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| 事件番号 |
昭和29(う)229 |
| 事件名 |
古物営業法違反被告事件 |
| 裁判年月日 |
昭和29年 6月 2日 |
| 裁判所名・部 |
東京高等裁判所 第11刑事部 |
| 結果 |
破棄自判 |
| 高裁判例集登載巻・号・頁 |
第7巻7号1016頁 |
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| 原審裁判所名 |
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| 原審事件番号 |
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| 判示事項 |
無許可で古物営業をしたものと認めらた事例 |
| 裁判要旨 |
自転車商人の間を廻って古タイヤを仕入れ、これを改作して履物を製造して販売することを営業とする者が営利の目的で、所定の許可を受けないまま、比較的短期間(約2ヶ月間)に5回に亘り中古自転車を売買したり、委託を受けて売り渡したり、交換により譲り受けてこれを売却したりした所為は継続的意思に出たものと認められるから、古物営業法第6条に該当する無許可で古物営業をしたものと認めるのを相当とする。 |
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| 主 文 |
原判決を破棄する。
被告人を罰金5,000円に処する。
右罰金を完納することができないときは金200円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
原審の訴訟費用は全部被告人の負担とする。 |
| 理 由 |
検察官検事●●●●の控訴趣意および弁護人▲▲▲▲の之に対する答弁は、本判決末尾添附の控訴趣意書および答弁書に各記載のとおりであるから、これについては判断する。
控訴趣意第一乃至第五の要旨は、およそ営業の目的を以て同種行為を反復継続的に行うことをいうものなるところ本件において、被告人は、古物営業法所定の許可を受けることなく、利得の意図を以て数回にわたり売却委託、買受又は交換により中古自転車数台を入手して之を他に売却し相当の利益を挙げたのであるから、当然無許可の古物営業犯の成立を来している。然るに、原判決は猶被告人には同営業行為を以て目すべき事実の証明十分ならずとして無罪を宣したのは事実を誤認し延いては法令の適用を謝ったものであるというにある。
そこで審按するに、
<要旨>一般に営業とは営利の目的を以て同種類の行為を継続的に反復累行することをいい、此の判断は行為の実情</要旨>に即して客観的になされるべきものであり、その営利は右業務を構成する各所為毎に現実且つ積極的な利得にあることを必要とせず、それら一連の行為を包括的にみて利益を挙げ得べき性質のものなることを以て足り又それらの所為は全体として之により同所為者の生活の基本を維持するもの即ち本業若しくは本職等と称すべき場合のみならず、それらに雁行してなされるもの即ち副業もしくは内職等というべき場合をも汎く包含するものと解するのを相当とする。之を、本件についてみるに、被告人は予て自転車商人の間を廻って古タイヤを仕入れ之を改作して履物を製造した上販売することを営業として来た商人なるところ営利の目的を以て所定の許可を受けないまま起訴状記載第一の中古自転車1台は2回に売却委託を受け、同第二の自転車1台は之を買受け、同第三の自転車1台は石油コンロ1台に金1,000円を打金して交換することにより夫々入手した上之を起訴状記載の如く4回に3名に売却し、そのうち右第一の初めに売却したときの金500円、同第二の売却により金1,000円の各利得をなし、なお右第一の他の1台の売却に関し謝礼として売却委託者から自転車の古タイヤ3、4本(価格約400円)の贈与を受けたこと並びに右第一の二台の売却委託も被告人から申込んだためになされたものになることは孰れも記録上明らかである。而して同一人が同種行為を反復した場合には、その具体的事情に照らし、その全体が継続的意思に出たものと認定するのを妨げないものであるから、比較的短期間に反復された被告人の右各自転車の売買や交換等は孰れも継続的意思によってなされたものと解するのを相当とする。
故に、被告人の右自転車の取引行為は之を包括的に観て営利の目的を以て継続的になされた営業的行為と認めるに十分なること控訴趣意所論のとおりである。而して元来古物営業を許可にかからしめて取締る所以は賍物の取引の有無を関しすることによって之を阻止し遡って犯罪発生自体の阻止を図ることを主眼とするものであるから、その取引取締は必ず客観的普遍的に行われるべきであり、原判決にいう如き本件取引の回数や之による利得がさまで多からざること、取引中には被告人から自転車を買取った者の希望に基き若しくは被告人に幾分かの好意もあって始められたものであること、被告人が当時生活に困窮していたこと等は、孰れも右取締法違反罪の成否を決する本質的事柄ではなく、単にその成立後犯情の軽重に関する事情たり得るに過ぎない。
故に、原判決において被告人の本件所為を以て古物営業法所定の許可を受けざるまま利得意思を以て反復された取引であり且つ之により現実の利得もあったことを認めながら右は未だ継続的収入の基礎となす目的の下になされた所為ではなく従って同法にいわゆる古物営業行為とは認め難いから、結局本件公訴事実は之を認むべき証明十分ならずとして無罪を宣したのは、営業の観念の誤解に発端して事実の認定を誤り延いては法令の適用を誤るに至ったものであり、此の原判決と同調する答弁も亦同様の誤りであるといわざるを得ない。而して右の誤は判決に影響を及ぼすことが明白である。原判決は此の意味において破棄を免れず、控訴の論旨は第一乃至第五全体として理由がある。
そこで、刑訴法第397条第382条第400条但書により原判決を破棄した上更に判決する。
一、 犯罪事実 原判決において「本件公訴事実の要旨」として記載して各事実(第一(一)(二)、第二、第三)
一、 証拠(省略)
一、 適用法令 古物営業法第6条第27条、刑法45条前段第48条第2項、罰金等臨時措置法第2条第1項第3条第1項第1号(所定刑中罰金刑を選択し、併合罪であるから各所為に対する罰金の合算額の範囲内で罰金5,000円に処する)、刑法第18条第1項、刑事訴訟法第181条第1項。
(裁判長判事 久札田益喜 判事 武田軍治 判事 下関忠義) |
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