及び173頁に、「許認可申請構想中の新設大学(2006年4月開校予定)」として本件大学に関する記事が掲載された。Bは、平成17年2月ころから、本件大学のパンフレットを作成し、これを希望者に対して配布するとともに、同年2月28日に開設したインターネット上のウェブサイトにおいて本件大学の紹介を行ってきた。
 は、平成16年夏ころから平成17年3月ころまでの間に、5、6回程度、担当者が文部科学省を訪れ、本件大学の設置認可の申請について同省の関係各課に相談した上、同年4月28日付けで、文部科学大臣に、本件大学設置認可の申請をした。
(乙1の1、乙3、4、6、7の1、乙8、9の1、乙10、12)

(4) 本件不許可処分後の経緯
 本件不許可処分がされた後、原告及びAは、Aの本件ぱちんこ店におけるぱちんこ屋営業を原告に承継させるために会社の分割(吸収分割)を行い(以下「本件会社分割」という。)、平成17年6月28日、吸収分割の登記をした(弁論の全趣旨)。
 Aは、これに先立つ同年5月25日、公安委員会に対し、風営法7条の3に基づき、本件会社分割についての承認を申請し、公安委員会は、同年6月16日付けで本件会社分割について承認した(甲13)。
 原告は、上記吸収分割の登記をした日である同月28日、本件ぱちんこ店におけるAの風俗営業者としての地位を承継し(風営法7条の3第1項、商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)374条の9参照)、同日から現在に至るまで、同店において、ぱちんこ屋営業を営んでいる。
イ Bは、平成17年12月5日付けで、本件大学の設置について文部科学大臣の認可を受け、平成18年4月1日の開校を予定している(乙1の1、乙5、17)。

3 争点
(1) 本件不許可処分の取消しの訴えにつき、訴えの利益があるか(本件不許可処分の取消請求に係る本案前の争点)
(原告の主張)
 本件申請に対し、適法に許可処分がなされていれば、原告は、遅くとも平成17年5月12日までに本件ぱちんこ店においてぱちんこ屋営業を開始することができたはずであるのに、違法、不当に本件不許可処分がされたため、同営業の開始を同年6月28日まで1か月半も延期しなければならなかった。このように原告は、本件不許可処分によって営業の自由を不当に侵害されたのであり、本件不許可処分の違法性の程度は重大である。また、公安委員会は、原告から、施行令6条2号及び施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」の解釈について、資料(注釈書の抜粋)の添付された詳細な意見書の提出を受けたにもかかわらず本件不許可処分をしており、その注意義務違反の程度も甚だしい。
 以上のような本件不許可処分の違法性の程度及び公安委員会の注意義務違反の程度に照らしても、本件不許可処分の違法性について本案審理をした上でこれを判決によって取り消し、本件不許可処分によって生じた違法状態を解消するとともに、本件不許可処分の違法性を明示し、風俗営業の許可等に関する権限を有する公安委員会の将来における公務執行の公正を担保し、その非違行為を防止すべきである。
それにもかかわらず、本件不許可処分の取消しの訴えをその利益がないとして却下すれば、取消訴訟に、その有する適法性維持機能を発揮させることができず、また、取消訴訟の制度趣旨を否定することにもなり、不当である。
 特に、本件において、原告が本件ぱちんこ店においてぱちんこ屋営業を開始することができたのは、公安委員会が何らかの措置を執った結果ではなく、原告及びAが本件会社分割をした結果であって、このような原告の自助努力によって生じた事情を訴えの利益を否定する理由とすべきではない。
 よって、本件不許可処分の取消しの訴えにつき、訴えの利益があるというべきである。
(被告の主張)
 取消訴訟における訴えの利益の有無は、判決言渡時において、処分が取消判決によって除去すべき法的効果を有しているか否か、処分を取り消すことによって回復される法的利益が存在するか否かによって判断されるべきであり、行政処分後の事情変更によって権利利益の侵害状態が解消された場合には、処分の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
 本件において、原告は、公安委員会が平成17年6月17日付けで本件会社分割について承認したことにより、本件ぱちんこ店における風俗営業者の地位をAから承継して、本件ぱちんこ店においてぱちんこ屋営業を営んでいるのであるから、上記権利利益の侵害状態が解消された場合に当たる。よって、原告は、本件不許可処分を取り消す法律上の利益を有さず、本件不許可処分の取消しの訴えは、その利益を欠く。

(2) 本件大学用地が施行令6条2号及び施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」に当たるか否か(本案の争点)
ア 「これらの用に供するものと決定した土地」とは、当該土地施行条例2条1項2号が規定する各施設(以下「保護対象施設」という。)の用に供することを正式に決定する権限を有する者がその旨を決定した土地をいうのであり、これらの用に供することが単に予定されているというだけでは足りないとされている。そして、学校教育法上、文部科学大臣の認可を受けなければ私立大学を設置することができないから、大学の用に供することを正式に決定する権限を有する者が文部科学大臣であることは明らかである。
 風営法及び各関連法令は、風俗営業の自由と保護対象施設の良好な風俗環境の保全という利益との調整として制限地域を定めており、また、施行令6条3号は、制限地域の指定を必要最小限とすべき旨規定し、風俗営業の自由に対する制限について謙抑的態度を採っている。これらの趣旨に照らせば、「これらの用に供するものと決定した土地」というためには、保護対象施設の用に供することが予定されているだけでは足りず、保護対象施設の用に供することが公的手続等からも客観的外形的に明白になっていることを要し、その判断は、客観的外形的にされるべきであるから、風俗営業の営業所設置者又は保護対象施設の予想又は期待といった個別的事情によって左右されないと解すべきである。
 そうすると、文部科学大臣の大学設置の認可を受けない限り、大学の用に供することを正式に決定する権限を有する者がその旨を決定したということはできず、また、大学の用に供することが公的手続等からも客観的外形的に明白になっているということもできないから、「これらの用に供するものと決定した土地」とはいえない。そして、Bは、本件不許可処分時において、本件大学の設置につき文部科学大臣の認可を受けていなかったのであるから、本件大学用地は「これらの用に供するものと決定した土地」に当たらない。
イ この点について、被告は、「これらの用に供するものと決定した土地」とは、種々の事情により当該土地が保護対象施設の用に供されることが客観的に確実とみられるに至った土地をいうと主張する。
(ア) しかし、上記被告の主張は、当該土地を保護対象施設の用に供することを正式に決定する権限を有する者がだれかを著しく不明確にし、風俗営業の自由と保護対象施設の良好な風俗環境の保全という利益とを調和させるという風営法の趣旨を没却するものである。
 また、被告の主張によれば、本件大学用地が種々の事情により大学の用に供するものと決定した土地に当たると判断された後に大学の設置が不認可とされた場合、上記判断の根拠となった事情が変更しない限り、当該土地の周辺地域(制限地域)においては風俗営業の許可が受けられないということになり、また、どの時点で当該土地が大学の用に供するものと決定した土地でなくなるのか明らかでなく、風俗営業を営もうとする者はその点の判断に迷うことになる。このような事態の発生は、保護対象施設の良好な風俗環境の保全と言う利益を保護するという風営法の趣旨から逸脱し、風俗営業の自由を不必要に制限するものである。
 そもそも、被告は、「これらの用に供するものと決定した土地」を種々の事情により当該土地が保護対象施設の用に供されることが客観的に確実とみられるに至った土地をいうと解すべき根拠を示していない。被告は、大学を設置し、又は廃止するのは大学の設置者であり、その認可を申請し又はその取下げをするのも、認可申請者であるということを自説の根拠とするが、これらの事実は被告の主張の根拠にならないばかりでなく、これを強調し、文部科学大臣は大学の用に供することを正式に決定する権限を有する者ではないとすることは、学校(私立大学)教育の公共性にかんがみ、私立大学の設置廃止等を文部科学大臣の認可にかからせ、もって私立大学の設置廃止等の適正を確保しようとした学校教育法の趣旨を無視するものである。
(イ) たとい、被告の主張のとおり、「これらの用に供するものと決定した土地」とは、種々の事情により当該土地が保護対象施設の用に供されることが客観的に確実とみられるに至った土地をいうとしても、被告が上記種々の事情として主張する本件大学の設置に向けた準備状況は、本件大学の設置に向けたBの内部的意思決定の過程、同意思決定の外部への表明又は本件大学の建設工事の進捗状況等に関する事情であって、これらの事情は、本件大学用地が大学の用に供することが単に予定されている場所であることを示すものにすぎない。
(被告の主張)
ア 「これらの用に供するものと決定した土地」とは、いまだ、当該土地に保護対象施設が建設されておらず、又は建築物がその用に供されていない場合でも、種々の事情を勘案すれば当該土地が保護対象施設の用に供されることが客観的に確実とみられるに至った土地をいうものと解すべきである。そして、保護対象施設の用に供することが客観的に確実とみられるに至ったというためには、保護対象施設の用に供することが公的手続等からも客観的外形的に明白になっていることを要する。
 本件大学用地は、開発行為の許可、宅地造成に関する工事の許可及び建築確認済証の交付などの公的手続を経て、大学の用に供することが公的手続等からも客観的外形的に明白になっている。また、第2の2(3)記載のBによる本件大学の設置に向けた準備の経過及び多額の投資を伴って本件大学の建設工事等が進められている状況を勘案すれば、「これらの用に供するものと決定した土地」に当たることは明らかである。
 「これらの用に供するものと決定した土地」に当たるために、大学設置の認可が必要不可欠だということはない。
イ 原告は、大学の用に供することを正式に決定する権限を有する者は文部科学大臣であると主張するが、大学を設置し、又は廃止するのは大学の設置者であり、その認可を申請し又はその取下げをするのも、認可申請者であるから、文部科学大臣が大学の用に供することを正式に決定する権限を有する者であるとはいえない。

(3) 公安委員会の故意又は過失の有無(国家賠償請求に係る本案の争点)
(原告の主張)
 公安委員会は、風俗営業の許可権限を行使するに当たり、関連法令の解釈及び適用を誤ることなく、適法かつ適正な処分をすべき義務を負っている。しかし、同委員会は、上記(2)のとおり、本件大学用地施行令6条2号及び施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」に当たらないことが明白であるにもかかわらず、これに当たるものとして本件不許可処分をした。
 そして、本件不許可処分に係る以下のア及びイの経緯等をも併せ考えれば、公安委員会は本件大学用地が「これらの用に供するものと決定した土地」に当たらないと判断することができたはずであり、同委員会には、違法に本件不許可処分をしたことにつき、故意又は過失がある。
ア 原告は、本件申請後、公安委員会に対し、「これらの用に供するものと決定した土地」の解釈について、資料(注釈書の抜粋)を添付した詳細な意見書(平成17年4月1日付け)を提出し、本件大学用地が「これらの用に供するものと決定した土地」に該当すると解するのは法令解釈の誤りである旨注意喚起した。
イ(ア) 平成17年4月27日の公安委員会の定例会議
 同定例会議において、委員から、「申請場所は、既存営業店舗に関することであり、事業の継続性もあるから、許可する余地があるのではないか。」との観点から意見等があった。同定例会議の時点において、本件申請に係る標準処理期間(行政手続法6条、大阪府行政手続条例6条、風俗営業の許可については55日)を経過していたのであるから、公安委員会は、本件申請について継続審議とすべきではなく、直ちに許可すべきであった。しかも、同意見のとおり、本件申請に対し許可をしても本件ぱちんこ店におけるぱちんこ屋営業の実態に何ら変更を生じないから、制限地域の指定を必要最小限度のものとする施行令6条3号の趣旨に照らしても、直ちに許可すべきであったというべきである。
 (イ) 同年5月11日の公安委員会の定例会議
 同定例会議において、大阪府警察から、Bが「去る4月28日文部科学省へ認可申請を行っていること等の事情を総合的に勘案すると、当該計画地は、外部的客観的に施行条例に規定する保護対象施設の大学の用に供するものと決定した土地に該当する」との説明がされたが、そもそも、本件申請に対する標準処理期間を経過した後にBがした本件大学設置認可の申請本件不許可処分の理由の一つとするような取扱いは、申請から処分までに必要な期間について予測可能性を与え、申請に対する処分の迅速性を確保しようとした標準処理期間制度の趣旨を没却する不合理な取扱いである。さらに、同定例会議において、委員から、「保護対象施設の敷地の周囲おおむね100メートルと規定されていることから、この距離に関して弾力的な解釈ができないか。」との意見があった。同意見のとおり、制限地域の指定を必要最小限度のものとする施行令6条3号の趣旨に照らせば、弾力的解釈の余地が十分にあったというべきである。
(被告の主張)
 平成17年4月27日の定例会議において、委員から本件申請に対して許可する余地があるのではないかとの意見が出たため、標準処理期間を徒過することになっても、さらに慎重に審議を重ねる必要があったことから、公安委員会は、本件申請について継続審議としたのであって、そこには何ら違法はなく、本件不許可処分は適正な手続に基づいている。
 また、上記定例会議から同年5月11日の定例会議までの間に、本件大学設置認可の申請があったため、同定例会議においてその旨説明し、判断の材料としただけであって、同申請のみを本件不許可処分の理由としたものではない。

(4) 本件不許可処分によって、原告が損害を被ったか否か(国家賠償請求に係る本案の争点)
(原告の主張)
ア 原告は、本件不許可処分によって、同処分の日である平成17年5月12日から原告が本件ぱちんこ店においてぱちんこ屋営業を開始した日の前日である同年6月27日までの間、ぱちんこ屋営業を営むことができなかったのであるから、同期間に得られるはずであった営業利益に相当する損害を被った。
 Aは、1か月に2回の割合で定期的に営業所に備える遊技機を入れ替えていたが、原告による本件申請に対して、許可又は不許可の処分がされるまで本件ぱちんこ店の構造及び設備を本件申請時の状態に保っておかなければならなかったため、遊技機を入れ替えることができなかった。そのため、本件ぱちんこ店の売上げは本件申請以後漸減し続けた上、本件不許可処分後遊技機を入れ替えても、同店の売上げが直ちに回復することはなく、その結果、第33期(平成16年7月1日から平成17年6月30日まで)は大幅な赤字となった。したがって、本件不許可処分によって原告がぱちんこ屋営業を営めなかったことによる逸失利益の額は、Aの第28期から第32期までの5年間における本件ぱちんこ店の営業利益を基礎として算定すべきである。これによると、上記5年間における1日当たりの平均営業利益が13万5095円であり、本件不許可処分によって原告がぱちんこ屋営業を営むことができなかった期間が47日間であるから、上記逸失利益の額は、634万9465円を下回らない。
イ 被告は、Aが本件不許可処分後も本件ぱちんこ店においてぱちんこ屋営業を営んでいたこと、Aの代表取締役と原告の代表取締役とが父子関係にあることなどを理由に原告には損害がないと主張するが、両会社が別法人である以上、これらの事実をもって損害がないということはできない。
(被告の主張)
 Aは、平成17年5月12日から同年6月27日までの間、本件ぱちんこ店においてぱちんこ屋営業を営んでいたのであり、また、同会社の代表取締役であるEと原告の代表取締役であるFとは父子関係にあるから、本件処分によって原告に損害が発生したとはいえない。

第3 当裁判所の判断

1 争点(1)(本件不許可処分の取消しの訴えにつき、訴えの利益があるか)について

 風営法3条1項に基づく風俗営業の許可は、これを受けなければ申請にかかる風俗営業を適法に営むことができないという法的効果を有するものであるところ、上記第2の2(4)ア記載のとおり、本件不許可処分がされた後、原告及びAは、本件会社分割を行い、原告は、平成17年6月28日、吸収分割の登記をし、公安委員会は、Aの申請を受けて、同月16日付けで本件会社分割について承認したというのであり、これらの事実によれば、原告は、同月28日、Aから同社の本件ぱちんこ店におけるぱちんこ屋営業を承継するとともに、風営法7条の3第1項に基づき、同営業について風俗営業者の地位を承継し、同日以降、本件ぱちんこ店において適法に風俗営業であるぱちんこ屋営業を営むことができる法的地位を有している。
 そうすると、本件不許可処分が他の不利益処分の要件とされているなど他にその取消しを求める法律上の利益を基礎付ける理由も存しないから、本件不許可処分の取消しを求める訴えは、その利益を欠くに至ったものといわざるを得ない。
 本件訴えのうち本件不許可処分の取消請求に係る部分は、その余の点について判断するまでもなく、不適法として、却下を免れない。

2 争点(2)(本件大学用地が施行令6条2号及び施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」に当たるか否か)について

(1) 施行令6条2号及び施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」の意義について
  風営法は、善良な風俗と清浄な風俗環境を保持等するため、風俗営業について、営業地域を制限することとし(同法1条参照)、同法、同法施行令及び施行条例は、風俗営業の許可の申請に係る営業所につき、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして上記第2の1(1)ア記載のとおりの制限地域を設け、営業所が制限地域内にあるときは、都道府県公安委員会は風俗営業の許可をしてはならない旨規定している。そして、施行令6条1号ロ及び2号は、特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある特定の施設に着目して、当該敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね100メートルの区域内の地域を風俗営業の制限地域とすべきことを基準として定めているということができる。そして、施行令6条2号が、同条1号ロに掲げる地域内の地域につき制限地域の指定を行う場合の基準として、同号ロに規定する施設(保護対象施設)の用に供するものと決定した土地を含めて、当該施設の敷地の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うことと規定している趣旨は、当該土地が特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある特定の施設(保護対象施設)の用に供することが決定されている場合には、当該土地が、いまだ当該施設の用に供されていないときであっても、その周辺の区域を制限地域として風俗営業を営むことを規制することができるものとすることにより、当該施設につき良好な風俗環境の下で円満に業務を行う利益の保護を図ったものと解される。他方で、施行令6条3号は、制限地域の指定が営業の自由に対する規制の根拠となるものであることと規定し、これによって、風俗営業の自由と良好な風俗環境の保全に係る利益との調和を図ろうとしたものと解される。これらにかんがみると、施行令6条2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」に当たるか否かは、当該施設の種類、規模及び特性、当該施設の開設のために必要とされる法令上及び事実上の手続、当該施設の開設に要する費用等にかんがみ、当該施設が設置されることが社会通念に照らして確実となっているということができるか否かという観点から合理的に判断すべきである。また、風営法4条2項2号を受けて施行令第6条第1号ロ及び第2号の定める基準に従って定められた施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供する土地」に当たるか否かについても、同様に判断すべきである

(2) 本件大学用地が「これらの用に供するものと決定した土地」に当たるか否かについて
 上記(1)の観点から、本件大学用地が「これらの用に供するものと決定した土地」に当たるか否かについて検討する。
 上記第2の2(3)において認定した事実及び証拠(乙1の1から5まで、乙5、10、13、14、17)によれば、本件大学は、既設の専門学校を一体化した上、学校教育法1条に規定する大学(4年制大学)として新設するものとされ、3専攻科(理学療法学、作業療法学、言語聴覚学)を擁し、平成18年4月に開校する予定で、初年度は160名の学生(定員)を予定し、将来は640名程度の学生を受け入れることになること、本件大学の校舎は、5棟から成り、延べ面積は10519.65平方メートル、主たる建築物は鉄骨鉄筋コンクリート造5階建とされ、開発行為に係る開発区域の面積(宅地造成に関する工事に係る宅地面積)は7272.33平方メートルであること、本件大学用地は、その大半が理事長の私有地であるが、Bは、不足分の土地を購入した上、平成16年7月ころ、その理事会において本件大学を開設する旨の意思決定をし、平成17年1月25日付けで開発許可及び宅地造成に関する工事の許可を得て同月26日、本件大学用地の造成工事を開始するとともに、同年2月28日付けで、本件大学の用に供する建物(校舎)につき建築確認済証の交付を受けて同年3月3日同建物の建築工事を開始したこと、他方で、Bは、平成16年夏ころ以後、本件大学の設置認可の申請について文部科学省の関係各課に複数回にわたって相談した上で、平成17年4月28日付けで文部科学大臣に同申請をしたこと、Bは、同年1月上旬に発行された進学雑誌に2006年(平成18年)4月開校予定の許認可申請構想中の新設大学として本件大学に関する記事を掲載し、同年2月ころから、インターネット上の上ウェブサイトにおいて本件大学を紹介し、本件大学のパンフレットを作成してこれを配布するなどしてきたこと、平成18年春開校予定の大学の設置認可申請10件(うち私立大学8件)については、そのすべてにつき大学設置学校法人審議会により認可の答申がされていること、文部科学省は、大学等の設置認可申請前に窓口において行っている相談は申請書の記入方法、審査のスケジュール等の手続的事項及び大学設置基準等の適用に関する事項について申請者からの質疑に応じるというものであって、いわゆる事前審査や事前協議は一切行っていないと説明しているが、同省は、他方で、大学等の設置認可申請を希望する者に対し、大学設置学校法人審議会における審査手続の円滑化のため、できる限り大学等の設置認可申請等に関する相談を受けるよう勧めていること、以上の事実が認められる。これらの事実によれば、本件不許可処分がされた平成17年5月当時、本件大学の設置主体であるBは、同年1月から同年3月にかけて、その設備及び規模等からして巨額の資金を要するものと推認される本件大学の新設工事のために必要な行政手続を履践した上、宅地造成工事及び建物(校舎)建築工事に着手するとともに、平成18年4月の開校を目指して本件大学の学生の確保に向けた広報宣伝活動を展開していたというのである。また、以上の事実関係によれば、Bは、その前年の夏ころから文部科学省の関係各課と複数回にわたって事前の相談を行い、本件大学設置認可の要件を満たすために必要な準備を十分整えた上で、本件不許可処分直前の同年4月28日付けで文部科学大臣に対し同認可申請に及んだものと認められる。これらに加えて前記認定事実からうかがわれる大学設置認可に関する実務の運用状況をも併せ考えると、本件不許可処分当時、本件大学用地に本件大学が設置されることは社会通念に照らして確実になっているということができる。
 したがって、本件大学用地は、施行令6条2号及び施行条例2条1項2号にいう「これらの用に供するものと決定した土地」に該当するものというべきである。
 原告は、本件大学設置について文部科学大臣の認可がない以上、本件大学用地は「これらの用に供するものと決定した土地」に該当しない旨主張する。確かに、学校教育法4条1項1号により、文部科学大臣の認可を受けなければ私立の大学を設置することはできないものとされてはいるが、上記事実関係の下においては、本件不許可処分当時、本件大学について同大臣の認可がされて本件大学が設置されることが社会通念に照らし確実となっているということができるのであり、そうである以上、本件大学用地は、「これらの用に供するものと決定した土地」に該当するとするのが制限地域の指定に関する風営法及び施行令の関係規定の前記趣旨にも沿うものというべきである。
 なお、原告は、公安委員会は、平成17年4月20日の時点において、本件申請にかかる標準処理期間(行政手続法6条、大阪府行政手続条例6条、風俗営業許可については55日)を経過していたにもかかわらず、同月28日付けでされた本件大学設置認可の申請を待って、これを理由の一つとして本件不許可処分をしたものであって、標準処理期間制度の趣旨を没却するといった趣旨の主張をする。
 しかし、前記認定のとおり、本件大学設置認可の申請に先立って、平成17年1月から同年3月にかけてBにおいて本件大学の校舎の建設工事及びその敷地の造成工事につき必要な各許可及び建築確認を受けてその工事に着手するとともに、平成18年4月の開校を目指して本件大学の学生の確保等に向けた広報宣伝活動を展開していたなどというのであり、これらの事実によれば、Bは、本件申請の日である平成17年2月18日から55日を経過した日の時点までには本件大学設置認可の要件を満たすために必要な準備を十分整えていたものと認められるから、上記の時点以前において、既に本件大学用地が「これらの用に供するものと決定した土地」に該当していたと解する余地もあるが、この点を措くとしても、本件不許可処分に先立って行われた平成17年4月27日及び同年5月11日の各定例会議の審議経過(甲6、7)をみても、本件申請を不許可とするため、本件大学設置認可の申請を待って、本件不許可処分に及んだと認めることはできず、他に本件申請に対する不許可処分の手続が標準処理期間の制度を没却すると認めるに足りるような事情は証拠上うかがわれない。

(3) 以上のとおり、本件申請に係る営業所(本件ぱちんこ店)につき風営法4条2項2号に該当する事由があることを理由としてされた本件不許可処分には違法はないから、その余の点について判断するまでもなく、原告の被告に対する国家賠償の請求は、理由がない。

3 結論

 よって、本件訴えのうち大阪府公安委員会が原告に対して平成17年5月12日付けでしたぱちんこ屋営業の不許可処分の取消請求に係る部分を却下し、原告のその余の請求を棄却するすることとして、主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第2民事部
裁判長裁判官 西川知一郎
裁判官 森田 亮 
裁判官田中建治は、転補のため署名押印することができない。
裁判長裁判官 西川知一郎
最高裁判所の判例検索システムより引用
風営適正化法(風営法)施行令第6条
(風俗営業の許可に係る営業制限地域の指定に関する条例の基準)
第6条 法第4条第2項第2号の政令で定める基準は、次のとおりとする。
 風俗営業の営業所の設置を制限する地域(以下「制限地域」という。)の指定は、次に掲げる地域内の地域について行うこと。
 住居が多数集合しており、住居以外の用途に供される土地が少ない地域(以下「住居集合地域」という。)
 その他の地域のうち、学校その他の施設で学生等のその利用者の構成その他の特性にかんがみ特にその周辺における良好な風俗環境を保全する必要がある施設として都道府県条例で定めるものの周辺の地域
 前号ロに掲げる地域内の地域につき制限地域の指定を行う場合には、当該施設の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)の周囲おおむね100メートルの区域を限度とし、その区域内の地域につき指定を行うこと。
 前2号の規定による制限地域の指定は、風俗営業の種類及び営業の態様、地域の特性、第1号ロに規定する施設の特性、既設の風俗営業の営業所の数その他の事情に応じて、良好な風俗環境を保全するため必要な最小限度のものであること。
大阪府風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例第2条
(風俗営業の許可に係る制限地域)
第2条 法第4条第2項第2号の条例で定める地域は、次に掲げる地域とする。
 …(略)…
 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校若しくは同法第83条第1項に規定する各種学校のうち主として外国人の幼児、児童、生徒等に対して教育を行うもの及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)第7条第1項に規定する保育所又は医療法(昭和23年法律第205号)第1条の5第1項に規定する病院若しくは同条第2項に規定する診療所(患者を入院させるための施設を有するものに限る。以下同じ。)の敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。以下同じ。)の周囲おおむね100メートル(当該施設の敷地が都市計画法第8条第1項第1号に規定する商業地域にある場合にあつては、当該敷地の周囲おおむね50メートル)の区域。ただし、公安委員会で定める地域を除く。
 …(略)…
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